礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

礫川ブログへのアクセス・歴代ベスト30(19・8・16)

2019-08-16 04:29:00 | コラムと名言

◎礫川ブログへのアクセス・歴代ベスト30(19・8・16)

 昨日は、当ブログへのアクセスが急進した。そのほとんどは、コラム「二・二六をぶっつぶしたのは天皇ですよ(末松太平)」(2018・2・17)に対するもので、おそらくこれは、昨日夜のNHKテレビの番組「NHKスペシャル・全貌『二・二六事件』」の影響によるものと思われる。
 数日前から共同通信社刊の『近衛日記』を紹介しているところだが、本日は、「礫川ブログへのアクセス・歴代ベスト30」(二〇一九年八月一六日現在)を紹介したい。なおこれは、あくまでも、アクセスが多かった「日」の順位であって、アクセスが多かった「コラム」の順位ではない。

1位 16年2月24日 緒方国務相暗殺未遂事件、皇居に空襲
2位 15年10月30日 ディミトロフ、ゲッベルスを訊問する(1933)
3位 19年8月15日 すべての責任を東條にしょっかぶせるがよい(東久邇宮)
4位 16年2月25日 鈴木貫太郎を救った夫人の「霊気術止血法」
5位 18年9月29日 邪教とあらば邪教で差支へない(佐藤義亮)
6位 16年12月31日 読んでいただきたかったコラム(2016年後半)
7位 14年7月18日 古事記真福寺本の上巻は四十四丁  
8位 18年8月19日 桃井銀平「西原鑑定意見書と最高裁判決西原論評」その5      
9位 17年4月15日 吉本隆明は独創的にして偉大な思想家なのか
10位 18年1月2日 坂口安吾、犬と闘って重傷を負う

11位 18年8月6日 桃井銀平「西原学説と教師の抗命義務」その5
12位 17年8月15日 大事をとり別に非常用スタヂオを準備する
13位 18年8月11日 田道間守、常世国に使いして橘を求む
14位 17年1月1日 陰極まれば陽を生ずという(徳富蘇峰)
15位 17年8月6日 殻を失ったサザエは、その中味も死ぬ(東条英機)
16位 17年8月13日 国家を救うの道は、ただこれしかない
17位 19年4月24日 浅野総一郎と渋沢栄一、瓦斯局の払下げをめぐって激論
18位 15年10月31日 ゲッベルス宣伝相とディートリヒ新聞長官
19位 18年10月4日 「国民古典全書」は第一巻しか出なかった
20位 15年2月25日 映画『虎の尾を踏む男達』(1945)と東京裁判

21位 19年1月1日 もちごめ粥でも炊いて年を迎えようと思った(高田保馬)
22位 18年5月15日 鈴木治『白村江』新装版(1995)の解説を読む
23位 19年2月26日 方言分布上注意すべき知多半島
24位 18年8月7日 桃井銀平「西原学説と教師の抗命義務」その6
25位 19年1月21日 京都で「金融緊急措置令」を知った村田守保
26位 18年12月31日 アクセス・歴代ベスト108(2018年末)
27位 19年1月23日 神社神道も疑いなく一種の宗教(美濃部達吉)
28位 18年5月16日 非常識に聞える言辞文章に考え抜かれた説得力がある
29位 18年5月4日 題して「種本一百両」、石川一夢のお物語
30位 18年5月23日 東条内閣、ついに総辞職(1944・7・18)

次 点 18年9月30日 徴兵検査合格者に対する抽籤は廃止すべし

*このブログの人気記事 2019・8・16(4位に珍しいものが入っています)

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すべての責任を東條にしょっかぶせるがよい(東久邇宮)

2019-08-15 05:15:05 | コラムと名言

◎すべての責任を東條にしょっかぶせるがよい(東久邇宮)

 共同通信社「近衛日記」編集委員会編『近衛日記』(共同通信社、一九六八年三月)から、「近衛日記」を紹介している。本日は、その二回目で、一九四四年六月二二日の日記を紹介する。

二十二日夜
  長尾〔欽弥〕邸招宴

 午後六時の案内なりしに東久邇宮〔稔彦王〕殿下、六時半頃来着あり。「近衛一寸来てくれ」と予を別室に誘引せられ一時間半程会談せらる。
 殿下は予の顔を見らるるや、イキナリ、
 東條〔英機〕も今度は弱ったようだ。実は今遅れたのは東條の使が来たためだ。使は赤松〔貞雄〕でない外の秘書官だ。
 東條は「私も今日まで全力を挙げて来ましたが、とてももうやって行けません」と言って来たのだ。(註、案ずるに殿下に後継内閣を依頼せるならん)
 そこで俺は、今は絶対にやめてはいかん。内閣を大改造してでも此の際は続けて行くがよい、と言ってやった。自分は矢張り東條に最後まで責任をとらせるがよいと思う。悪くなったら皆東條が悪いのだ。すべての責任を東條にしょっかぶせるがよいと思うのだ。内閣が変ったら責任の帰趨がぼんやりして最後には皇室に責任が来るおそれがある。だから今度はあくまで、東條にやらせるのがよい…。此の前、ここ(長尾邸)で会った時心配していたようになったね。
とのお話。ここにおいて予は重ねて、
殿下の御見込如何。
と伺う。殿下は、
  早晩駄目だ。それで最悪の埸合を考えて置かなければならない。
  と仰せられる。
予  最悪の場合はとても臣下では納まりませぬ。殿下か高松宮〔宣仁親王〕様にお願いしなければならないでしょう。
殿下 それは覚悟はしている。

*このブログの人気記事 2019・8・15(なぜか2位に藤村操青年)

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総理はもう少し荷を軽くしてはどうか(岡田啓介)

2019-08-14 02:57:56 | コラムと名言

◎総理はもう少し荷を軽くしてはどうか(岡田啓介)

 共同通信社刊の『近衛日記』は、一九六七年(昭和四二)に発見された「近衛日記」(近衛文麿の口述を秘書が記録したもの)を中心に編集された本である。共同通信社「近衛日記」編集委員会編、一九六八年(昭和四三)三月刊、定価四八〇円。
 本日以降、その「日記」を紹介してみたい。本日は、同書第一章「近衛日記」から。

 サイパンを中心とせるマリアナ諸島沖海戦以来、戦局すこぶる我に不利にして上下憂色 にとざさる。特に 雲上はもちろん重臣層のこれが対策に関する苦心焦慮は容易ならざる ものあり。後日のため以下、これに関連する 動きの概略を記述し置かんとす。
  昭和十九年七月五日  荻外荘【てきがいそう】にて

 これが、近衛文麿による一種の「まえがき」で、以下、一九四四年(昭和一九)六月二一日からの「日記」となる。

六月二十一日午後四時
  永田町首相官邸において重臣会議

 東條〔英機〕首相より積極的に戦況報告なきをもって若槻〔礼次郎〕男爵より質問出づ。
男爵 新聞を見ると飛行機及び船舶の損害のあったことが公表されているが、軍艦の損害はなかったのか。
首相 あった。
男爵 軍艦に損害があったとすれば、それは艦隊と艦とやった訳か。
首相 然り。
男爵 損害程度は如何。
首相 六と四の割合と思う。然し味方は多く見るから、あるいは五と五の割合かも知れぬ。
 此の時、岡田〔啓介〕大将と突如として発言し、
   総理はもう少し荷を軽くしてはどうか。
と言うや、首相は如何なる意味かと反問し、大将はさらに、
  四役を兼ねていることは容易でない。殊に参謀総長となると夜、電報が来るかも知れず、夜中屡次〈ルジ〉起されては碌に睡眠もとれない訳だ。だからもう少し荷を軽くしてはどうかと言うのだ。
と述ぶ。これに対し首相は全然黙して答えず。【以下、次回】

※今月一〇日のブログで、「本日朝、今年初めてクマゼミの声を聞いた。これで今年も、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシ、クマゼミと、五種類のセミの声を聞いたことになる」と書いた。この時点で、二イニイゼミの声を確認していなかったが、昨日、午前中に、二イニイゼミの声を聞いた。昨日、午前中、一時的に雨が降った。雨が降ると、ほかの蝉は鳴きやむが、ニイニイゼミは、鳴き続ける。それでハッキリとわかった。本日朝も、一時的に雨が降った。やはり、ニイニイゼミだけは、鳴き続けていた。いずれにしても、今年は、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシ、クマゼミ、ニイニイゼミと、六種類のセミの声を聞いたことになる。

*このブログの人気記事 2019・8・14

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東雅に「セミとは蝉の字の音を呼ぶなり」とある

2019-08-13 04:52:25 | コラムと名言

◎東雅に「セミとは蝉の字の音を呼ぶなり」とある
 
『土の香』第一六巻第六号(一九三五年一二月)から、高島春雄の「熊蝉の方言」という文章を紹介している。本日は、その四回目(最後)。昨日、紹介したところのあと、改行して、次のように続く。

 昆虫で発音すろものは算へてみると仲々多いが、其の発音機構が巧緻で体の大いさに比して声大きく遠方に響くことは動物界中蝉に及ぶものは無い。蝉は雄が発音するのが類縁の近いウンカ等の仲間と際立つて異る処で、各々異つた方法により腹部を動かすから種毎〈シュゴト〉に固有の鳴声を発する。クマゼミならシャアジャアミンミンゼミならミーユンミーユンヒグラシならケヽヽヽの如くである。蝉の方言の特殊性は何と云つても此の鳴声を採り入れたもので、本来其の侭を模したのとそれから他物他事象を連想して呼ぶのとある。クマゼミではガンガン等を除けば総てシャーシャー系とも称すべき一団で、シャブシャブシャゴシャゴシャッシャシャイシャイシャイシャオシャオシャンシャンシューシューショーショージャゴロジャンセミ等皆然り。セミセミセミと模したものゝ意義は後述する。九州に行くとワシワシが風靡〈フウビ〉して居る。鳴声から連想したのはナべカキアブラゼミ(油で物をいためる時にシューシューと発する音)。オキョーゼミ(南無南無南無)等である。
 次に形態的要素を取り上げたものに
A 体躯〈タイク〉大にて黒色を呈すること
 クマセックマセミ
 ダイゼミオーゼミオニジェーミホンセミホンは本で宗家・頭目と云つた様な意を示す)
B 翅に着眼して
 アオゼミアミゼミギンゼミギンタカタビラコロモゼミハゴロモ
 アオゼミと云ふのは翅脈の基部半分が緑色の処からであらう。アミゼミは透明の翅に翅脈が走つて居るのを網の目に見立てたもの。ギンタギンゼミば鳴声からかと想つたが報告者は其の翅の色からだらうと申し越された。即ち同じ地方や近傍でアブラゼミアカゼミ或はキンゼミと呼ぶのと対比をなすのである。最後に習性から来たもの(但し鳴声に関するものは既出)にヒグラシ(鳴いて日を暮らすの意であらう)、ヤマゼミセンダセンダセビ(栴檀〈センダン〉の樹に多い故)等がある。
 クマゼミの方言の調査からセミの語源を知り得ることを特筆する。日本釈名に「せみはせん也むとみと通す、音を以訓とす、此類多し」、東雅に「セミとは蝉の字の音を呼ぶなり」等とあつてリスの栗鼠クモの喜母の如くセミは蝉から転じたと考へるのが正しい。大なる眼を以て背を見るの故に背見とか背のあたり美しき故に背美とかの説は妥当でないであらう。偖〈サテ〉蝉の字センシェン)はどうして起つたかと云ふにセミセミセンセン、といふ鳴声からである。日本内地で斯くセンセンの音を発するのは此のクマゼミしかない。随つてクマゼミは「セミ」の本家とも云ひ得るのである。前掲の方言中セミ及びセミセミと云ふのが這般〈シャハン〉の消息を良く物語つて居る。此の「セミ」は当該地方の蝉の代表者としてとか概称的の蝉類でないのは明かである。(東京文理科大学動物学教室)

 このように、セミの語源は、漢字の蝉(セン・シェン)から来ているというのが、高島春雄の説である。さらに高島は、その蝉の発音は、クマゼミの鳴き声から来ているという。だとすると、中国にも、クマゼミがいて、漢字「蝉」の発音のもとになったということを言う必要があるが、その点には言及していない。

*このブログの人気記事 2019・8・13

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加古郡高砂町ではクマゼミをセミセミといった

2019-08-12 03:25:52 | コラムと名言

◎加古郡高砂町ではクマゼミをセミセミといった
 
『土の香』第一六巻第六号(一九三五年一二月)から、高島春雄の「熊蝉の方言」という文章を紹介している。本日は、その三回目。昨日、紹介したところのあと、改行せずに、次のように続く。

シャーシャ(岡山県児島郡、山口県岩国町)シャーシャー(神奈川県中郡土沢村、静岡市、浜松市、静岡県磐田郡袋井町、静岡県田方郡函南村、岡山県小田郡、川上郡松原村)シャッシャ(兵庫県加古郡高砂町、和歌山県那賀郡野上地方)シャッシャー(横浜市磯子区)シャッシャーゼミ(静岡県志田郡、岐阜県揖斐郡谷汲村、佐賀市)シャイ(山口県狭厚狭郡王喜村)シャイシャイ(丹後、山口県豊浦郡長府町)シャオシャオ(高知市、高知県安芸郡土居村、香美郡山南村)シャゴシャゴ(浜松市、静岡県引佐郡三ケ日町、東浜名村、兵庫県多可郡)シャブシャブ(山口県岩国町)ジャブ(神戸市)シャンシャン(和歌山県有田郡八幡村)シューシュー(神奈川県中郡土沢村)ショーショー(肥後北西郡)ジゴイラス(東京府三宅島)ジャゴロ(長崎県南高来郡西有家町)ジャンセミ(愛知県東春日井郡小牧町)セイチゼミ(愛知県渥美郡高豊村)セミ(商知県幡多郡上灘村)セミセミ(兵庫県加古郡高砂町)センダ(徳島県名東郡加茂町)センダセビ(徳島県板野郡板東町)センダセミ(徳島県美馬郡岩倉町、阿波郡柿鳥村、大俣村)センダゼミ(徳島県名東郡北井上村)ダイゼミ(京都市)ナベカキ(神奈川県中郡土沢村)ハゴ(岡山市北部――次出ハゴロモの略)ハゴロモ(岡山市北部)ビグラシ(兵庫県御影町)ホンセ(徳島県阿波郡柿島村、名東郡加茂町)ホンセビ(徳島県名東郡加茂町)ホンセミ(大阪府中河内郡八尾町、兵庫県印南郡曽根町、向形村、加古郡加古川町、高砂町、徳島県板野郡撫養町)ホンゼミ(兵庫県明石郡垂水村、 武庫郡魚崎町、徳島県板野郡撫養町)ミヤジマゼミ(広島市宮島の地名に依つたのであらう)ワシワシ(佐賀市、筑後、熊本県玉名郡南関町、宮崎市、宮崎県宮崎郡瓜生野村、住吉村)ワシワシゼミ(熊本県天草郡浦村)。【以下、次回】

 この中では、加古郡高砂町〈たかさごちょう〉(現・高砂市)の「セミセミ」に注目した。なぜなら、クマゼミの声は、「シャーシャー」とも聞こえるが、「セミセミ」とも聞こえる。
「セミ」の語源については、定説がないようだが、筆者の高島春雄は、このあと、自説を展開する。

*このブログの人気記事 2019・8・12

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