日鉄のUSスチール買収問題にアメリカ政府が反対を決めた。「アメリカの安全保障問題として、不承認である」と。ことは、アメリカの鉄鋼別企業と日鉄とが買収合戦をして日鉄が勝ち、USスチール自身もこれに乗っていると言う問題なのだ。自由主義経済の自由競争商談結果に対して、政府が制止に動く。アメリカ自身が世界に対して散々やってきたことを、他国がアメリカに仕掛けたら、これを妨害するというのである。それも、経済法律自身では止められないから、別趣旨の法を持ち出してきた。トランプ流の不当関税政策と同じやり方だ。これに対してカナダの首相は、その首をかけて抵抗しているというのに、その上を行くバイデン政権の所業である。
この問題はアメリカ政府の最新世界政策が絡むから、大変難しい。21世紀のアメリカは、自由競争で中国に負け、「その負け方が予想外に急激であって、アメリカ労働者の職場がどんどん無くなった」と言う事実に衝撃を受けている真っ最中だから。こんな反省があるから、USスチール問題は大変難しい世界最先端難問なのだ。そうであっても、現在の法は法。日鉄が、US買収競合会社と全米鉄鋼労働組合とを訴えたのは、当然のことだった。
とはいえ、この課題は、トランプ政権に移ればさらに限りない難問に移行するだろう。「MAGA」を豪語する彼は、彼のディールで慣れ親しんで来た強迫というやり方に打って出るにちがいないから。ただし、その強迫が安全保障問題に発展していけば、日本だって強みはある。在日米軍思いやり予算がその一つだ。日本政府も頑張れ!