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再度「太平洋戦争の大嘘」という大嘘(1)~(3)  文科系

2018年07月06日 09時06分05秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 訳あって過去の3連載を再掲いたします。

【 再度「太平洋戦争の大嘘」という大嘘  文科系 2018年04月01日

 拙稿の「太平洋戦争史」が気になる集団がいるしく、藤井厳喜さんとやらの「日本人が知らない、太平洋戦争の大嘘」と名付けられた本の広告がこのブログに再三掲載されてくる。その概要が宣伝文句として書いてあって、以下その事を一つ一つ批判してみたい。嘘も言いようという典型内容だと思う。これでは世界が習っている日本近代史が全て嘘になってしまう。ただし、こんな「太平洋戦争史」は、今大問題になっている佐川なんとかさんと同じで、安倍の日本復古調時代に咲いた、今の日本の一部にも通じないあだ花である。
 以下、初めに藤井さんの言い分をひとつずつ書いて、僕の反論を述べる。

『日本が真珠湾を奇襲攻撃したあの日、アメリカ大統領とイギリス首相は驚きや怒りなどではなく、電話で歓喜に狂ったのは何故か?』
 イギリス首相が喜んだのは当たり前。モンロー主義を取って来て当時の西欧俗世界から距離を置いていたやのアメリカが、ついに連合軍側について、全体主義国家と戦ってくれることになったのだから。時あたかも、大陸ロシア以外のヨーロッパはドイツに征服されて、次はイギリス上陸・征服戦が始まるかという時だったのだし。
 他方アメリカは、イギリスがフランスのようにドイツに征服されるかも知れぬと、怖れ始めていた。ヒトラーの全体主義世界実現をどうしても許せないと、モンロー主義をかなぐり捨てて参戦する機会を待ち望むようになっていたのである。日本の中国・インドシナ南下策、真珠湾が、その絶好の国民向け口実与えたということだろう。

『「絶対に戦争はしない」と誓って大統領に当選したルーズベルト…それなのに、なぜ戦争は始まったのか?国民を騙して戦争に引きずり込んだ、彼の裏の顔とは?』
 ヨーロッパ植民地主義国の昔ながらの列強戦争、アメリカ大陸干渉をアメリカが嫌っていたからこそ、モンロー主義を取っていたのである。が、ドイツ、日本という民主主義を否定する全体主義独裁国家が勝てば、次は民主主義国家としてのアメリカの存立も危うくなる。「モンロー主義を捨てて参戦」をどうしても国民に認めて貰わねばならなかったという情勢だった。
 そもそも、この戦争を始めたのは、ドイツと日本である。ドイツのポーランド電撃進入と、日本の中国・インドシナ南下作戦と真珠湾とが並んで起これば、アメリカが参戦しないわけがないのだ。日本の方が逆に、アメリカのモンロー主義を信じすぎたのかも知れない。ヒトラーと同じで、軍部独裁国家は政治理念、思想にはてんで弱かったということだろう。日本の中国・インドシナ南下作戦などに対してアメリカが「石油禁輸措置」を取ったのは、当時の日本政府にとって本当に驚きであった。自分の全体主義独裁に何の反省の兆しもなかったのだから、アメリカ流民主主義死守の姿勢を信じられなかったのである。日本軍部はそもそも、アメリカの対英独立戦争から始まる民主主義思想をアメリカがどれだけ信奉していたかを信じていなかったのだろう。】


【 再度「太平洋戦争の大嘘」という大嘘(2)  文科系 2018年04月02日 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 拙稿の「太平洋戦争史」が気になる人々が多いようだ。藤井厳喜さんとやらの「日本人が知らない、太平洋戦争の大嘘」という本の広告がこのブログに再三掲載されてくる。調べてみたら、安倍首相のブレーンの1人のようで、国会議員選挙に2度も出て2度とも落ちているお人。政治学者とあるが、政治学よりもどうも保守政治家になりたいお方らしい。それも、安倍周辺の政治家。加えてこの御本、無料で配布しているとあった。どこかから金が出ているのだろう。
 
 さて、この本の概要が宣伝文句に書いてあって、その事を一つ一つ批判してきたその2回目である。『 』内は、その本の宣伝文句。

『日本は終戦まで、アメリカに何度も何度も和平提案を送っていた。それを完全に無視し続けた上での原爆投下…瀕死の日本に、どうしてそこまでする必要があったのか?「原爆が正義だ」という狂気のデタラメを生み出した世界の力関係とは?』
 日本がアメリカに和平打診をしたかどうかなどは、ここでは大した問題ではない。現に、敗勢著しくなってもポツダム宣言を受けなかったという世界史的事実があるのだから。この全面降伏勧告を受けなかったことが、原爆投下という惨劇に繋がったという事の方こそ、日本国民も世界も周知の事実である。

『日本人が戦争に踏み切るきっかけとなった「ハル・ノート」。なぜ、そんな重要な内容を私たち日本人は教えられないのか?アメリカ大物議員すらも「国民への裏切り」だと絶句した、その内容とは?』
 ハルノートが『日本人が戦争に踏み切るきっかけとなった』というのが、大嘘である。大嘘というよりも、「ハルノートに怒り心頭! 開戦やむなし」とは、当時の日本側が戦意高揚のための宣伝に使っただけのこと。
 この文書は、開戦原因として『そんな重要な内容』なのではない。ハルノートは、12月8日の開戦直前の11月末に日本に送られてきたもの。日本は既に、開戦準備を密かに、すっかり終えてしまった段階で届いたものである。戦争原因については、それ以前にこういう経過があった。満州事変・国連脱退から、中国南下を続けた日本に、国連、アメリカが再三の警告と、「制裁措置」を与えてきた。「国際不法行為」と「強制・制裁措置」とのエスカレートと言えば、今の北朝鮮と国連との関係のようなもの。「石油禁輸も含めて」日本がほぼ全面的に悪かったから起こったことなのだ。いきなりポーランドに進撃して非難されたドイツとの、兄弟国だけのことはある。
以上の太平洋戦争の原因論争と、これについての右流ねじ曲げ論批判とは、このブログには無数にあるが、最も最近のものでは以下のエントリーを参照されたい。本年1月29日「太平洋戦争、右流ねじ曲げ理論に」】


【 再度「太平洋戦争の大嘘」という大嘘(3) 文科系 2018年04月06日

 さっき、こういうコメントを付けた。これをやや詳論したい。

『 戦前日本を庇う人が、その国連脱退を何も見ず、ハルノートのような太平洋戦争直前の「不当性」を問題にしているのが、笑える。要は、こういう話なのだから。
「国連をさえ脱退した国際的無法者が、それらの記憶も薄れた今になって何を言うか! その無法者ぶりには頬被りして・・・」

 大東亜共栄圏が出来たら、アジア人は日本天皇の臣民にされたろう。天皇制を批判したら、死刑である。これは、もしもドイツが勝っていたら世界がこうなっていたのと同じ事だ。ユダヤ人、身障者、黒人などの皆殺し。
 こんな世界を誰が望んだろうか。だからこそ、日独が負けたことが、世界にとってどれだけ良かったことか! 今の世界のみんながそう考えるはずである
。』

 このコメント前半部分は、右論者の常道の一つ。1931~3年の満州事変、国連脱退を何も語らないのである。現代世界では、北朝鮮でさえ脱退していないのに。国連を脱退すれば、国連法に縛られなくなる代わりに、独立国として認められる国連の庇護が無くなるわけである。戦前日本はこれ以降の事実として、どんどん無法者になっていった。(今回つける文科系の注  こうして、現在アメリカが国連無視へとどんどん傾いていることは、極めて要チェック事項なのである。ここに書いた日独の歴史の全てをあげてそう言いたい。ちなみにアメリカのこの国連無視行為が、1930年代の日独と同じように、世界有数の軍事力に物を言わせているという、この点が重要なのだ。イラン、シリア、北朝鮮、そして中国・・・全てに対してそうなのである。)

 コメント後半の「もし日独が大戦に勝ったら」という問いも、大戦をどう見るかにとって極めて重要なものだろう。
 日本には国民はいなくて臣民(天皇の家来である民)だけが存在したのだから、大東亜共栄圏とはこういうものになったはずだ。日本の天皇が支配するアジアに。日本天皇制度を批判したら、先ず死刑という「共栄圏」である。まー今戦前日本が批判されている朝鮮や、中国の一部やのような有り様を考えてみればよい。安重根のようなその国の愛国人士が殺されたとか、南京大虐殺のように反日勢力は皆殺しにあったとか。
 また、ヒトラーの世界支配など今の誰が望むのだろうか。鬼畜と言われた米英は、日独にも自由を与えた。原理としては黒人も有色人種も安心して住める社会であったし、戦後社会は事実としてもどんどんそう進んでいった。日独が勝っていたら、とうていこんな世界は来なかったと思えば、ぞっとするのである。
 こういう事実を前にしたら、右論者がよく語るこんな理屈も全く噴飯ものもいーところとなろう。
「日本、太平洋戦争は、植民地解放に貢献した」】
コメント (1)
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