たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

花組『Delight Holiday』_千穐楽ライブビューイング

2018年12月09日 23時03分02秒 | 宝塚
 朝から冷え込んでいる12月の日曜日、予定通り無事に花組の舞浜アンフィシアター公演『Delight Holiday』のライブビューイングを観てきました。郷里に戻ってきて初のライブビューイング。会場はやっぱり遠かった。ありがたいことに弟が車で送ってくれました。郊外の巨大ショッピングモールの中にある映画館。さらに田舎の、父が生まれた家を訪ねる途中にあります。家族連れで大賑わいでフードコートは坐れず、広すぎて広すぎてインフォメーションセンターまでも遠く、方向を間違えると戻るのが大変でした。帰りはバスで長時間の移動+最寄り駅から家までタクシー代を節約するためにワンメーターで降ろしてもらってあとは徒歩。車がないと無理なのだとしみじみわかった田舎生活、これからどうしたものかと暗澹たる気持ちになりながら、ライブビューイングの間は幸せ感でいっぱい。現実逃避の時間は大切。今現実逃避ばっかり。今月はまだまだ現実逃避。もっと田舎で不便しながら会場に足を運んでいる方々は全国にいらっしゃるだろうし、こんな田舎にいながら中継をみることができるだけありがたい。ライブビューイングやってくれるようになった劇団に感謝。観劇できることに感謝。生には叶わないけどこれはこれでよきかな。

 舞浜アンフィシアターは、幕張のシルクドソレイユが撤退したあとの会場だそうで宝塚初の公演。普段の劇場の額縁舞台と違って、客席がぐるりと舞台を囲んでいる不思議な空間でした。花組メンバー18名に生演奏はなんという贅沢さ。明日海りおさんと仙名彩世さんがトロッコに乗りながら歌う場面があったのですが、ライブビューイングではスタッフさん2名がトロッコを押している姿も映って、それもよしなのかなと思いました。平成最後の年末。演出の稲葉太地先生の書かれた「Delight Holiday」の歌詞が現実味あふれすぎていて、みんなこうやって毎年年末を迎えているんだよなあってしみじみ。

「今年ももうすく終わるね なんてね
  (今年ももうすぐ終わるなんて)

 話しているよね その繰り返し
  (話しているそれこそ幸せ)

 それでも今年も楽しくやれたね
  (当たり前の毎日 それは奇跡)

 こうしてみんなでいられるからね」

 プログラムは6日の大劇場日帰りバスツアーで購入しておきました。この公演は明日海りおさんのコンサートなのだと理解してからのライブビューイング。110分ノンストップでトークコーナーもあり盛りだくさんの内容でした。ジャズメドレーに始まり、平成のJPOPメドレー、みりおさんが演じた演目からAパターンで「アリスの恋人」「エリザベート」「ハンナのお花屋さん」「EXCITER」のメドレー、ディズニーメドレーと続きました。全員が白い衣装で歌ったジョン・レノンの「Happy X,mas and Happy New Year~♪」は素敵の極み。男役さんが娘役さんをリフトしていたのが美しかったです。宝塚らしく、トップコンビの美しいデュエットダンスもありました。みりおさん、圧倒的に出番が多かったですが、どのジャンルも歌いこなせる力量にあらためて驚きと感嘆。当たり前ですけど、喉がへたらない。歌い続けられる喉をお持ち。「エリザベート」の時には、表情にも仕草にも一瞬でトート閣下のスィッチが入っていました。芽吹幸奈さんシシィとの「わたしが踊る時」、「闇が広がる」が始まったときルドルフはどなたかなと思ったら優波慧さんでした。ハンナのお花屋さんから注目の優波さんが直前のトークコーナーで緊張していたのはこれだったのかと納得。ライブビューイングのカメラが、トートの前で膝を折ってくずれおちるルドルフをとらえ、ルドルフを見下ろすトートのほくそ笑むな口元、目つき、表情をとらえて映してくらたのありがたい。芽吹シシィの勝ち誇ったような表情もよかったです。数分だけで十分にエリザベートの世界へと引きこんでくれました。見応え、聴き応えのある「わたしが踊る時」、「闇が広がる」でした。エリザベートの楽曲はやっぱり神がかっているとこの数分で思いました。直後のトークコーナーで、仙名さんに、すぐに役になり切っていて、とふられたみりおさん、月組時代の舞台も含めてたくさんある中から厳選した曲たち、もう一生歌うことはないと思っていた曲たち、役がおりてきてくれて、でもすぐに離れていってしまった、トート閣下はもうそこにと天を見上げて、11時公演のロミオは今頃飛行機に乗ってイタリアに帰ろうとしている、みたいな話をされました。その時その時、役に命を注ぎ込んで演じているのだとしみじみ。

 終盤で、この公演を企画したのは宝塚歌劇団だし、作ったのは稲葉先生ですが、観にきてくれた皆様も一緒にやった花組生もみんな楽しそうで、自分も楽しくって、やってよかった、みたいな話をされた場面もありました。舞台にシルクハットが置かれた映像で幕が開き、下級生から登場して始まった舞台、ジェンヌさんたちの素のわちゃわちゃ、ゆるゆる、フワフワ感と、組子のみなさん、ほんとにみりおさんのことが好きなんだなっていう雰囲気が伝わってきてなんともあったかくって優しくって楽しい時間でした。最後に一言ずつとふられたとき、口々に明日海さん好きを語られるので、宗教みたいになっていませんか、大丈夫ですか、とみりおさん。一言一言がなんともゆるゆるで可愛いみりおさんでした。わたしの中で、シーラ役がアダルティ過ぎてなんだかすごく上手いけど苦手だなあになってしまった仙名さん、歌いまくり、踊りまくり、トークははっちゃけ過ぎていて振り切ってる感じがあり、素はこんな面白いキャラの方なのかと。退団発表されてなにかをおろしたようなはっちゃけぶりだと思いました。鳳月杏さんはどの場面も歌上手いし、足の長さが目を引くし、どこからどうみても、どの角度からみてもカッコよかったです。芽吹幸奈さんの歌の上手いことをあらためて認識したし、城妃美伶さんはプリンセス感にあふれていました。普段の舞台では個々の声を聴くことがない下級生の方々もみなさんほんとに楽しそうで可愛いなと思いました。最後の最後、拍手がなりやまない客席にみりおさんの声が流れ、「みなさま、終わりました。気をつけてお帰りくださいました・・・? お帰りください」から「さよならみなさま~♪ さようならごきげよう~♪ (ごきげんよう~♪)」とアカペラで歌ってくれて、「これでいいですか」でようやく客席納得。幸せなひとときでした。みりおさん、宝塚に入団してくれてありがとうっていう気持ちになりました。まだまだ語り尽くせませんが今日はこのへんで・・・。

(舞台写真は宝塚ジャーナルよりお借りしています)。