たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2012年『エリザベート』‐今回は、今までの中で最も成熟した大人のトート。それに生命力もあるからねーマテ・カマラスさん

2024年12月16日 15時55分31秒 | ミュージカル・舞台・映画

「2012年東宝ミュージカル『エリザベート』で、新トートとしてキャスティングされたマテ・カマラスさん。本場ウィーンやハンガリー、そしてウィーン版来日公演でもトートを演じて絶賛を浴びてきた彼が、なんと今回は日本語で、日本の東宝版『エリザベート』に挑んでいる。小池演出の下で、彼のトートはどう変化するのだろう。」

「‐今回のキャスティングは日本の観客にとって、うれしいサプライズです。

 僕もうれしいです。去年12月、シルヴェスター・リーヴァイが僕ニ電話シマシタ、「マテサン、日本ノトートヲ演じますか?」。僕ハ言イマシタ、「スゴイ!ヤリマス。ガンバリマス!!」。『MITSUKO』を日本語で演じたこともあって、小池修一郎さんは、僕ならやれるだろうと、リーヴァイさんに提案してくださったのだと思います。長年の知人であるリーヴァイも喜んでくれて。一つの役を幾つもの言語で、しかも今回はヨーロッパから遠く離れ、文化も異なる日本で挑戦できるなんてなんて素晴しい!実現してくださった方々への感謝の気持ちでいっぱいです。稽古を通して、台詞や歌詞の内容がわかるようになってきましたし、それをできるだけ日常生活でも使うよう心がけています。

 

‐日常の中で使える台詞とは?

 たとえば・・・誰かが大きな決断をしたとき、「マチガイハナイカ!?」と聞けるし、カバンを探して発見したら「ミツケテシマッター♪」

 

-トートとして、これまでにウィン―版とハンガリー版の舞台を経験なさっていますが、同じ役・同じ曲でも、言葉が変わると感情も少し変化するのではないですか?

 そうですね。演出も違います。「闇の中からみつめている~♪」と歌う場面を例に挙げると、ハンガリー版ではエリザベートのもとに走り寄って跪くけれど、ウィーン版では床に彼女を放り投げるようにし、彼女の膝の間ににじり寄る。東宝版といえば、彼女の手を取り、魔法をかけるように扱います。演じる側の気持ちに加え、観る方の印象も、エリザベートとトートのどちらが強い立場にあるかなど、変わるはずです。

 

-その場面で言うと、東宝版のトートはハンガリー版やウィーン版よりも紳士的?

 そうだと思います。僕自身、ハンガリー版のときは20歳くらいの”若者トート”、ウィーン版のときは20代後半で”青年トート”だったけれど、今回は30代だし、役柄としても最も成熟した”大人のトート”とはいえ、マテが演じる以上、生命力はあるからね!

 

-かつてインタビューで、トートは両性具有であり、エリザベートにとっては男性、ルドルフには女性だとおっしゃっていましたが、その解釈は変わりませんか?

 今回、少し別の者が生れました。小池さんの演出では、トートは両性具有というより性がなく、エリザベートが見る「もの」という感じ。彼女の目を通して性を与えられ、美しいプリンスになり、その姿のまま、ルドルフにも近づいていく。なぜならルドルフは、エリザベートに一番似ている人物だから。彼女が見ている姿と同じくプリンスなのです。

 

-つまり、人の思いを反映する存在だと?

 誰にでも訪れるものだから、死には無数の顔があります。自殺願望者は死をモンスターとして見るかもしれないし、重病人にとっては救世主かもしれない。僕自身は人生を謳歌していて、普段は死を身近にとらえることはないけどね。

 

-エリザベートにとって、死は魅惑的であり、かつ、時にモンスター的でもありますね。

 トートにしても、エリザベートに惹かれ、嫉妬し、待ちぼうけを食らって・・・といった具合に、ふたりの間に流れる感情の幅はとても広いんです。複雑な関係です。

 

-ウィーン版、ハンガリー版でのマテさんの演技を映像で拝見しましたが、エリザベートやルドルフに対して激しさをもって接していて、情熱的なトートに見えました。

 そうした部分は今回も必然的に表れると思います。死でありつつ、エリザベートを生き返らせたのは彼自身ですから、冷たいだけでなく熱さもあるトートをと考えています。

 

 -情熱といえば、エリザベートはハンガリー人の情熱的で誇り高い性質に惹かれたとされています。マテさんもハンガリーのご出身ですが、実際、そういう国民性なのでしょうか?

 ハンガリーに来る観光客の方々はそう言いますね。旧東ヨーロッパのスラヴやハンガリーは、西ヨーロッパに比べて情熱的。歴史的な背景がそうさせたのでしょう。

 

-東宝版ではハンガリー版と同じく、ハンガリーでのエピソードに焦点を当てています。演じるにあたっては自ずと力が入る?

 もちろんです。ウィーン版ではそこがはっきり表現されないのだけれど、エリザベートやルドルフとハンガリーの独立運動との関わりは大切なエピソードですから。エリザベートはハンガリー人に対してハンガリー語を話しましたよね。その国の言葉を使うのは、その人たちに敬意を表する行為。だからこそ、僕も日本語を喋りたいんです。

 

-そんなマテさんのトートがどのようなものになるか、楽しみでなりません。

 とてもいい感触です。<愛と死の輪舞>にしても<闇が拡がる>にしても、僕がこれまで演じた中で一番良いものになっていると思います。小池さんは強いビジョンをお持ちの演出家なので、僕のビジョンと合わせるのが楽しい。絶対に素敵な舞台にしますので、「ゼヒ、観ニ来テクダサイ!!」

 

 

 

 

 

 

 


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