行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

貧しい国からの支援物資が届けられた背景

2012-01-31 22:01:46 | Weblog

昨日のNHKニュースでバングラデシュ政府が東日本大震災に際し、毛布2000枚、長靴500足、ゴム手袋1000組を支援したことを報じ、一人あたりGDPが1700ドルの国が何故日本の災害に寄付してくれたかという問いから、長年日本がODAでバングラディッシュを応援してきたことをあげていた。特に近年日本の財政難からODAの額がピーク時の6割に減少してきたにも拘わらず、現地住民の日本への感謝が強い理由として現地住民に密着した援助実績を紹介していた。一例として、産後母子への衛生面の援助で感染症予防を紹介していた。注

かつてODAといえば道路、橋、建物といったハード面が中心であったが、予算減少で大型プロジェクトは難しい時代となった。途上国でこの空港は日本の援助で造ったと日本人駐在員からいわれても、現地の人が認識しているかというとそうでもない。日本から現地政府に頼んで日本の援助で造った橋の写真をお札に印刷してもらうことになる。住民に密着した援助は継続するし、金額は小さいが日常的に感謝される。私が奉職していた国際労働財団は児童労働対策で学校を運営したり、エイズ撲滅教育をしたり、現在では生活指導まで支援している。こうしたソフト面での援助が日本への感謝の気持ちを育む。

貧しい国バングラディッシュからのお見舞いはこうしたソフトODAに対するお返しで、今度の震災時には在日バングラデシュ人により炊き出しなどの支援も行われた。一人あたりGDP1200ドルのアジア最貧国ネパール政府からも、東日本大震災直後3月26日、毛布5,000枚が支援物資として届けられた。

かつて今岐阜の知事になっている古田氏が外務省の経済協力局長だった時に、アポを取り、ソフトODAの重要性を説いたのだが、「国会の先生方はかたちが残るものでないとだめ、援助したダムや橋がその国の紙幣に印刷されれば喜んでくれる」と聞く耳を持たなかった。いまや外務省もJICAもその重要性を認識し、NGO支援に熱心で、まさに隔世の感だ。

(注)、国際協力機構(JICA)は25日、バングラデシュ人民共和国政府との間で「母子保健改善事業(保健・人口・栄養セクター開発プログラム)(フェーズ1)」を対象として50億4千万円を限度とする円借款貸付契約に調印した。母子保健分野の案件に対し、円借款が供与されるのは今回が初めて。

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