行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

遅かった少子化対策

2019-12-22 23:35:11 | 生活

20年前、息子の女友達が結婚報告ということでパートナーを連れて自宅に来られた。彼はオランダ人のRさん、優しそうで真面目な好青年だった。ところがオランダで双子の女の子を産んでから、夫のRさんが自殺したという訃報が入って驚いた。原因は知るよしもないが、こういう事情だと彼女の両親の元へ帰国せざるを得ないと思っていたが、息子の報告ではオランダで子育てをするという話を聞いて更に驚いた。しかし彼女の決断は正解だった。先日息子が出張の折にアムステルダムで18歳になった娘さんと友人に会ってきたが、しっかりと根を張って生活をしている母娘の写真を見せて貰った。

調べてみると、遺族年金が16歳(障害者の場合は18歳、学生の場合は21歳)までの完全遺児に支給される。オランダは生まれると児童手当が18歳まで支給されその額はおよそ1歳~5歳年額10万円、6歳~11歳13万円、12歳~17歳15万円、更に教育費は日本だと年間公立でも10万円掛かるが、オランダでは公私を問わず16歳までの義務教育は無償だ。生徒は自分の学校が公立か私立か判らないという。親の所得の差にかかわらず、18歳以上のすべての就学者には奨学金が支給される。学生の交通費は無償など、オランダでは子供を二人養いながら生活できるのだ。

日本では少子化対策といいながら、1人親が二人の遺児を育てるのは至難だ。ようやく来年度予算で少子化対策費として3兆387億円、28.9%増となった。20年4月に始まる高等教育の無償化に4882億円、19年10月に開始した保育・幼児教育の無償化に3410億円を投じる。消費増税で得る財源を使った大型の再分配政策だが、遅きに失する感がある。

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