突如襲った2020年初頭のパンデミックは多くの労働者が休業や解雇に追い込まれる事態となり、企業には雇用調整給付金や助成金の拡充、解雇された非正規労働者には自分で給付の申請ができる休業支援金などの対策が実施された。その結果を見てみよう。
完全失業者数は,2021 年平均で 193 万人と,前年に比べ2万人の増加(2年連続の増加)となった。コロナ以前の2019年は162万人だったので、約30万人増で留まった。
完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は,2021 年平均で 2.8%と,2020年と同率となった。これを月別に見ると年初の2.9%から年末には2.5%になっているので改善の方向に入っている。コロナ以前の2019年は2.4%だったので、政府の緊急対策がある程度効いたといえる。
完全失業者を求職理由別にみると,「勤め先や事業の都合」により前職を離職した者は 36 万人と1万人の増加,コロナ前からは5万人の増加、「定年又は雇用契約の満了」により前職を離職した者は 20 万人と前年と同数だったがコロナ前からは4万人の増加となった。「自発的な離職」(自分又は家族の都合により前職を離職)は 73 万人と前年と同数となったがコロナ前からは3万人の増加となった。
やはり、勤め先や事業の都合による解雇者は多く、定年延長を断念した人や労働契約延長を認められなくなった人がその次に多い。
別の厚労省の統計で、新規有効求人状況を見てみると、2021年4月から前年よりプラスに転じ、11月には12.3%、12月には12.2%増と雇用情勢は良くなってきている。12月の求人増は産業別で見ると、製造業34%、情報通信業20.4%、一時は多くの解雇者を出した宿泊業・飲食サービス業でも12.7%と。全ての産業で求人増となっている。むしろ人手不足になりつつあることが判る。