ゴルフの恐さ、面白さ、メンタルの重要さをつくづく感じたゲームだった。最終日、4打差でスタートした上田桃子、出だしから連続5バーディで17アンダーとし、今日は独走で桃子デーかと誰しも思っただろう。36歳上田はデビュー以来16回ツアー優勝、10億(歴代7位)も稼ぐ百戦錬磨のベテランだからだ。ところが2位から出た30歳青木瀬令奈が8バーディー、ボギーなしの64でスコアを八つ伸ばし、通算17アンダーで4打差を逆転して4回目の優勝を果たした。
上田は最終日前半2位との差が5番で8打差と開き18アンダーとなり、まさか逆転されるとは思わなかっただろう。メンタル面でも強い上田だが、気の緩みというか緊張感が途切れたのか、11番、13番でまさかのダブルボギー、2位の青木瀬玲奈は距離は出ないがショットは良く、パットも最終ラウンド22と冴え、淡々とノーボギーゴルフでせまり、5番で2mを沈めてこの日最初のバーディー奪い、後半6バーディ17アンダーに伸ばし逆転した。通算17アンダーはこれまでの記録14アンダーを上回り、鹿児島高牧CCで開催された大会新記録。終わってみれば2位に4打差をつけて圧勝した。
2位は通算13アンダーの笹生優花、11アンダーの3位に原英莉花、小祝さくら、上田桃子、稲見萌寧ら9選手が並んだ。
最終日健闘したのは昨季の年間女王・山下美夢有、トーナメントコースレコードを1打更新する「63」をマークし、通算10アンダー・12位タイまで追い上げた。次回は優勝に絡む闘いを期待したい。もう1人、ツアールーキーで11アンダー3位タイに入った平岡瑠依で、上田、原、小桜、稲見といった強豪と3位を分けたことは自信につながっただろう。
またアマチュアの高校生馬場咲希はショットが良かったが、最終日パットが31と悪く通算9アンダーで16位だったが初日は66で回って健闘した。解説者の服部道子は馬場を日本の女子プロゴルフ界の宝だと言うほど期待していた。