4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.5%増、年率換算で6.0%増だった。名目ではなんと年率12%だ。3四半期連続プラスなので景気が良いと言うことだが、どうもピンとこない。まして名目とはいえ2桁成長には驚いた。内訳の下表を見て、皆節約しているのに、なんでこんな高い成長が出来たのかさっと見ても判らない。GDPの6割を占める個人消費は実感通り、マイナスだ。
半導体など企業の設備投資がニュースになっているが、これも横ばいだ。公共投資はと見ると、実質1.2%、名目2.0%で年率2桁とはかなりかけ離れている。
謎は輸出入にあった。
輸出は前期比3.2%増で2四半期ぶりのプラスとなった。半導体の供給制約が緩和された自動車の増加がけん引した。つまり受注がたまっていた自動車が4~6月期に部品がようやく手に入ったので生産を急増し、輸出したことが主因、次にインバウンド(訪日外国人)の回復もプラスに寄与した。インバウンド消費は計算上、輸出に分類される。これだけでは説明出来ない。輸入が大きく減少したこともGDPを押し上げた。輸入は4.3%減で3四半期連続のマイナスだった。原油など鉱物性燃料やコロナワクチンなどの医薬品、携帯電話の減少が全体を下押しさげた。
実感出来ない大幅な輸出の伸びと、輸入の減少が名目12%成長の数値を実現させた。しかもたまたま自動車生産の急増と輸入の大半を占める石油の国際価格が低下したことによるものだった。
7~8月期は元に戻るだろう。