今月のブログで「スマホの光と影」を書いたが、スマホはデジタル社会の典型的な端末で道具だ。デジタル社会で進行中なのが配車アプリを使ったウーバータクシーや宅配事業、インターネット上で仕事を紹介・提供するクラウド・ワーキング・サービスなど、「プラットフォームエコノミー」だ。
ウーバー社は自家用車を保有する人と乗車したい人をアプリ上でマッチングさせるサービスを展開するプラットホームの一種だ。シアトルではアマゾン本社に5000人おり、毎朝ウーバータクシーで出勤するので交通混雑に拍車を賭けているといわれている。
日本ではタクシーの規制が厳しく、ウーバー社は都会では営業できないが、過疎地などタクシーがない地域でプラットホームを提供しようと虎視眈々だ。弁護士以上に厳しい試験をパスしないと運転手になれないロンドンタクシーに挑戦したのがウーバーだが、運転手の労働条件が低く、英国伝統の一般労組(GMB)が労組組織化を目論み、「運転手らに労働者としての権利を与えるべきだ」と訴えた。ウーバー社は自社の運転手ではない個人契約者だとして拒否した。11月10日、英国雇用裁判所(控訴審)で「ウーバー運転手は労働者」とする判決が出て、昨年の一審に次ぐ、労働者側の勝利判決となった。
国連開発計画(UNDP)は、こうしたプラットフォームを通じて今後3年以内に世界で10億人以上が労働市場に参入するとの試算を公表している。こうした事業が雇用や労働条件、労働市場に与える影響いわゆる雇用の劣化を招く恐れが強い。日本ではネットで仕事を紹介する事業が発展しているが、労働者を保護するのは労働法だけだ。英国のように個人で加入する地域の労働組合が積極的に関与することが求められる。
また、メルカリや楽天市場のように実際の商店はなく「市場」に売り手と買い手を呼び込んで売買を成立させるビジネスだが、違法商品や現金出品、詐欺(送金したが商品が来ない)など問題が出ている。これをどう正常化するか知恵を絞らないと不安社会となる。便利な裏にはリスクも有るデジタル社会と割り切るしかないのだろうか?
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