行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

BRICsの組合リーダーからの報告

2010-09-17 23:07:18 | Weblog
昨日は国際労働財団の招きで在日したBRICsの組合リーダーの報告会があった。組合リーダーといってもスタッフとして各国の経済や労働条件などを研究している人材だった。
共通して言えるのは先進国組合リーダーが最近口癖になっている「グローバリゼーションで貧富の格差が広がった」という見解に対して、成長が続いているため、格差は広がったとは言えず、グローバリゼーションのおかげで生活が豊かになったという。しかし各国とも大きな課題を持っている。

特徴的なことはブラジルは労組出身のルラ大統領により政治への信頼感が戻ったことだ。社会的な課題は政労使の3者構成フォーラムで決めている。この10年間の成長率は年平均3.5%でそれ以前の20年間の成長率は1.5~2%で、失業率も低くなっており、社会的な格差は減少している。ブラジルからの参加者は労働・社会経済研究所からで、この研究所自体がつくられたのは政府の統計数字特にインフレ率が信頼できないから独自の調査の上、物価や失業率の計算をして運動の基礎にしている。

ロシアについては、プーチン前大統領以来強権政治が行われているが、労働組合は人権を守り、社会保障の改善に取り組み、雇用を守ることで政治と経営者を相手にぎりぎりの妥協をしながら組織を維持していることが伝わってきた。問題はサービス産業の肥大化で若者の多くが就職しているが組合がないことで良い仕事と適切な賃金のために組織化が課題。

インドはグローバル化であらゆる部門に投資がされ、競争に負けた中小企業が倒産している。それに反し、IT産業は大きく発展した。多国籍企業で労働者のスキルが向上すれば理想だ。現状は幹部は賃金が高いが労働者は国内企業より低い。インドでは10のナショナルセンターそれぞれ政党と関係を持っている。企業の中に複数の組合があり、複雑で政党との関係があり統一は見えない。

中国はインドと違い、中華全国総工会だけが組合と認められている。政党が事実上共産党だけだから、共産党の下部組織となっている。昨年は8.9%の成長で、今年は日本を抜くといわれるが一人あたりのGDPは3600米ドルで日米の10分の一にすぎない。また所得の地域格差(都会居住者一人あたり可処分所得15781元、農村居住者4781元)縮小が課題、
しかし、若者の失業を当面解決しなければならない。即ち農村から都会に働きに来ている若い失業者は農業の経験もないから農村に帰れない、少なくとも解決するには1300万人に雇用が毎年生み出されなければならないが現実は800万人にすぎない。

南アフリカから来る予定の金属労組のリーダーは旧知の友人で、会えるのが楽しみだったが賃上げストの真っ最中で来られず残念であった。
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