行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

米国労働組合組織の官民逆転

2010-01-24 17:58:32 | Weblog
22日付けのニューヨークタイムスに米国労組組合員の過半数を歴史上初めて官公労組合員が占めることになった、と以下のごとく報じている。

2009年の新しい調査によれば、ついに官公労の組織人員(7.9百万人)が民間の組織人員(7.4百万人)を上回った。組織率は官公労が37.4%(08年は36.8%)民間が7.2%(08年は7.6%)と官公労の組織率は上がり、民間の組織率は落ち込み現象が継続した。全体の組織率では12.3%(08年12.4%)と若干の減少となった。(注、日本は18.5%の組織率で08年より0.4%上がった)

民間労働者の減少は最近の金融危機で製造業と建設業での就業者(大部分組合員)減少が主因である。製造業では鉄鋼や自動車などの産業で130万人の労働者が減り1160万人となり、建設業では90万人の労働者が減り590万人となっている。

米国労働局によれば、組合員正社員の週給の中央値は908ドルであったのに対し、非組織化労働者のそれは710ドルという結果だ。当局は不況にも拘わらず雇用は16000人増加したと言っているが、労組幹部は良い仕事が減って悪い仕事が増えたことが原因と分析している。

専門家によれば、組織労働者の中で官公労組織が過半を占めたことは政治的なインパクトは避けられず、特に民主党の中で官公労の影響が大きくなると分析している。そして民間労働者が組織しやすい環境を創るべきだとの動きが出てきて法案が吟味されてるが、経営者団体は反対している。

以上が報道内容概略だが、資本主義の総本山、小さな政府をうりにしている米国で官公労の勢力が強くなることに衝撃が走ったわけだ。現行法で米国の工場に労組を組織化するのは容易ではない。日本と違い、投票によって過半数の労働者が賛成しないと労働組合は認められない。しかも投票には経営側も労組組織化反対のキャンペーンをすることが認められていて従業員の家庭に工場長自ら手紙を送り、組合に反対するように要請することもしばしばある。
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