かつて私が労働運動をしていた拠点の電機連合から今春闘の要求案が送付されてきた。賃金要求は定期昇給だけでベースアップは要求しないで、企業の業績によるボーナス要求はするという内容だ。まさにデフレ型の要求で増税が現実になれば業績の悪い企業の組合員は可処分所得はマイナスになる。電機産業大手の企業ではこの10年、何とか賃金水準は維持しているが中小企業は数%のダウンという背景分析をした上での要求で、組合の存在価値が問われることになる。
一方、2011年の「パートタイム労働者総合実態調査」(厚生労働省)の結果、6月1日現在の雇用労働者に占めるパートの割合は27.0%で、5年前の前回調査(25.7%)より上昇している。業種別では小売業、外食産業などは8割、9割パートという企業もあり、パートの処遇改善も春闘での大きな課題である。均等待遇を基本に、時間給の改善はもちろん、社会保険対象にする運動をしないとやがては正規従業員の負担が増えることになる。大手スーパーの経営者はこぞってパートを社会保険対象にすると企業負担が増えるとして反対しているが、視野が狭い、保険という性格は広くうすく多くの人が参加して成り立つものだ。
極端な話、パートの比率がこのまま増え、50%になったら半分の労働者で社会保険を支えなければならないが不可能なことだ。労働者を雇用し企業を経営する以上、その国の社会保障制度に組み込むというのが社会責任というものだ。自分だけが楽をしたい、儲けたいではその企業や業界は社会的存在価値がない。イオンにしろ、ヨーカドーにしろこのご時世に大幅な増益決算の発表だ。率先してパートの処遇改善に取り組んでもらいたい。
年間労働時間にしても、労働者平均2010年1754時間でこの10年300時間減少しているような統計が出てるが、パートの比率が上がっているための現象で正規従業員の労働時間は2008時間、電機連合の要求は10年前と変わらず1800時間だ。
賃金が上がらない時は、労働時間短縮で実質賃金を改善するのが労働運動だ。
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