日本の大問題は実質賃金が7年間も下がり続けていることで、世界でも日本だけだ。一方企業は財務省法人企業統計調査によると、「内部留保」(金融機関を除く全産業)は、2017年度末で446兆円となり、現金預金は2018年度、金融を除く全業種で120兆円にも達し、株主から自社株買いを促されているほどだ。
各産別労組が春闘の要求案を決めているが、7年間の経過を見ると、労組の力不足といわざるを得ない。3000円の控えめのベア要求なのに1000円で妥結をした電機連合には、ストライキを背景にかつて歯止めをかけて要求をとるという覇気は感じられない。自動車総連もトヨタの独自路線でバラバラだ。企業情勢からは最低でも3000円のベアは取り切り、連合の継続的要求である4%賃上げに近づけて貰いたいところだ。安倍首相も経済成長を念頭に置いて「東京オリンピックの時は12%の賃上げだった」と経団連の会合で経営者に賃上げを要請している。
ところが、18日付け日経の報道によれば、電機連合はベア3000円を一律に求める一方、賃金改善と教育や待遇などと合算した回答を認めることも検討しているとのことだが、これでは3000円のベアを取ることはできないだろう。経営側のペースに巻きこまれ、個別企業の事情による回答になり、自動車総連と同じ轍を踏むことになる。長い歴史の中で賃金引き上げとその他の処遇改善は労働協約交渉でときっちり分けて来たのはごちゃごちゃにされるとベア獲得に影響されるからでましてスト突入の統一歯止めなど決められない。
春闘では賃上げと割り切らないと、企業の内部留保を増やすだけだ。
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