行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

ヘンデルのメサイアで中高年合唱隊がんばる

2010-12-12 18:20:15 | Weblog
昨日はNGOジャパン・ヴォランティア・センター(JVC)が主催するチャリティコンサートに出かけた。出し物はヘンデルのメサイア、初めてだったのでハレルヤコーラスぐらいに思い込んでいた不明を恥じた感動の大作であった。企業のドネーションや個人個人のヴァランティアで運営されたコンサートがかくも整然と行われ今回で22回、日本のNGOも力を付けてきたと感じた。

指揮者は米国人のオペラ指揮者ポール・ポリヴィック、ソリストも4名米国からプロが参加、航空券は某航空会社のドネーション。管弦楽は内外で活躍しているテレマン室内オーケストラ、そして合唱はヴォランティア(女性214名、男性128名)で構成されるJVC合唱団で毎年4月に募集し、結成後この日のために練習を重ねてきたことが気合いで判った。

確かにハレルヤコーラスもあったが休憩をはさみ、3時間をこえる演奏、キリストの一生のストーリーはまさにオペラ並みの長さだった。その間、合唱とプロのソリストとオーケストラとの呼吸もぴったりで指揮者のとおりといってしまえばそれまでだが、300人をこえる合唱隊が一丸となる響きには迫力があった。合唱隊には定年退職後の人も多く、男性陣で頭の黒い人は1割ぐらいだった。
来年はバッハのクリスマス・オラトリオで年末の楽しみが増えた。
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工場見学ブームの視点

2010-12-10 22:14:14 | Weblog
工場見学ブームで各旅行会社がいろいろな企画を競っており、物作りの現場を見ることは歓迎だ。中には夜の工場がきれいで外から眺めるという企画もある。確かに夜、羽田に着陸するとき東京湾沿岸の製鉄所や石油コンビナートの明かりはきれいだ。

私は仕事柄、日本中の電機、自動車、鉄鋼など金属工場を見てきたし、欧米やアジアの工場も見てきた。日本の工場は整理整頓が行き届いていて見学者には適しているだろう。愛知のトヨタの工場では10年以上も前から世界中から見学者が来るので、専門の案内担当者がいて工場の入口にバスを着けるとそのまま見学コースに入りコースもきちんと整備されている。ほとんどが製造ラインの上から見学する趣向、出口にはバスが待っているという効率の良さで、何分かおきで見学チームが入り、中国語や韓国語も飛び交う。

ここで、ただ物作りを見るだけでなく、気をつけてみて貰いたいのは工場は危険と隣り合わせなので、「安全」ということをいかに重要視しているかということだ。例えば階段にはぶつからないように上り下りに→が書いてあるし、場所によってはヘルメットや安全靴(物を落としてもつま先が怪我しない)を着用している。女性作業者の長い髪が機械に巻き込まれないようにきちんと帽子の中に収まっている。安全の第一歩が整理整頓ということも判る。普段の家庭生活でも役に立つ安全への知恵が工場にはある。

外国と日本で大きな違いは日本はまだ立ち作業が多いことだ。日本の工場で立ち作業だからインドネシアの工場もそうしようとして労使紛争になったケースもある。昔、訪問した米国の家電工場では立つか座るかは作業者に任せていた。最近訪れたフランスやイタリアではスーパーのキャッシャーでも座ってお客に対応していた。腰痛も労働災害だし、それを考えると各工場でどんな対策をしているか聞いてみるのもいい。

そこで働いてる人の労働条件(労働時間、賃金)やできたら工場の昼食メニューなども聞いてみるのも参考になる。私は仕事で工場訪問するときは工場食をご馳走になることでそこの工場の経営の一端を知ることができた。
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ある国際労働運動家の引退

2010-12-08 21:52:54 | Weblog
昨日はIMF(国際金属労連)の本部(ジュネーブ)に35年間、世界の各国の労働運動に国際産業別組織から携わって来た鎌田普IMF書記次長のご苦労さんパーティが開催された。鎌田氏は1972年にIMFの日本組織、金属労協に入られ、1975年結婚するとすぐに25の若さで日本人として初めてジュネーブの本部に赴任した。

本部は欧米の猛者労働運動家の牙城、日本というかアジア代表としてその苦労は並大抵ではなかっただろう。彼の英語力は申し分なかったがジュネーブはフランス語の世界、ゼロからマスターしなければ本部内の仲間とは意思疎通ができない。上司の書記長はスエーデン出身で英、仏、伊、スペイン語などを操る。20代の若者には毎日が試練だったのではないだろうか

その後、IMFの仕事では途上国の労働運動を支援することが大きな比重を占めており、鎌田氏はアジアの労働組合育成に心血を注いだ。欧米流の理想を追う労働運動と多国籍企業のアンチ労働組合政策との間に挟まれ、苦労が多かった。アジアの金属労組指導者間で鎌田氏ほど尊敬された指導者は見あたらない。

35年間海外赴任、そして引退というのは外交官でも、大企業の社員でも聞いたことはない。その間、世界中を駆け回って来たが、留守宅を支えてきた奥様のご苦労も大変だったろう。
後任に、日本から若者がジュネーブに赴任したが先ず、フランス語で苦闘してる由、でも日本の会社では味わえない世界が広がっている。

大学生諸君、内向きにならず、思い切って海外で働いてみたらどうだろう。ジュネーブにはILOという国際労働機構があり、日本政府は大スポンサーだがそこの職員にしめる日本人スタッフの数は少ない。毎年ネットで公募しているので是非挑戦してみてほしい。
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シルビアの肺がんは受動喫煙?

2010-12-06 21:17:53 | Weblog
元ロス・インディオス&シルビアの歌手・シルビアさんが肺がんで亡くなった。52歳という若さだ。ヒット曲「別れても好きな人」は私が電機連合の役員をしていた時分、良くカラオケで歌った。電機連合の事務所は麻布十番一の橋にあるが、80年代当時は地下鉄の駅もなく陸の孤島で知る人も少なかった。それでこの「別れても好きな人」に出て来る地名(渋谷、原宿、六本木、乃木坂、赤坂、高輪)は麻布十番を中心に10Km以内にあるというと何となく事務所の所在地が判ってもらった。

シルビアの死亡報道では何故肺がんに罹ったかという内容のものは検索した範囲では一切ない。私の推測では、シルビア自身が喫煙していたか判らないが、働いていた環境そのものが悪かったのではないか?いわゆる受動喫煙という悪い環境だ。私の知人でご主人がヘビースモーカー故に奥さんが肺がんで亡くなった。肺がんと喫煙の関係は世界的には自明と言って良いだろう。欧米では公衆のいる空港、駅、レストランなどでは禁煙で、決められた場所でしか吸えない。

日本では神奈川県が最も積極的で、飲食店の禁煙化に取り組んでいる。10年前に比べるとタクシーや新幹線も禁煙化が進んでいるが欧米に比べるとかなり遅れている。スポーツでも驚くのはゴルフ場で喫煙を許している。また、最近は私の周りで同じ年回りの知人、友人が肺がんになるためか、中高年は禁煙をした人が多いが、若い女性の喫煙が多くなっている。マナーが悪いからなおさら目立つのかもしれない。

友人が肺がんに罹り、「この春を見るというのは贅沢なのだろうか」といった年賀状を貰ったときはショックだった。幸い、最近の医術の進歩で回復し、1年に一回訪ねていってゴルフをすることにしている。

国民の健康を守るという意志が政府にあるなら、将来に禍根を残すことにならないよう早急に欧米なみに喫煙を規制すべきだ。航空機内では今では世界どこでも禁煙で、やれないことはないことが証明済みだ。
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「坂の上の雲に」思う

2010-12-04 23:56:35 | Weblog
NHKドラマ坂の上の雲第2部が始まる。昨年から2年がかりのドラマで海外での撮影などずいぶんと金のかかった作品だけに見応えがあると期待している。
私が文庫本で読んだのは1978年第一版であった。当時日本は世界第2の経済大国となり石油ショックを克服し、省エネ型産業構造に世界に先駆けて転換し米国に脅威を与える存在になりつつあった。

国内ではディスコブームで六本木が賑わいだし、やや世の中浮かれ気味だった。当時「坂の上の雲」を読んだ感想は明治時代の勢いと違い、戦争はしないでついに日本は上り詰めようとしているという高揚感であった。

現在、ドラマを見ると20年も停滞し、アジアの国々に追い上げられている日本の老いを感じざるをえない。「坂の上の雲」の時代は、ついこの間終わったドラマ「龍馬が行く」で龍馬が暗殺されて30年足らずの時代で、伊藤博文首相も陸奥宗光外相が2つのドラマに登場しているが、龍馬の時代とはすごい隔たりがあると感じた。

今更ながら感心するのは、映像で見るからなおさらなのだが、幕末から明治にかけて、日本人はすごいスピードで変化に対応したことだ。
もちろん、明治に入って30年弱、その間旧勢力の武士階級の反乱が全国で起きたり、変化について行けない人も多数あったが、指導者の使命感と覚悟で克服した。

前回のブログで触れた現在の国会や政党のお粗末さは、明治時代の指導者の気概に比べるとなさけなくなる。もちろん国会議員も「坂の上の雲」を見ているだろうから自身感じていると思うが・・・

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レイムダック化する国会と小沢問題

2010-12-02 17:23:41 | Weblog
米国での中間選挙で下院では共和党が勝利し、日本の参議院でのねじれと同じ現象が米国でも生じた。政権与党との対立が激しく、重要法案が通らず国会がレイムダック化しようとしている。米国ではこのままでは必要法案が成立しないので失業給付がストップするとしてオバマ大統領が共和党と話し合いに入った。共和党も必要法案を通すとしてこれに応じた。

日本の方は与野党のチキン戦争となり、補正予算は自然成立するが郵政改革法や派遣労働改革法等他の法案が今後参議院を通過し成立する見込みはない。参議院では数の論理だけがまかり通り、協議して与野党妥協の法案が一つもないというお粗末さだ。

日本の国会では週刊誌記事みたいな個人攻撃ばかりで、うんざりさせられる。第一の責任は当然菅内閣特に首相のリーダーシップ不足にあることは明らかだ。与野党対立の第一の課題は小沢問題で、早く国会に喚問し、政治とカネの問題に決着を付けるべく菅総理が音頭を取らなくてはならない。

最近の小沢事務所等の政治資金報告報道で驚くべき事実が判明した。以前から週刊誌では取り上げられてきたが今回は公開された事実で、小沢錬金術ともいうべき内容だ。小沢さんは金の延べ棒を隠してた金丸さんの弟子だが、やることは合法的?錬金術だ。94年の新政党解散で9億2000万円を自分の政治団体に取り込み、今回の選挙でいったん民主党岩手県4区総支部をトンネルにして3億7000万円を小沢グループの議員に配布した。新政党の資金には立法事務費とい公金が含まれていることは判っていながらだ。

2003年に自由党が解散したときも13億6186万円が小沢塾、改革国民会議に取り込んでおり、このうち5億5000万円は政党交付金だ。小沢さんは壊し屋というが事実は政党を作りその資金を政党解散時に自分の政治資金にするという巧妙な錬金術屋といった方が良いだろう。

小沢さん自身、国会にはいつでも出るといったが、喚問に応じない訳だ。国会の権威はどこへ行ったのだろうか。また今後審議拒否で国会が空転するなら議員の歳費は日当制にしたらどうだろうか。
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