行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

工場見学ブームの視点

2010-12-10 22:14:14 | Weblog
工場見学ブームで各旅行会社がいろいろな企画を競っており、物作りの現場を見ることは歓迎だ。中には夜の工場がきれいで外から眺めるという企画もある。確かに夜、羽田に着陸するとき東京湾沿岸の製鉄所や石油コンビナートの明かりはきれいだ。

私は仕事柄、日本中の電機、自動車、鉄鋼など金属工場を見てきたし、欧米やアジアの工場も見てきた。日本の工場は整理整頓が行き届いていて見学者には適しているだろう。愛知のトヨタの工場では10年以上も前から世界中から見学者が来るので、専門の案内担当者がいて工場の入口にバスを着けるとそのまま見学コースに入りコースもきちんと整備されている。ほとんどが製造ラインの上から見学する趣向、出口にはバスが待っているという効率の良さで、何分かおきで見学チームが入り、中国語や韓国語も飛び交う。

ここで、ただ物作りを見るだけでなく、気をつけてみて貰いたいのは工場は危険と隣り合わせなので、「安全」ということをいかに重要視しているかということだ。例えば階段にはぶつからないように上り下りに→が書いてあるし、場所によってはヘルメットや安全靴(物を落としてもつま先が怪我しない)を着用している。女性作業者の長い髪が機械に巻き込まれないようにきちんと帽子の中に収まっている。安全の第一歩が整理整頓ということも判る。普段の家庭生活でも役に立つ安全への知恵が工場にはある。

外国と日本で大きな違いは日本はまだ立ち作業が多いことだ。日本の工場で立ち作業だからインドネシアの工場もそうしようとして労使紛争になったケースもある。昔、訪問した米国の家電工場では立つか座るかは作業者に任せていた。最近訪れたフランスやイタリアではスーパーのキャッシャーでも座ってお客に対応していた。腰痛も労働災害だし、それを考えると各工場でどんな対策をしているか聞いてみるのもいい。

そこで働いてる人の労働条件(労働時間、賃金)やできたら工場の昼食メニューなども聞いてみるのも参考になる。私は仕事で工場訪問するときは工場食をご馳走になることでそこの工場の経営の一端を知ることができた。
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