行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

年金生活者のマネー、不気味な信用不安

2023-03-15 18:05:07 | 年金生活者

米シリコンバレー銀行が突然信用不安が基で金融危機以降で最大の米銀破綻となり、株式市場では世界的に銀行株が売られ、巨額の時価総額が吹き飛んだ。日経平均も3日間合計で1400円(4.9%)も下げてしまった。

シリコンバレー銀行は、新興テクノロジー企業を主な取引先とし、昨年末時点で総資産が約2090億ドルと全米16位だった。突然の破綻の背景は今後の調査を待つしかないが、報道によると、「米連邦準備理事会(FRB)によるこの1年の積極的な利上げでスタートアップ業界の資金調達など財務面の状況が悪化したことも大きく影響し、シリコンバレー銀行は預金減少に対処するため資本調達を試みたが、FRBの利上げで価値が大きく低下した米国債で18億ドルの損失を出した」ことが引き金になったようだ。
米国債という安全資産も満期まで持っていれば元本は保証されるが、現時点で評価をすれば高金利政策により長短金利が逆転し、国債を処分すれば損失となる。そんなことは当たり前なのだが、シリコンバレー銀行への信頼が損なわれると、危険だという経営に対する信用不安が生じ、取り付け騒ぎが起きた。銀行への信用不安は他行にも影響し、連鎖現象が生じる。事実、暗号資産に投資していたニューヨークの地銀29位のシグネチャー銀行が取り付け騒ぎで閉鎖に追い込まれた。

日本でも20年前、宮城県を地盤とする徳陽シティ銀行が経営破綻し、取り付け騒ぎは全国に拡がり、拓銀が破綻し、さらには山一証券が破綻した。
この時、信用不安を沈めるために預金者完全保護を打ち出し、収拾した。
米国でも今回、預金は完全に保全することを政府が緊急に発表し、本日のところ沈静化している。

シリコンバレー銀行も所有している米国債は通常であれば、含み損を抱えなかったのだが、異常な高金利の現在が災いした。FRBもとんだところで金融不安が生じ驚いたことだろう。金融不安というのは拡がると不気味で、健全な銀行でも影響する。日経平均が大幅に下がったのも銀行関連の株価が下落したことが引き金になっている、海の向こうの地銀の破綻と見ていても金融不安はグローバルに拡がる。今後どのようなことになるか、年金生活者は見ているしかない。しかし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資産の中にシリコンバレー銀行グループ、シグネチャー銀行の株式、債券両方合わせて550億円余りあるとの報道、200兆円近いGPIFの運用資産全体から見れば微々たる規模(0.03%程度)だが、急に身近になってきた。

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コロナ検証、マスク着用は個人の判断へ

2023-03-13 18:15:58 | 災害

3月13日、新型コロナウイルス対策としてのマスク着用が「個人の判断」に委ねられるようになり、岸田首相、小池都知事がマスクをしないパフォーマンスが報道された。ただし、厚労省は、医療機関の受診時や、医療機関や高齢者施設への訪問時、通勤ラッシュなど混雑した電車やバスに乗車する時のみ、マスクの着用を推奨している。高齢者、妊婦や慢性肝炎、癌、新血管疾患など基礎疾患のある重症化リスクの高い人はマスク着用を推奨している。

今日は定期検診で立川まで出かけたが、電車内はもちろん帰路買い物で寄った伊勢丹、往復の道路では100%皆マスクを着用していた。近所の徳州会病院の発熱外来も3月に入り、まばらで感染者は減少していることは確実だが、国民はいまだ半信半疑のようだ。

しかし、5月8日からCOVID-19を第5類に移行するという政府の方針には年寄りとしては不安がある。インフルエンザなみの対応となると、ワクチン接種率が落ちないか、治療薬の確保を含め医療体制が万全か、しっかりとチェックが必要だ。

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女子プロゴルフ、黄金世代12人目の初優勝、吉本ひかる

2023-03-12 23:14:55 | スポーツ

明治安田生命レディス ヨコハマタイヤ、単独首位から出たプロ7年目の吉本ひかる(24)19アンダーで並んだ、ささきしょうこ(26)とのプレーオフを2ホール目のバーディーで制し、涙のツアー初優勝を果たした。黄金世代といえば、全英オープンを制覇した渋野日向子、畑岡なさ、小祝さくら、大里桃子など多士済々、その後も古江彩佳、西村優菜、等優秀な後輩に阻まれ、吉本ひかるのチャンスはなかなかめぐってこなかった。17年のプロテストに一発合格後142試合目でようやく優勝をつかみ取った。川崎春花のように1年目で初優勝というケースもあるが、初優勝というのは精神的にも負担がかかり如何に困難かわかる。

吉本は緊張のせいか前半バーディなし1ボギー、2位のささきしょうこはこの土佐カントリーで毎年キャンプを張るため、コース、グリーンは熟知している。前半4バーディ、1ボギーであっさり逆転、ささきは3打差をつけて後半へ、しかし、吉本は後半頑張りを見せ、16番まで4バーディで再逆転、ささきは17番ショートでバーディをとり追いつきプレーオフとなった。まさに凄い闘いとなり観客は大喜び。

後半パットの好調が戻った吉本は18番プレーオフ2ラウンドめ、10m近いバーディパットを沈め初優勝をつかんだ。
優勝インタビューでは「なかなか優勝できなかったけど、優勝できると信じてやってきた。きょうもすごくつらかったけど、笑顔を絶やさずに頑張った。優勝できてすごく不思議な感じがするけど、すごくうれしいです」と涙ながら話した。

敢闘したのは先週米ツアー大会で3位につけ帰国した古江彩佳だ。ボギーなしで4連続を含む7バーディーを奪い、11位から3位16アンダーに上がった。また来週本格参戦中の米ツアーに戻る。吉本も古江も150cmちょっとの小さな身体できっちりと距離を出すのには感動すら覚える。

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大谷が投げて、打って列島沸騰

2023-03-10 12:26:48 | スポーツ

WBCが始まり、昨日は日本が登場、中国相手に前半接戦、後半大量得点で結果的には楽勝だった。先発が大谷で、160Kの速球で三振をバタバタ、打っては低めの球を打ってレフトフライと思えたが、打球はのびてフェンス直撃の2塁打、満員の観衆は大満足!!

今朝の株式市場、東証スタンダードの大谷工業、関係ないのに6000円から7000円に16%を超える爆上げ、大谷効果はここまで、WBCで日本が優勝すると、日経平均も29000円にという説も、どうせなら3万円のせにと期待ははずむ

アルゼンチンでは9割のインフレでも、昨年のワールドカップ優勝で国民がまだ酔いに浸ってるので、暴動は起きてない。スポーツの効果は経済学を超えている。

我が家の庭もようやく満開、WBC優勝を早くも祝福か???

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朝ドラ「舞いあがれ!」女性スタートアップに注目

2023-03-09 17:26:39 | テレビ・映画
 
津田梅子のTVドラマ、現代人へのテーゼ

TVドラマ「津田梅子、お札になった留学生」では先年の渋沢栄一ドラマ「晴天に突け」に引き続き、明治維新期の先人達の勇気あふれる人生に触れ感動した。先ず驚いたのは6歳の梅子を留学......
 

昨年、6歳で米国留学した津田梅子は「自分の意見を自由に言える女性」で、「女性が男性と対等で自由に活躍できる」日本に変えて行くというドラマが話題になった。

今年は、東大阪でヒロイン舞による起業(スタートアップまで行くかまだ判らない)が朝ドラで終局を迎えている。津田梅子は明治時代、数々の困難に直面したが、女子教育という資産を残した。今でもジェンダーギャップ(注)は存在し、スタートアップの世界は男性偏重で、金融庁の報告書によると、日本の起業家にしめる女性の割合は34.2%、内会社化しているのは14.2%(朝ドラ「舞いあがれ」はこの段階)、そして新規上場企業にしめる女性社長の割合はわずか2%だ。原因は「社長が妊娠したらどうするんだ」といような無意識の偏見が背景にあり、肝心の資金調達が男性起業家に較べ厳しいことにあるようだ。

朝ドラでいろいろな壁を乗り越え、どこまで発展し、女性起業家のロールモデルまで主人公舞が成長するか注目したい。

注、世界経済フォーラムが発表した2022年のジェンダー・ギャップ指数の日本の総合順位は、146か国中116位(前回は156か国中120位)と、前回と比べほぼ横ばいの順位。

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どうする春闘 実質賃金4.1%減少

2023-03-07 14:25:13 | 労働

厚生労働省が7日発表した1月の毎月勤労統計調査によると、1人当たりの賃金は物価変動を考慮した実質で前年同月比4.1%減った。10カ月連続の減少で、1月としては遡れる1991年以降で過去最大の減少幅だった。物価上昇が歴史的な水準に達し、賃金の伸びが追いつかない状況が続いている。

政労使挙げて経済再生には賃金増が必要と言っているし、海外の投資家も賃金が充分上がらないかぎり日本株は買えないと史上初の言動だ。このブログでは1月24日、最低でも5%の賃上げが必要だと書いたが、当に現実味をおびてきた。連合の産別では交渉が最終局面に入っていると思うが、先行している会社の賃上げを参考に労使の努力に期待したい。これまで先行賃上げを表明した会社はホンダ、塩野義製薬、イオン5%、島津製作所5.7%、サントリー、SUMCO、ハウステンボスは6%、日本生命7%、森精機8%、日揮10%。

頑張らなければいけない金属労協の中核電機連合の要求が日立が3.9%と4%未満、すでに実質賃金は回復できない。完全に情勢を誤った判断、指導部の資質が問われる。連合は3日、2023年の春季労使交渉で傘下の労働組合が要求した賃上げ率が平均4.49%だったと発表した。連合の5%要求基準は満たされてない。芳野会長の指導不足だ。

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大河小説を超える壮大な歴史小説「ふりさけみれば」

2023-03-06 22:08:17 | 歴史

先般日経に連載されていた安部龍太郎「ふりさけみれば」が終わった。阿倍仲麻呂と吉備真備を軸に、唐と日本での皇室を絡めた権力争いの中で、日本の皇室の正当性を大国唐に認めさせ、当時の国際的地位を高めるために奮闘する命がけの壮大な活躍が描かれ、これまでにない感動を覚えた。単行本の発売が待ち遠しい。

717年第9次遣唐使で唐の都・長安に留学した阿倍仲麻呂、吉備真備や玄昉、井真成が登場する。阿倍仲麻呂は帰国の船が嵐で果たせず科挙の試験を受け、玄宗皇帝に使え、信頼され楊貴妃の姉を妻にすることになる。この辺のドラマは安部龍太郎独特の発想だろう。安史の乱で玄宗皇帝と長安から避難する途中、天皇から秘かに命を受けていた唐の史書(大和朝廷をどう書いているか)「魏略38巻」を手に入れる。

玄宗皇帝の楊貴妃への寵愛は「長恨歌」に歌われてるとおり、悲劇に終わる。信頼していた安禄山に裏切られ、逃避行の中、楊貴妃をなくすことになる。唐の皇室の権力争いの中で仲麻呂はうまく乗り越えるが同じ留学生の井真成は殺害される。

吉備真備は仲麻呂と協力し合い、魏略38巻を日本に持ち帰ることが出来、当時の最高知識者として右大臣まで出世し朝廷に重用されるが、藤原一族の権力者恵美押勝との相克、また日本仏教を正統たらしめるべく、戒律の師である鑑真和上の招聘も実現し、引退するまで多忙で、彼の活躍は驚異的に描かれている。

当時、外国からもたらされた感染症で多くの人々が死亡する場面では、コロナと重なり、ワクチンや薬のない時代ひたすら隔離するしか手段がない。遣唐使といえども帰国して太宰府に数ヶ月は滞在して、感染症がないことが判明してようやく都に移動できた。

小説から離れるが、私は2001年に西安(当時は長安)を訪れた時に郊外の玄宗皇帝と楊貴妃がすごした温泉宮(華清宮)を訪れた。「温泉水なめらかにして凝脂を洗う」という長恨歌の一節を思い出した。高校の漢文で習ったがこの一節が記憶に残っている。現在の華清池には興ざめな楊貴妃の像が建っている。

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目を疑った「日本の男女格差104位、先進国で最下位」

2023-03-04 23:15:10 | 政治

新聞を見て目を疑った新聞見出し、内容の概要は「世界銀行は2日、190カ国・地域の男女格差の現状を法整備の進み具合から評価した報告書を発表した。日本は104位で、先進国で最下位だった。職場でのセクハラを罰する法律がないなど、特に労働分野で後れを取っている」昔の報告書ではない2022年10月時点での労働や結婚、財産など8分野の法制度を分析。男性が得られる権利を100とした場合に、女性がどの程度の法的な保護を得ているか、国・地域ごとに指数化した。日本は「移動の自由」「年金制度」で満点だが、職場や賃金での評価が低く、合計で78.8点だった。

カナダ、ドイツ、フランスが100点、アジアでは台湾が91.3点で38位、韓国85点で65位、中国78.1点で109位、この評価は法的制度のみを対象としており、その気になれば政府、国会が努力すればすぐ改善できる。2020年には74位だったのがズルズルと下がってきた。他の国が法改正で努力した結果が大きい。

男女間格差の是正は日本経済にダイナムズムを取り戻すと政治社会学者イエスタ・エスピン=アンデルセン氏は次のように述べている。「長い停滞にあえぐ日本経済が再び成長軌道を取り戻すために北欧から得られるヒントは。男女平等で生まれる新たな需要が経済を刺激する」「日本はこの30~40年間、非常に停滞した状態が続いている。経済のダイナミズムを取り戻したいのであれば女性の社会的な役割の変革推進を」


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アベノミクスに拘る不思議

2023-03-01 22:20:41 | 政治

先日の参院議院運営委員会で、政府が日本銀行の次期総裁候補として提示した植田和男氏の所信聴取で自民党の世耕弘成参院幹事長は「アベノミクスは道半ばだ。継承していくのか」と問いただした。日銀の使命は金利や貨幣の流通量のコントロールでインフレにならないように、不景気にならないようにというのが第一で、明らかに破綻したアベノミクスを守ることではない。さすがに長らく教員をしてきた植田氏、学生に教えるように「現在の緩和路線を継続することが適切だ」と無難に答え、アベノミクスへの評価として「共同声明にある2%の物価安定目標を続けるという意味で踏襲する」と日銀の使命である物価にしぼり答え、世耕氏の顔も立てた。

アベノミクス3本の矢は①2%の物価上昇②財政再建③構造改革など、何も達成できてない。少子化対策も昨日の報道通り史上最小の出生数80万人に落ち込みアベノミクスに拘るのは「愚か者」だ。以前このブログでも書いたが、かつて安倍首相がことある毎に、「民主党政権時代は悪夢だった」と言ったが、実質GDP成長率で見ると、民主党時代2010年~12年3年間は平均1.87%伸びたが、アベノミクスになってからは2013年~18年平均1.15%と落ち込んだ。生活の豊かさを計る消費に焦点を当ててみると、民間の消費は民主党時代は平均年1.33%増に対して安倍政権になって0.45%へ落ち込み耐乏生活に入っている。どちらが悪夢の時代か明確だ。

鳩山民主党にも大きな問題があり、肩を持つ訳ではないが、アベノミクスは破綻しており、拘っていては前に進まない。政権党たる自民党、目覚めて欲しい。

 

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