カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

物語その89・花を踏みにじる

2020-04-07 20:54:21 | 不等号の関係性
たかあきは、坊ちゃまと孤児院の幼女に関する愛憎の物語を創作してください。

 孤児院で暮らす彼女は慰問に訪れた優しいお兄ちゃんに淡い憧れを抱いた。しかし、人は神様の元にみな平等だよと微笑んだ筈のお兄ちゃんは彼女の手を取ることなく似たような家柄の娘と付き合い始めた。やがて成長した彼女は幸せな恋人同士を誘惑して不幸に陥れることに喜びを見出すようになっていた。
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物語その92・彼と彼女の望み

2020-04-06 20:22:50 | 不等号の関係性
たかあきは、黒の妖術師と野良犬に関する別離の物語を創作してください。

 黒の妖術師などという身に余る称号を受けたが故、死地に赴かねばならなくなった男の最大の心残りは、幼い頃から共に過ごしてきた老犬の行く末だった。それでも何とか理想的な引き取り先に託した筈の老犬は、どのような方法を用いたのかは不明だが戦場で戦う妖術師の元に駆けつけ、彼を庇って死んだ。
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物語その88・お爺ちゃんの思い出

2020-04-02 23:37:53 | 不等号の関係性
たかあきは、赤の魔道士と一人ぼっちの少年に関する忠節の物語を創作してください。

 その気性の烈しさから赤の魔導士と呼ばれた老人は、それでも一緒に暮らしている少年にだけは優しかった。
 生涯独身を貫き、女というよりは人間全般を嫌っていた彼の元にどういう理由でどのような縁から幼い少年が身を寄せ暮らすことになったのか、その理由を魔導士も少年も決して己の口から語ろうとはしない。
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物語その87・解ける事のない呪文

2020-04-01 20:27:18 | 不等号の関係性
たかあきは、黒の妖術師と貧乏楽師に関する友愛の物語を創作してください。

 とある理由から声を失った妖術師は、呪文の詠唱役として一人の貧乏楽師を雇った。
 営業は下手だが実力は確かな貧乏楽師は次々と複雑な詠唱呪文を覚えて妖術師の力となったが、嘗ては黒の妖術師と持て囃された男が何故に声を失い、一度は己の世界と心を完全に閉ざしたかを知るのは随分と年月が経ってからだった。
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物語その86・いなくなった猫

2020-03-30 23:24:52 | 不等号の関係性
たかあきは、大妖怪と貧乏学生に関する忠節の物語を創作してください。

 行き倒れた子猫を拾った貧乏学生は、その日からバイトの稼ぎの殆どを猫の養育に費やすようになり、その甲斐あって猫は立派に成長した。
 ただ、少しばかり大きくなり過ぎた猫が本当に猫なのか疑問に思い始めた頃に家出され、猫が消えた晩に人間の言葉で困ったことがあれば呼べ、何でも片付けてやると言われた夢を見た。当然だが貧乏学生には何があっても猫を呼ぶ度胸や覚悟はない。
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物語その84・ひねもすのたり、のたりかな

2020-03-29 18:21:35 | 不等号の関係性
たかあきは、老学者と貧乏学生に関する退屈の物語を創作してください。

 寄る年波から後進に道を譲って悠々自適の生活に入ろうとした老学者の元に、一人の学生が教えを請いに来た。
 学生は貧乏だったので住み込みで老学者の雑用をこなしながら学問を続けたが、後の世で彼が有名になったのは正規の学業成果からではなく老学者と暮らした日々の手記が出版され話題になった結果だった。
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物語その83・黒の終焉

2020-03-28 17:21:04 | 不等号の関係性
たかあきは、黒の妖術師と貧乏楽師に関する別離の物語を創作してください。

 泣き顔の楽師は、本当に行くのかと呟いた。
 今までアンタが繰り広げてきた冒険譚で俺も随分と稼がせて貰ったが、それでもこの戦いの結末を見届ける覚悟は無いと。だから彼は、それなら此処でお別れだと楽師に背中を向け二度と振り返らなかった。
 黒の妖術師と呼ばれた英雄の死出の旅は、それ故に幾通りの結末が語られ真実の物語は永遠に不明のままだ。
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物語その82・幻獣図鑑

2020-03-23 20:32:49 | 不等号の関係性
たかあきは、老学者と貧乏画家に関する退屈の物語を創作してください。

 他の画家は誰も引き受けてくれなかったという理由で貧乏画家に持ち込まれた仕事は、老学者が見聞した奇妙な動物の姿を描き起こして欲しいというもので、聞けば扇のような耳と長い鼻を持つ納屋ほどの大きさの獣、耳や目元だけが奇妙に色分けされた熊など、確かに実在するとは思えない生き物揃いだった。
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物語その81・一炊の夢

2020-03-22 19:20:06 | 不等号の関係性
たかあきは、精霊王と苦学生に関する非日常の物語を創作してください。

 精霊王と交流があったのは、彼が学業と生活費を稼ぐ生活に追われていた期間だ。ある日唐突に夢の中に現れた果てしない花畑に精霊王は存在していて、目覚めても残る花の香はそれが只の夢でないことを語っていたそれから毎夜のように夢は続き、。彼が現れると精霊王は嬉しそうだったが、学業を終えた彼に対して精霊王は時間切れだと寂しそうに微笑み、それから彼は二度と精霊王に会えていない。
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物語その85・僕のぬいぐるみ

2020-03-21 13:58:55 | 不等号の関係性
たかあきは、富豪の息子とぬいぐるみに関する日常の物語を創作してください。

 長らく子供が生まれなかった富豪の夫婦は、長男の誕生記念として有名な職人に特注でテディベアを作らせた。
 最高級のビロードに木屑を詰めたぬいぐるみはやがて長男にとって口数の多い友達になったが、当の長男はぬいぐるみが喋る理由を特注品だからと信じて疑わず、故にお互いに取って平穏の日々が続いた。
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