カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

幽霊その44・通りすがりの守護者

2022-01-22 21:28:46 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは生まれた日、公園で、美しい老婆の幽霊に出会い、あなたに取り憑いていいですかとお願いされました。

 私は昔から上品な老婆の気配を身近に感じていて、母が言うには小さい頃は良く一緒に遊んでいたそうだ。とは言っても血の繋がりのない赤の他人で、単に彼女の孫と私が何となく似ていたという理由で一緒にいるらしい。もちろん、何故に本当の孫ではなく私に憑いているのかを確認しようとしたことはない。
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骨董品に関する物語・英国人画家Henry Stephen Ludlowの手による1900年のカレンダー

2022-01-22 17:19:29 | 突発お題

 太陽暦が標準の世界なら外国製のカレンダーでも日付は同じだと言い張り、わざわざ曜日が異なるアンティークのカレンダーを幾つも買い集めた姉の誤算は、日本以外に天皇誕生日が無いこと、更に改元で天皇誕生日が変更になったことだが、流石に祝日シールを貼る気にはならないそうだ。
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骨董品に関する物語・フリーメイソンの意匠のペンダント

2022-01-22 17:16:00 | 突発お題
 意匠についての正確な知識は無いに等しいのだがと前置きしてから彼は言った。定規もコンパスも計測する器具であり、実際に月の満ち欠け周期は月食も含め人間の手で解明されている。だが、月の名に込められた狂気は未だ人間の手に余る闇の分野であり、故に畏敬するべきものなのだと。
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骨董品に関する物語・セント・ヴィンセントの星

2022-01-16 20:16:44 | 突発お題

 地上に憧れ続けた水底に揺れる百合は、やがて我が身を硬く冷たい石と変えるのと引き換えに陸に上がることが出来たが、今度は遠い空の星に恋い焦がれ、動けぬ体で天を仰ぎ続けた。やがて一人の職人が石の百合を星細工に添えたが、彼の胸を焦がした熱情が何処から来たのかは知らない。
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幽霊その43・わたしのまわりに、だあれもいない

2022-01-08 15:33:29 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは先程、山奥で、いかにもな大人の幽霊に出会い、あの人に伝えて欲しいと微笑まれました。

 若い頃、死に場所を探して山の奥まで入り込んだ事がある。だが、先客の遺した無残な姿から現実に引き戻された私の前にわざわざ生前の姿で現れた先客は、自分の死を遺族に伝えてくれるなら帰り道を教えてくれると約束して街に還る事が出来たのだが、先客は幼い頃に既に天涯孤独の身となっていたと後に知った。
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骨董品に関する物語・携帯用の拡大鏡

2022-01-08 13:54:44 | 突発お題

 お爺ちゃんの持ってる拡大鏡を覗くと普通の眼には見えないものがはっきり見える。そして、レンズにはそういう役割があるんだよと教えて貰ったので、僕は拡大鏡というものは目には見えない色彩や妖精、魔物の類を科学の技術で見られるようにするのだと随分長い間信じて疑わなかった。
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骨董品に関する物語・凛々しいお顔のツバメのバングル

2022-01-08 13:43:41 | 突発お題
 王子の銅像が流した涙と痛みを知ったばかりに、本来なら身一つで自在に空を飛び交う身でありながら宝石や金箔を貧しき人の元に何度も運び続けた燕は雪の降る冬の町で力尽きて命を失ったが、誰かの哀しみを癒そうと己の肉体の重みすら捨て去る精神の持ち主にだけ、神々の住まう天国の扉は開かれるのだ。
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幽霊その42・うちのお姉さん

2022-01-04 23:25:48 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは先程、自宅で、哀しげな大人の幽霊に出会い、どうか連れて行ってくださいと微笑まれました。

 うちには昔から家族以外には見えないお姉さんがいて、小さい頃は遊び相手に、大きくなってからは話し相手になってくれた。だから引っ越しが決まった時は別れるのが淋しかったが、お姉さんは新居に移っても僕の前に現れた。つまりお姉さんは家ではなく家族の誰かに憑いているのだと今更ながら判明した。
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