たかあきさん、『汽水域』を舞台に、『古本』と『謎解き』と『孤独』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。
「御嶽丸が出て来た」
そう俺が言うと受話器の向こう側の博士は流石に言葉を失う。アレは確かにあの日、俺の両親と姉夫婦、つまりアイツにとっては祖父母や両親と共に目の前で炎に呑まれた筈だった。この手で押さえ込んだアイツの悲鳴と背中に走る激痛、それに耳元で自分の肉が焼けていく音と匂いを、未だに俺は忘れられないでいる。
「御嶽丸が出て来た」
そう俺が言うと受話器の向こう側の博士は流石に言葉を失う。アレは確かにあの日、俺の両親と姉夫婦、つまりアイツにとっては祖父母や両親と共に目の前で炎に呑まれた筈だった。この手で押さえ込んだアイツの悲鳴と背中に走る激痛、それに耳元で自分の肉が焼けていく音と匂いを、未だに俺は忘れられないでいる。