病床の母から形見分けだと青いロケットを渡された。何が入っているのかと尋ねると、お前が入れたいものを見つけた時に開けなさいとだけ言われた。やがて亡くなった母の遺髪を入れようとロケットの蓋を開くと、そこから母の瞳と同じ青い色をした蝶が舞い上がり宙に飛び去っていった。
私の暮らす屋敷で執事を勤めていた男は常に顔の上半分を仮面で覆っていた。何でも酷い傷を隠しているらしく、この屋敷で働いているのも他に行く場所が無いからだと父は言う。やがて私は男と死んだ母が嘗ては恋人同士で、男の傷は父に拠って負わされたのだと知ることになるのだった。