カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・赤いベルベットの額

2022-09-13 23:09:03 | 突発お題

 深紅の天鵞絨に良く似た質感の素材を使って完成させた錬金術学科自由課題提出用の額を盗まれた。面倒なことになったと頭を抱えていると案の定、酷い爛れに顔や両手を覆われた級友が医務室に担ぎ込まれ、結局、毒茸の美しさを極限まで引き出した俺の錬成作品は再提出を命じられた。
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晩夏の創作怪談・祟る

2022-09-13 23:03:42 | 突発お題

 祟る家は概ね、拒むか誘うかのニ種類だと彼は言った。前者は侵入者を異物として徹底的に排除すことで障る。後者は招き入れた侵入者を糧として更に祟りを広げる。どちらも逃げ切る方法や才覚が無いのなら近づかないのが唯一無二の祟りを避ける方法だが、それに気付いた時は大体が手遅れだ。
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骨董品に関する物語・亜麻色の髪が納められているペンダント

2022-09-02 22:07:20 | 突発お題

 彼女はとても用意周到な女性で、旅に出る前に何時でも貴方と共に在りますと誓いながら、自慢の髪を一房切り取って編み上げたものをブローチに収めて私に託してきた。だから彼女が乗った船が沈み、骸さえ戻らぬと分かった日から私はペンダントに 加工したブローチを常に身に付けている。
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