名探偵の解答その16・子どもたちの聖戦

子供に大人気の探偵であるたかあきに、友人から『壊れた舞台』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に平凡のようです。

　小学校に通う甥っ子からこっそり受けた依頼は、明日行われる学芸会のステージにばらまかれた泥水の掃除と犯人に対する説得だった。子供同士の諍いから生じた質の悪い嫌がらせが引き起こしたトラブルを万事丸く収めて明日の学芸会を無事に開催する為には、確かに少しばかり大人の小細工が必要に思えた。

骨董品に関する物語・聖ドニの印章

　ナルニア国物語で獅子の王アスランから林檎を運ぶ役目を受けた少年は、林檎を病気の母親に食べさせれば元気になると魔女から何度も誘惑を受ける。やがて誘惑をはねのけ役目を果たした少年は純粋な願いも叶える手段を間違えれば不幸な結末を迎えると知るが、逆に不幸な結末を迎えると知りつつも神への愛に準じたものが奇跡を起こすのだ。

名探偵の解答その15・サウンド・オブ・サイレンス

暇潰しの日曜探偵であるたかあきに、祖母から『音の出ない空白』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に悲恋のようです。

　傍目からは完全なおしどり夫婦だった夫に先立たれた祖母に、実は若い頃に好きな人がいたと打ち明けられた僕は長期休暇を利用してその人の足取りを追ってみた。お互いに言い出せないまま別の道を進んだ祖母の思い人は独り身のまま亡くなったそうだが、最期の時まで祖母を思っていてくれたのだろうか。

名探偵の解答その14・彼女のクロニクル

食うや食わずの貧乏探偵であるたかあきに、祖父から『飛び出した年代記』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に悲恋のようです。

　いきなりうちの事務所を訪ねて来た祖父による、相変わらず客が来ないようだから仕事をくれてやろうと言う恩着せがましくも有難い計らいから、俺はかつて駆け落ちした祖父の姉の行方を調査することになった。身分違いだと結婚を許されなかった相手と共に行方をくらました祖母は時代の波に翻弄されながらも逞しく生き抜き、結局のところ夫を早くに亡くした後も、それなりに幸せな人生を送ったようだ。

名探偵の解答その13・禁じられた遊び

全く無名の探偵であるたかあきに、いとこから『可愛い記録』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に残酷のようです。

　いとこ夫婦がどうにも子供たちが怖いと言い出し、暇だった俺は調査を開始した。二人の兄弟は実に無邪気で子供らしく傍目には何の問題も無いように思えたが、実に無邪気なまま箱に詰めた人形を土に埋めて墓標を立て、いつもは死んでしまった可哀そうな生き物を見付けて来て埋めるのだと教えてくれた。

名探偵の解答その12・終わる事の無い常闇を歩めと

稀代の名探偵であるたかあきに、隣のおばさんから『永久復讐』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に非凡のようです。

　貴方を見込んでと隣家のおばさんが持ち込んてきた依頼は、死んだ息子の無念を晴らして欲しいと言う物騒なものだった。確かに彼はひと月ほど前に原因不明の自殺をしていたので調査を始めると判明したのは、彼を含む周囲の人間にまつわる、もはや呪いとしか称しようのない因縁の存在についてだった。

名探偵の解答その11・仮面は踊る

街ではよく知られた探偵であるたかあきに、祖母から『蒼き小夜曲』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に笑い話のようです。

　アタシも老い先短いからと祖母の思い出の人を追跡調査してくれと頼まれた。若かりし頃、仮装舞踏会が行われたダンスホールで踊った仮面の紳士の行方を知りたい祖母に対して、亡くなった祖父から、祖母には内緒という前置きと共に何度も聞かされた仮面の淑女に関する思い出話を明かす日が来たようだ。

名探偵の解答その10・渚に輝くは人魚の鱗

男性に大人気の探偵であるたかあきに、幼馴染から『濡れたる財宝』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に難解のようです。

　都会に出て探偵業を営んでいた俺の元に幼馴染が集団で押しかけ、故郷で惨殺されたという皆のアイドル的存在だった女友達について捜査を依頼してきた。ただ、調査と共に彼女の死と故郷に伝わる人魚伝説に奇妙な繋がりが見え隠れしはじめ、やがて浮かび上がった男の目的は非常におぞましいものだった。

名探偵の解答その9・愛国無罪

街ではよく知られた探偵であるたかあきに、父親から『簡単な虐殺』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に難解のようです。

　絶縁して久しかった親父がいきなり事務所に訪ねて来て、かつての戦争中に起こった市民への虐殺について調べろと言われた。無視しても良かったが厳格な軍人である親父の闇を窺う事が出来そうだと調査を始めたら、信じ難い事実が明るみになると共に、想像もしていなかったとんでもない目に遭わされた。

骨董品に関する物語・FROM FRIEND（友人より）と刻まれた印章

　伯父は手紙を封緘する際、常に溶かした蝋を垂らした封筒に懐中時計の飾りを押し付けるのだが、私がやってみたいと言ってもこれは伯父さんの仕事だと触らせてもらえなかった。そんな伯父の手紙が嘗て死なせてしまった幼馴染の家族宛だと私が知ったのは大人になってからの話だ。