カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

物語その100・時代の波

2020-04-21 21:31:57 | 不等号の関係性
たかあきは、大妖怪と貧乏学生に関する誘拐の物語を創作してください。

 高額のバイト料に目が眩んで引き受けた家庭教師だが、住み込みと言う条件が出た時点で警戒するべきだったと後悔した時には既に遅く、バスも通わぬ山奥で都会の学校に進学するための勉強と人間界の常識を大妖怪の御子息に伝授することになった。
 幸いにも御子息は素直で賢い子だが、屋敷をうろつく様々な形状をした皆さんの自分を見る目が怖い。
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物語その99・大魔王御乱心

2020-04-19 22:25:17 | 不等号の関係性
たかあきは、大魔王と貧乏画家に関する誘拐の物語を創作してください。

 魔界の住民から畏怖される偉大なる魔王の本体は、外見だけは非常に小さく可愛らしい獣の姿をしていた。
 それをいいことに度々お忍びで人界をうろついていた魔王は、ある日公園にいた似顔絵描きの絵を気に入り、早速自分の肖像画を描かせようとその家に押し掛けて勝手に居座った。
 そして当然だが、魔王が行方不明となった魔界の重臣たちはとんでもない恐慌状態に陥った。
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物語その98・経る刻

2020-04-18 18:23:26 | 不等号の関係性
たかあきは、坊ちゃまと執事に関する友愛の物語を創作してください。

 お屋敷の坊ちゃまが産まれたばかりの頃、彼は右も左も分からぬ新米執事だった。
 やがて坊ちゃまの世話を任せられた彼が経験を重ね相応の貫禄も付いた頃、坊ちゃまの呼び名は若様から旦那様になった。
 旦那様が妻を迎え子を設け、更にお屋敷が代替わりした頃、老執事は尚も隠居した彼の坊ちゃまと共に在った。
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物語その97・家出少女と苦学生は駆け落ち逃避行の道連れとなる

2020-04-17 23:06:43 | 不等号の関係性
たかあきは、富豪の愛娘と苦学生に関する誘拐の物語を創作してください。

 夜間大学に通う彼は、ある日家に帰る途中で幼女に付きまとわれ、終いにはアパートに上がり込まれた。
 頑なに自分の目的を話そうとしない幼女の態度に疲れ果てながら弱腰な性格が災いして無碍にも出来ず、とりあえず今夜はもう遅いからと二人で寝ることにした彼は、娘を誘拐されたと勘違いした彼女の両親がどれだけ脳内で話を拗らせ、その妄想に基づいて動き出したことを、その時点では全く知らなかった。
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物語その96・恐らく王様の耳は驢馬の耳

2020-04-15 19:35:43 | 不等号の関係性
たかあきは、老騎士と貧乏楽師に関する誘拐の物語を創作してください。

 融通の利かない正義を拗らせて周囲から引退を強要された老騎士の元に現れた楽師は、領主に連れ去られた幼い息子を取り戻したいと哀願してきた。何でも彼の息子が禁を犯して楽師の家に代々伝わる秘伝の唄を人前で唄い、それを聞いた領主が歌の全容を知りたがって蛮行に及んだらしい。
 もちろん老騎士は迅速かつ大胆に行動を起こし、結果として当然のように大騒動を引き起こした。
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物語その95・姫の友達

2020-04-14 21:27:20 | 不等号の関係性
たかあきは、剣の姫と呼ばれた王女と黒猫に関する栄光の物語を創作してください。

 国中から剣の姫と持て囃された王女は実際の自分が只の偶像でしかないことを承知していたが、同時に偶像であり続けることが自分の役目であることも充分に承知していた。
 だから、剣の姫ではない王女の姿を知っているのは滅多に人の訪れない城の奥庭に現れて彼女の寵愛を一身に受ける黒い猫だけだった。
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物語その94・闇の中に

2020-04-12 17:37:39 | 不等号の関係性
たかあきは、老学者と夜啼鶯(ナイチンゲール)に関する非日常の物語を創作してください。

 偏屈な老学者だった祖父は、亡くなる少し前から夜になると部屋に夜啼鶯が現れると繰り返していた。
 祖父に向かって、まだ死なないのかと囁きかけるという夜啼鶯の正体を確かめようと思った父が寝室の物陰に隠れて見張っていると、現れたのは人間の女で、父が子供の頃に亡くなったという母親と同じ顔をしていた。
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物語その93・第三の選択

2020-04-11 00:27:19 | 不等号の関係性
たかあきは、精霊王と人造人間に関する邂逅の物語を創作してください。

 精霊界に魂となった人間が迷い込んでくるのは珍しくないが、ある日現れた魂は明らかに普通の人間とは様子が違っていたので出自を尋ねると出来損ないのホムンクルスで、容器から出された直後に肉体は崩壊したと言う。それでは人間として転生と消滅のどちらを選ぶと訪ねると、どちらも選ばす魂のまま精霊界を漂うそうだ。
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物語その91・貴女に捧げる一輪の花

2020-04-10 19:31:43 | 不等号の関係性
たかあきは、白銀の女帝と貧乏詩人に関する別離の物語を創作してください。

 一年の殆どが雪と氷に閉ざされる国で行き倒れた異国の詩人は、その国を治める女帝に気に入られて宮廷詩人となった。今まで世界中を巡って長い旅を続けてきたという詩人は女帝が想像も出来ない様々な異国の風景を語って聞かせたが、ある日女帝に南国に咲く本物の花をお目に掛けたいと暇乞いを願い出て、南国の太陽を浴びればもう二度とこのような厳寒の国に戻っては来るまいと思いつつも、女帝はそれを受け入れた。
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物語その90・親子喧嘩なら余所でやれ

2020-04-08 17:42:00 | 不等号の関係性

 友人である大商人の息子が、何故かうちの領内にある神学校に入学してきた。当初は王都からこんな辺境に何故と訝しんだが、何でも信仰に目覚めた息子と奴との間に深刻な対立が発生した結果らしい。確かに息子は奴と違って精神的に潔癖な面があり、だから最初は口出ししないまま放っておこうと暢気に構えていた。
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