カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

幽霊その32・送り猫

2021-09-29 22:47:39 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは大昔、山奥で、ぼんやりした猫の幽霊に出会い、どうか連れて行ってくださいと号泣されました。

 親戚の家は昔から酷く猫に祟られているらしい。何でも今は離婚した嫁さんが大切にしていた猫を姑と結託した夫が山に捨てたのが原因だそうだが、そうだとしたら子どもの頃の私が山の中で出会い、そのまま後をついてきた猫が親戚の家の前でいきなり消えたことに関しては黙っていたほうが良さそうだ。
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幽霊その31・女心の未練と言えば

2021-09-28 21:50:00 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは旅行中、山奥で、どこかで見たことのある女性の幽霊に出会い、放っておいてくださいとお願いされました。

旅行で訪れた山の中で出会った幽霊は、数年前に行方不明となった同級生に良く似ていた。よもやこの辺で亡くなり成仏できないでいるのかと思っていたら、自分の事は忘れてくれと頼まれた。何でも逃げられた心中相手を忘れられず、いつか戻ると信じて待っているのでこの地を離れられないのだそうだ。
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骨董品に関する物語・1850年の「初級天文学」

2021-09-27 14:48:14 | 突発お題

 錬金術が人心を惑わし国を揺るがす重罪とされた時代、師匠は貴重な蔵書を焼き捨てられる寸前で生涯に亘る研究成果を書き遺し、一冊の本に纏めた。一見すると普通の天文学に関わる内容の本は、時代を経て学問の自由が保障されたこの時代に、真の内容を紐解かれることを切望している。
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骨董品に関する物語・書籍「天空の驚異」1910年ベルリン製

2021-09-27 14:45:37 | 突発お題

 見事な装丁だろうと伯父さんが見せてくれた、天空について詳しく書かれた美しく分厚い本には、確かに沢山の美しい図版が掲載されていたが、私が感嘆したのは、むしろ何頁の何処に白鳥画、金星に関する記述は何頁などと、その図版の全ての内容を書き写し頭に叩き込んだという叔父の記憶力だった。
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骨董品に関する物語・書籍「女神と妖精-神話上の女性の歴史-」

2021-09-27 14:42:46 | 突発お題

 彼に言わせると、男にとっての女神は須らく死神であるのだそうだ。物理的な死に誘うだけでなく、日常という檻の中で常識という鎖に繋がれ半分死んだような熱情のない生活を送るのも、女神に囚われ飛べなくなった哀れな男の末路なのだと。だから私は女神であることを止め、彼を解き放ち自由にしてあげることに決めた。

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幽霊その30・開戦宣言

2021-09-27 13:01:18 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは旅行中、お墓で、生きてる人間と変わらない幼女の幽霊に出会い、家族に会いたいと祝福されました。

 旅先で、公園と勘違いして入り込んだ霊園の一角に佇んでいた幼女の幽霊は、考えてるだけじゃ何も変わらないよと言って消えた。周囲の人間にどれだけ言われても響かなかった言葉を嚙み締めた私は、早々に旅行を切り上げ実家に戻って戦いを始め、最終的に独りきりの勝利を勝ち取った。再びあの霊園を訪れたら、また、あの子に会えるだろうか。
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幽霊その29・置き去り幼女

2021-09-25 01:40:33 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは友人が亡くなった日、公園で、元気な幼女の幽霊に出会い、あの人に伝えて欲しいと泣かれました。

 葬式の帰り道に公園で、あのお兄ちゃんいなくなっちゃったの?と泣かれた。そう言えばアイツは最近可愛い女の子と仲良くなったと喜んでいたが、相手が幼女で更に死人というのは問題があり過ぎないだろうか。それにしても、死んだ人間は必ずしも逝きたい場所で会いたい相手に会える訳ではないようだ。
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幽霊その29・消えない遺恨

2021-09-20 07:49:10 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは全てを失った日、友達の家で、恨みがましい犬の幽霊に出会い、あの人に伝えて欲しいとお願いされました。

 俺の住んでいたアパートが全焼した日の晩、泊めてくれた友人の部屋で見覚えのある犬と再会した。実家が全焼した日の晩にも現れた、明らかに生きた犬ではないと分かる凄惨な外見をしたそいつは『マダマダオワラン』と囁いて消えた。ちなみに、父はこの犬の正体について何か心当たりがあるらしいのだが、頑として口を割らない。
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幽霊その28・お引越しに寄せて

2021-09-18 10:16:29 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは先程、お墓で、ぼんやりした老人の幽霊に出会い、何処に行けばいいのかと微笑まれました。

 家がなくなってしまいましてね、半分透けた姿の老人はそう言って困ったように微笑んだ。多分、今まで祀られていた祠が移動されたことを言っているのだろうと判断して新居となる祠に案内したら丁寧に礼を言われた。一体どこの馬鹿が現在は穏やかな気質とはいえ紛れもない祟り神の祠を移したんだ全く。
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幽霊その27・相性よりも深い問題

2021-09-16 22:10:02 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは先程、スーパーで、見知らぬ猫の幽霊に出会い、家族に会いたいと呪われました。

 何でスーパーに猫がいるのだろうとジロジロ見たのが悪かったのか、その半分透けた猫は私に憑いてきた。私ではどうしようもないので猫好きの友人宅まで連れて行くと、是非ともうちで暮らそうと誘ってくれた。が、猫に元の飼い主でなければ嫌だと断られ落ち込みまくり、気の毒なので猫缶を大量に贈った。
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