むかし太陽の光に焦がれた貝がいて、どんなに住む世界が違うと仲間に諭されても諦め切れずに海を出て干乾び、真っ白い貝殻だけが残った。真っ白な貝殻はやがて子供に拾われ父親に手渡された。その父親は貝殻を生きた緑の苔で装い、だから真っ白い貝殻は今も太陽の光を浴び続けている。
むかし太陽の光に焦がれた貝がいて、どんなに住む世界が違うと仲間に諭されても諦め切れずに海を出て干乾び、真っ白い貝殻だけが残った。真っ白な貝殻はやがて子供に拾われ父親に手渡された。その父親は貝殻を生きた緑の苔で装い、だから真っ白い貝殻は今も太陽の光を浴び続けている。
たかあきは『石英』と『日光』を材料に『輝き渡る一角獣』を錬成しました。用途は戦闘用です。
僕が読んだ事のない書斎の本とは師匠の日記帳だった。
恐らくここに長い間知りたかった事の全てが書かれているのだろうと覚悟を決めた僕は、まずは文字が書かれた一番最初の頁から読み始める。それによると師匠は貴族の末娘で将来は似たような貴族に嫁ぐか尼寺に入るか、さもなくば学問で身を立てる以外に生きる道はなかったらしい。そして、師匠になる遥か以前の少女だった頃から既に僕の知っている師匠だったらしい師匠は、一番困難な戦う道を決然と選択したのだ。
僕が読んだ事のない書斎の本とは師匠の日記帳だった。
恐らくここに長い間知りたかった事の全てが書かれているのだろうと覚悟を決めた僕は、まずは文字が書かれた一番最初の頁から読み始める。それによると師匠は貴族の末娘で将来は似たような貴族に嫁ぐか尼寺に入るか、さもなくば学問で身を立てる以外に生きる道はなかったらしい。そして、師匠になる遥か以前の少女だった頃から既に僕の知っている師匠だったらしい師匠は、一番困難な戦う道を決然と選択したのだ。
たかあきは『青銅』と『一角獣の角』を材料に『紅涙の苦味飴玉』を錬成しました。用途は食用です。
僕は八方手を尽くして師匠を探したがその行方は杳として知れず、やがて自分が師匠に見捨てられたのだと何もする気が起こらなくなった。すると妹弟子が泣きながら僕をぶん殴り、駄目だったらもう一度最初から丁寧に手掛かりを探せと怒鳴った。
だから、僕は書斎でまだ自分が読んだことが無い本を探すことにした。
僕は八方手を尽くして師匠を探したがその行方は杳として知れず、やがて自分が師匠に見捨てられたのだと何もする気が起こらなくなった。すると妹弟子が泣きながら僕をぶん殴り、駄目だったらもう一度最初から丁寧に手掛かりを探せと怒鳴った。
だから、僕は書斎でまだ自分が読んだことが無い本を探すことにした。
祖母の形見のコインケースには内側に隠しがあって、中を確認すると見慣れないコインが一枚入っていた。ポケットコインと呼ばれるお守りだと思ってそのままにしていたが、ある日詳しい友人に見て貰ったらとんでもなく高額な限定コインだと分かった。祖母は知っていたのだろうか。
たかあきは『碧玉』と『まがい火鼠の毛皮』を材料に『吸血の虹茶』を錬成しました。用途は滋養強壮です。
宴会の翌日辺りから、師匠は自室に籠ることが多くなった。いつものように元気だから病気には見えなかったが、どうかすると食事も自室に運ばせて摂るようになったので、よもや新しい研究を始めて根を詰めていのかと心配していたら、やがて食事代わりに強壮効果の高いお茶ばかりを飲むようになり、更に心配していたら、ある日僕や妹弟子には何も言わず、本当にいきなり姿を消してしまった。
宴会の翌日辺りから、師匠は自室に籠ることが多くなった。いつものように元気だから病気には見えなかったが、どうかすると食事も自室に運ばせて摂るようになったので、よもや新しい研究を始めて根を詰めていのかと心配していたら、やがて食事代わりに強壮効果の高いお茶ばかりを飲むようになり、更に心配していたら、ある日僕や妹弟子には何も言わず、本当にいきなり姿を消してしまった。
昔の少女漫画ではよく「聖(セント)○○学園」という架空の学校が出てくるが、アレは○○の部分にカトリックの列聖された人物名が入るミッションスクールだと奴が言うので、面倒臭がった俺はアリスでもクランプでも、その漫画世界にそういう名前の聖人がいるんだろうと答えたら蹴られた。
たかあきは『瑪瑙』と『夢香草』を材料に『きみを思うエーテル強壮剤』を錬成しました。用途は体力回復です。
久し振りに宴会をやるぞと師匠が言い出したので酒と料理を用意したら、妹弟子はともかく根切り屋が着席していたので絡繰り犬をけしかけようとしたら師匠が招待したのだと言って止めた。何でコイツをと思いつつも料理を並べ杯を満たし、その日は獣二頭を含めて久しぶりに賑やかな、そして忘れ難い食事となった。
久し振りに宴会をやるぞと師匠が言い出したので酒と料理を用意したら、妹弟子はともかく根切り屋が着席していたので絡繰り犬をけしかけようとしたら師匠が招待したのだと言って止めた。何でコイツをと思いつつも料理を並べ杯を満たし、その日は獣二頭を含めて久しぶりに賑やかな、そして忘れ難い食事となった。
中世イスラム王家は後継者問題の解消目的から、王太子以外の王子をカフェス(檻)と呼ばれる離宮に監禁する習慣があった。そこで暮らす王子は概ね不妊の妃を与えられ一切の国事に関わらず、手すさびに刺繍や細工物を作りながら生涯を飼い殺しにされた。そんな王子たちの靴は、きっとただの一度も土を踏んだことが無かっただろう。
たかあきは『チョーク』と『恋人の爪』を材料に『果てしない極意秘伝書』を錬成しました。用途は秘密です。
僕が書斎の掃除をしていたら、師匠がいきなり此処の本はどれだけ読んだと尋ねてきた。理解出来る出来ないはともかく全部の本に目を通した筈だと答えると、ここにはお前が読んだ事がない筈の本が一冊だけある。何かを知りたくなったらそれを読めと言われた。けれど、その時の僕には師匠の言っている意味が解らなかった。
僕が書斎の掃除をしていたら、師匠がいきなり此処の本はどれだけ読んだと尋ねてきた。理解出来る出来ないはともかく全部の本に目を通した筈だと答えると、ここにはお前が読んだ事がない筈の本が一冊だけある。何かを知りたくなったらそれを読めと言われた。けれど、その時の僕には師匠の言っている意味が解らなかった。
うちにある古い天文書の表紙に描かれた天文学者が動いていると息子が言い出した。ずっと観察しているとくしゃみをしたり帽子を直したりすると言い張る息子に、僕は悩んだ挙句言葉を選びながら、お前がそれに気付いたのを知ったら天文学者は表紙からいなくなると宣言し、驚いた息子は沈黙を誓った。そう、かつての僕のように。