カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

名探偵の解答その24・帰らざる日々の為の幻想曲

2021-02-27 19:23:20 | 名探偵の解答
子供に大人気の探偵であるたかあきに、幼馴染から『幻惑の復讐』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に非凡のようです。

 宝くじで小金を手にした幼馴染が、子どもの頃に付き合いのあった相手の身上調査を依頼してきた。幼馴染はそいつに酷く苛められていたので相手の末路を知りたいと言い張った。気が進まないまま進めた調査では幾つもの誤解と行き違いが判明して、誰も幸せにしないであろう報告書を、俺は無言で作成する。
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骨董品に関する物語・イギリスのファミリークレスト

2021-02-27 19:08:44 | 突発お題

 その家では紋章に刻まれた三頭犬の如く、三兄弟が代々続いた地所を三か所に受け継いで守る習わしになっていて、それが崩れた時に家は亡びるだろうと言われていた。やがて三兄弟の末弟が兄二人の暴虐に耐えかね家紋の三頭犬を削り落として反旗を翻し、長きにわたる戦いの末に預言は成就されることになった。

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骨董品に関する物語・鹿の歯のブローチ

2021-02-27 19:02:59 | 突発お題

 狩猟免許持ちで解体も行う友人によると、鹿はランプ部分辺りまでの足、リブロース、ロース部分など美味い部分の肉と傷のない皮、更に心臓や腎臓、それに舌など一部の内臓と狩猟証明となる尻尾以外は概ね廃棄されるらしい。首から上のパーツと蹄も持ち帰り希望者がいなければ同様だ。だいたい全身からすると10分の1ほどしか利用されない計算になるが、それでも成長した雄鹿なら50キロ前後が採れるのだと分け前の肉をくれた。
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名探偵の解答その23・親父の一番長い日

2021-02-22 21:26:31 | 名探偵の解答
食うや食わずの貧乏探偵であるたかあきに、祖父から『冷たい正義』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に平凡のようです。

 俺の親父が倒れたから一度家に戻って来いと祖父から連絡が入り、さんざん悩んだ末に十数年ぶりの帰省をすることにした。かつては探偵業を選んだ俺に、ロクに稼げもしないヤクザな仕事など止めてしまえと激しく罵った親父は、もう俺の顔すら分からない状態で、それでも何か心残りがある様子だと祖父が言う。探偵の意地を賭けて親父が隠していた鍵付きの箱を見つけ出して開けてみると、そこには俺がガキの頃の写真が何枚も束になったものと七桁の残高が記帳された俺名義の通帳、それにカードと印鑑が入っていた。
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名探偵の解答その22・死が二人を分かつとも

2021-02-21 20:49:36 | 名探偵の解答
女性に大人気の探偵であるたかあきに、師匠から『永遠の強奪』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に悲恋のようです。

 俺には手に負えんので任せた。そんな師匠の無責任な言葉を受け、僕は病に蝕まれた身で館から消えた当主夫人を捜索することになった。警察には捜索を依頼ないなど、色々と不可解な点の多かった失踪は結局、夫人が若い娘だった頃に当主の汚い手段によって引き裂かれた彼女の恋人が館に現れ、息絶える寸前の夫人を連れて逃げたというのが真相だったが、今度こそ引き裂かれる運命から逃れようとしたらしい二人の骸の前で、僕はただ、途方に暮れるしかない。
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名探偵の解答その21・春告げ花の咲く頃

2021-02-14 20:25:21 | 名探偵の解答
有名な素人探偵であるたかあきに、叔母から『彼方の財宝』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に笑い話のようです。

 豪邸に住む伯母が、十年ほど前に埋めたタイムカプセルを探して欲しいと依頼してきた。僕にとっては従兄である伯母の息子も何かを庭に埋めたこと以外は全く覚えていないと言うので丹念に調査した結果、その時に従兄弟が埋めたのは花の球根で、歳月を経ても毎年立派に庭の一角を彩っていることが判明した。
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名探偵の解答その20・彼方に響くは小夜曲

2021-02-13 15:08:24 | 名探偵の解答
女性に大人気の探偵であるたかあきに、先生から『壊れた小夜曲』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に難解のようです。

 妻と別れたいが向こうに非が無いので手伝って欲しいと言うとんでもない依頼を恩師から受けた。愛妻家の夫と心配りの出来る妻という構図に疲れ果てた末に新しい恋に落ちたのだそうだ。リスクが大きすぎると断った後で他社に依頼したのが妻にバレて泥沼の離婚劇になったそうだが、俺の知っている恩師はもう居ないと諦めた。
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骨董品に関する物語・星のピンブローチ

2021-02-11 22:08:17 | 突発お題

 時おり先輩のシャツの襟を飾る大小二つの星を象ったブローチは、よく見ると暗がりで輝きを放つ。先輩が言うには金具が外れて一つしか無かった星のブローチに偶然蚤の市で見付けた鎖の付いている半端品の星を繋げて以来の事で、たぶん再会できて嬉しいんじゃないのかと無邪気に笑う。
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骨董品に関する物語・「ルーアンの占星術師1837年用」と題されたペーパーブック

2021-02-11 19:36:58 | 突発お題
 占いそのものを否定する気はないがと前置きして叔父が言うには、占星術というものは本来国家事業レベルの大事にしか対応しないのだそうだ。と言うか惑星全体からすると塵サイズの個人の運命が星の運行に対応したところでピントが合わないのだと。夢の無い話だが考えてみれば当然か。
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名探偵の解答その19・貞女の笑顔の向こう側

2021-02-10 19:21:35 | 名探偵の解答
男性に大人気の探偵であるたかあきに、地方領主から『甘き血脈』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に肩透かしのようです。

 男なら分かるだろう?などと同意を求めつつ母を亡くした隠し子の身上調査を依頼してきた領主は、婿養子の立場から妻に頭が上がらないらしい。まあ仕事なので細かいことは考えず隠し子が間違いなく領主の実子であると報告すると、それを知った領主の妻は眉一つ動かさす隠し子を養子に迎えた。俺が思うに、それが自分にとって大団円だなどとお目出度い事を考えているのは領主だけの様子だが、まあ仕事は終わったので俺には関係ない。
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