カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

物語その65・あの日の約束

2020-02-28 20:52:14 | 不等号の関係性
たかあきは、皇太子殿下と孤児院の幼女に関する栄光の物語を創作してください。

 確かに幼い頃孤児院で育った彼女は、慰問に訪れた皇太子殿下に対して立派な王様になったらお嫁さんになってあげると宣言した。だからと言ってそれを真に受けた皇帝陛下が日々精進を重ねて立派な王様になり大人になった彼女を迎えに来るるなどという夢物語は、当然ながら欠片も考えたことが無かった。
コメント

物語その64・領主様の素敵な衣装

2020-02-27 23:03:18 | 不等号の関係性
たかあきは、地方領主と詐欺師に関する非日常の物語を創作してください。

 洒落者を自称する地方領主は、自領と都を行き来している商人が最新の衣装を運んでくるのを心待ちにしている。そして安価とは言えない衣装を購入した領主は必ずお披露目を兼ねた夜会を開いて近辺の小貴族や富豪を楽しませるのだ。
 だから、商人が運んでくる都の衣装が実際は何年前の最新作なのかを考えてはいけない。
コメント

物語その63・黒猫は玉座に在りて王を援ける

2020-02-26 21:01:07 | 不等号の関係性
たかあきは、国王陛下と黒猫に関する友愛の物語を創作してください。

 たまにこの国の玉座には威厳に満ち溢れた黒猫が座っているが、家臣団は普段王に接するのと同じような態度を猫にも取るので、いつしかこの国の王は猫に姿を変える呪いをかけられているという噂が立つようになった。もちろん実際は王が自分の身代わりに飼い猫を玉座に置いて逃亡しているのだが、その辺を追求するものは少なくとも城内には存在しない。
コメント

物語その62・美しき精霊王の伝説

2020-02-20 22:58:43 | 不等号の関係性
たかあきは、精霊王と貧乏詩人に関する忠節の物語を創作してください。

 仁政を以て平和な時代を統治した通称「精霊王」は、生前から半ば以上その業績を伝説化され、故に却って彼の歴史的な評価を定まらぬものにしていたが、ある日彼の友人であったとされる無名詩人の書簡が発見され王の私的な一面が明らかになった。それによると、実際の王は必ずしも完璧でも優雅でもない、極めて人間臭い存在であったらしい。
 ちなみに、書簡は考古学的には非常に価値の高いものであったが、その研究者は書簡に添えられていた詩の出来栄えから皆一様に、何故王と親しい関係を結んでいた詩人が今日まで無名のままであったのかを納得することが出来た。
コメント

物語その61・女帝の素描

2020-02-19 20:38:38 | 不等号の関係性
たかあきは、白銀の女帝と苦学生に関する退屈の物語を創作してください。

 何処から湧いて出たかは不明だが唐突に女帝の前に現れた奇妙な格好をした少年は、女帝を一目見るなりモデルになって欲しいと懇願してきた。課題とかコンクールと推薦入学とか奨学金とかいう説明は女帝には理解しがたかったが承諾してやると少年は抱えていた画帳を開いて素早く筆記具を走らせ始め、やがて再び唐突に姿を消した。だからきっと、何処かの異世界には女帝の肖像画にしそこなった素描画が存在する。
コメント

物語その60・貴女に捧げる勝利の果てに

2020-02-17 23:27:17 | 不等号の関係性
たかあきは、お嬢様と奴隷に関する栄光の物語を創作してください。

 戦闘奴隷だった男は幼いお嬢様の護衛として買われて以来、常にその傍らに在った。しかし成長したお嬢様はある日いきなり護衛の任を解き闘技場で戦うように命じ、結果として男には命を懸けて見知らぬ相手と戦う日々が訪れる。そうやって蓄えられていった賞金をお嬢様がどんな目的に使おうとしていたかなど、男には知る由もなかった。
コメント

物語その59・白銀の女帝と漆黒の猫

2020-02-16 20:12:51 | 不等号の関係性
たかあきは、白銀の女帝と黒猫に関する追憶の物語を創作してください。

 果てしなく広がる白銀の雪原に漆黒の色彩はあまりにも不似合いで、それ故に黒猫は女帝に見出された。側近たちは良い顔をしなかったが女帝の威光に逆らえる者は存在せず黒猫は女帝の飼い猫となった。やがて黒猫は雪の中で拾われた時とは比べ物にならない程に躰も態度も巨大に成り果てて女帝以外の周囲を驚かせた。
コメント

物語その59・恐らくは完璧な執事

2020-02-14 21:16:55 | 不等号の関係性
たかあきは、富豪の息子と執事に関する栄光の物語を創作してください。

些かユーモアを解する能力に欠ける以外は万能と言って良い絡繰り仕掛けの執事は、己に欠けている点を放置しておく程に怠慢ではなかった。古今東西の喜劇漫談小話を研究し尽くし、ある日とうとう主人である坊ちゃまに披露したのだが、何故か聞かされた当の坊ちゃまは、まるで世界が終わったかのような絶望的な表情となった。
コメント

物語その58・魔王を支配するもの

2020-02-11 19:03:07 | 不等号の関係性
たかあきは、大魔王と使用人に関する栄光の物語を創作してください。

 広大な魔界全土を治め、無数の眷属を持つ大魔王は強大な魔力と端麗な容姿の持ち主だったが絶望的に生活能力が無く、自分では式典の礼服どころか寝間着すら管理出来ず総てを幼馴染の下級魔族に一任していた。周囲は魔王と彼の関係について無責任な憶測の元に様々な噂を流ししたが、真実を知るのは当の二人だけだった。
コメント

物語その58・スーパー執事の欠陥

2020-02-10 19:23:00 | 不等号の関係性
たかあきは、坊ちゃまと人造人間に関する退屈の物語を創作してください。

 お屋敷の坊ちゃまにお仕えする人造執事は、人間の執事など及びもつかない程に多彩で高い能力を備えている汎用使用人だったが、残念なことに些かユーモアのセンスに欠ける処があり、坊ちゃまに何か面白いことを言えと強く迫られる度にシステムエラーを起こして少しの間だが止まってしまうのだった。
コメント