カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

とある蒐集家の棚より・キャット・オー・ランタン

2017-10-31 18:43:31 | とある蒐集家の棚
たかあきは『猫の置物』と『ランプ』に関する物語を創作してください。

 体の部分に刻まれた鱗模様から漏れ出す灯火のが幻想的だったので、思わず猫の形のランプシェードを購入して付属のLEDライトを点灯してみたが、いまいちイメージと違うので友人に相談したら、あの売り場の猫は内側に和紙の色紙が貼られていたぞ、あと、ランプシェードは暗いところに置けと言われた。うーん納得。
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とある蒐集家の棚より・貝殻の記憶

2017-10-30 20:43:12 | とある蒐集家の棚
たかあきは『観葉植物』と『白い貝殻』に関する物語を創作してください。

 ササヤキヤシと呼ばれる、テーブルヤシによく似た姿の植物は、砕いた貝殻を混ぜた土に植えると、やがて貝殻が生きていた頃に聴いた音を葉擦れで再現するようになる。だから僕は、あの海で拾った貝殻を砕いて混ぜた土にササヤキヤシを植えて育てたのだ。
 そして育ったササヤキヤシは、あの海で僕の不注意から溺れた妹の最後となった笑い声を、何度も何度も僕に聞かせ続ける。
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とある蒐集家の棚より・形見の品

2017-10-27 20:18:46 | とある蒐集家の棚
たかあきは『お守り』と『お守り』に関する物語を創作してください。

 私を造り上げた彼女の死に際に、どうかあの子をお願いと頼まれたので、それ以来ずっと見守っている訳だが、何と言うのか非常に守り甲斐のある子で、下手な場所に行くと必ず引っ張り込もうとする馬鹿が現れて、毎回必ず私の出番となる。

 きっと、いずれはあの子も彼女のように誰にも脅かされぬほどに強くなるのだろうが、それまでは私が文字通りの「お守り」だ。
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とある蒐集家の棚より・ねこのきもち

2017-10-26 18:40:38 | とある蒐集家の棚
たかあきは『ガリレオ式温度計』と『猫の置物』に関する物語を創作してください。

 暇だったので隣に置いてある透明な筒の中で浮き沈みする変な玉を見詰めていたら、何だか家主に不審の目で見られた。俺の正体がバレたのかと一瞬焦ったが、その後、家主が一度だけ変な箱を半日くらい俺の目の前に置いた以外、別に変わったことはなく、これなら化け猫の掟によって塒を替えたり家主を祟り殺す必要は無いようだと一安心する。
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とある蒐集家の棚より・動画撮影

2017-10-25 18:26:54 | とある蒐集家の棚
たかあきは『猫の置物』と『ガリレオ式温度計』に関する物語を創作してください。

 うちのガリレオ式温度計の隣に置いた猫の置物の視線方向が見る度にズレている気がするので、まさかと思いつつもカメラをセットして動画を撮影してみることにした。結果、猫の視線は温度変化で浮き沈みする温度計の浮き球に向けられていると分かったが、取りあえず何も見なかったことにして動画を削除した。
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とある蒐集家の棚より・記念貨幣

2017-10-24 20:29:06 | とある蒐集家の棚
たかあきは『ガラスのコップ』と『テレホンカード』に関する物語を創作してください。

 引き出しから見付けたらしい記念硬貨をどうしても欲しいと姪がねだるので、透明なガラスコップにテレホンカードを乗せ、その上に置いた硬貨に手を触れないままコップの底まで落としたらあげるよと約束した。悪戦苦闘の末に出来るわけがないと切れた姪の前でライターを取り出した僕は、そのままカードに火を近付ける。そして、紙の名刺を使えば良かったと後悔した。
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とある蒐集家の棚より・革表紙の日記帳

2017-10-23 18:17:52 | とある蒐集家の棚
たかあきは『万年筆』と『旧式ゲーム機』に関する物語を創作してください。

 遺品となった鍵付きの日記帳に万年筆の几帳面な筆跡で書かれていたのは、いわば彼の父親の青春の証と言うべき記録だった。
 具体的に言うなら、父が昔プレイしたゲームソフトの攻略とレビューが詳細かつ熱情的に記されていたのだった。

 息子の前では極めて厳格だった父だが、確かに俺はあんたの息子だと、彼は今、この時はじめて思う。
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第百夜・空に在るのは彼

2017-10-21 21:28:09 | 百人一首と色名で百物語
たかあきで『みをつくしても』と『空色』を使って創作してください。

 彼は放蕩を重ねた末に病に倒れ、死の淵で神の存在に触れた。そのまま聖職者の道を選んだ彼は人びとに神の愛を語り、本来あるがままの姿を認め、何事も裁くことをせずにその生涯を終え、やがて天に還って神の一部となった。
 だから、彼に会いたければ空を見上げればいつでもそこに居ると、彼女は笑いながら言った。
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第九十九夜・赤い月

2017-10-20 23:56:07 | 百人一首と色名で百物語
たかあきで『月を待ち出で』と『桃色』を使って創作してください。

 人間の脳は、どうやら色についてかなりイメージ認識が強いらしく、特に淡い色は更に濃く、鮮やかに捉えるのか水色を青、濃い茶色を黒と表現しても大概は通じる。そんな意味で血のように赤い月と称される色彩は大体がくすんだ朱色なのだが、確かにそれは血を連想させる不吉な色合いに見えるのだった。
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第九十八夜・有難いお言葉

2017-10-19 22:50:26 | 百人一首と色名で百物語
たかあきで『名にし負わば』と『墨染』を使って創作してください。
 
 聞いた話だが、生前はどんな宗教の信者であろうと成仏させる際は般若心経を唱えるという霊能者がいて、必要かつ重要なのは心経に綴られた言葉の意味なのだそうだ。そんなものなのかと思っていたら、先日百均で心経の練習帳を見付けたので購入した。これで意味も書き方も学習できるが、若干有り難みに欠ける気はする。
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