カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・シックなステレオヴューワー

2023-11-26 20:41:29 | 突発お題

 ステレオヴューワーのスコープを何度覗いても立体に視えず癇癪を起こした僕に、父は同じように覗きながら、きちんと立体に見えると断言した。あの時感じた遣り場の無い憤りと父に対する断絶の感情は成長した僕が再び覗いたステレオヴューワー画面が立体に見えるようになるまで、絶えず胸の裡にあった。
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骨董品に関する物語・秘密結社フリーメイソンの公式マニュアル「ソロモン王と追随する者たち」

2023-11-26 20:38:47 | 突発お題

 中世の時代に欧州の石工集団が創設したフリーメイソンは随分と長い間、謎の多い秘密結社として一般人から胡乱な眼を向けられ続けてきた。しかし結局は彼らも一般社会を構築する市民であり、また昨今の風潮から情報開示的な会報も発行されているらしい。そんな中に会員間の犬猫や家具の譲渡欄があったら面白いと思うののだが如何なものだろうか。
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骨董品に関する物語・小型の幻灯機

2023-11-18 22:56:00 | 突発お題

 父さんが買ってくれた幻灯機は暗い部屋で蝋燭を置いて照らすと奇麗な色付きの絵が映し出される。この絵が動いたり喋ったりしたらどんなに素敵だろうと夢見る僕に父さんはきっと実現するよと言ってくれた。勿論その時の僕は自分の曾孫が異国でアニメーターなる職に就く事を知らない。
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骨董品に関する物語・観劇用のイヴニングバッグ

2023-11-12 15:44:40 | 突発お題

 観劇中の彼女は必ず、バッグから取り出したオペラグラス越しでしか周囲を見ようとしない。ある日事情を尋ねると余計なモノを見たくないからだと答えが返ってきた。別に害はないが芝居に集中出来なくなるのが嫌なのだと。ちなみに、その無害なモノが一体『何』であるのかまでは教えてもらえなかった
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骨董品に関する物語・古い手廻しオルゴール

2023-11-12 15:41:46 | 突発お題

 古い手廻しオルゴールを手に入れたと自慢した途端に表情が曇る友人に理由を尋ねると、嘗て読んだ物語に登場したオルゴール機能付きの珈琲挽きに憧れて自作したまでは良かったが、ハンドルがとてつもなく重くなって豆を挽いただけで体力を使い果たして音楽を楽しむ余裕もなかったと言う。当人はメロディーを二重奏にしたからだろうかと悩んでいたが、明らかにそういう問題ではないと思う。
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晩秋の創作怪談・切り貼りされた手帳

2023-11-11 15:29:05 | 突発お題

 コラージュが趣味という彼が持つ小さな手帳は幾枚もの頁に様々なモチーフが貼り付けられ、既に完全には閉じられない扇状と化している。ただしその手帳が異様なのは外見ではなく、例えばアイスを表現する際の素材に決してアイスの画像を使用せずに見る者の視覚と味覚を刺激する事だ。
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