カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・二客のフォーチューンカップ

2020-03-31 20:52:52 | 突発お題

 彼と彼女はお茶の時間になるとそれぞれのフォーチューンカップに決まりきった動作で紅茶を注ぎ、飲み終わった時に現れる託宣を確認し合うのだが、何故か常に正反対の答えしか出ないので、つい意地になってカップに新しい紅茶を注ぐ。
 そんな託宣が只一度だけ全く同じ答えを示した時、二人は託宣通りに別れることになった。
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物語その86・いなくなった猫

2020-03-30 23:24:52 | 不等号の関係性
たかあきは、大妖怪と貧乏学生に関する忠節の物語を創作してください。

 行き倒れた子猫を拾った貧乏学生は、その日からバイトの稼ぎの殆どを猫の養育に費やすようになり、その甲斐あって猫は立派に成長した。
 ただ、少しばかり大きくなり過ぎた猫が本当に猫なのか疑問に思い始めた頃に家出され、猫が消えた晩に人間の言葉で困ったことがあれば呼べ、何でも片付けてやると言われた夢を見た。当然だが貧乏学生には何があっても猫を呼ぶ度胸や覚悟はない。
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骨董品に関する物語・フリーメイソンの襟飾り

2020-03-30 19:42:15 | 突発お題

 秘密結社と聞いて彼が真っ先に思い浮かべるのは、そこそこに社会的地位の高い老若男女が道具と資材を持ち寄り密かに集まった一室で和気あいあいとエナメルの塗り具合がどうとか本職軍人の剣は違うとか語り合いつつ様々な魔術道具を自作する光景だそうだ。
 とりあえずは、一体何を読んでそんな知識を仕入れたんだと問い詰めたい。
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骨董品に関する物語・ルルドの聖遺物入れ

2020-03-29 19:02:53 | 突発お題

 心を病んだ母は己の命を絶ち、自ら神の御許を離れた者として正式な弔いを許されなかった。
 だから僕は母の亡骸から切り取ったひと房の髪を聖遺物入れの十字架に収めた。やがてこの身が地上の役目を終えて神の御許に召された時に僕は御前にひと房の髪を差し出し、母を殺した病の断罪と母への許しを乞い願おう。

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骨董品に関する物語・深紅の祈祷書と紺碧の祈祷書

2020-03-29 18:59:48 | 突発お題

 深紅の祈祷書の持ち主は神の愛の元に生を礼賛し、日々の生活に喜びを見出していた。
 紺碧の祈祷書の持ち主は常に死を想い、己に与えられた限られた時間を無駄にしないように努めた。
 やがて二冊の祈祷書の持ち主はお互いを知らぬままそれぞれの生を終え、同じ神の御許に召された。
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物語その84・ひねもすのたり、のたりかな

2020-03-29 18:21:35 | 不等号の関係性
たかあきは、老学者と貧乏学生に関する退屈の物語を創作してください。

 寄る年波から後進に道を譲って悠々自適の生活に入ろうとした老学者の元に、一人の学生が教えを請いに来た。
 学生は貧乏だったので住み込みで老学者の雑用をこなしながら学問を続けたが、後の世で彼が有名になったのは正規の学業成果からではなく老学者と暮らした日々の手記が出版され話題になった結果だった。
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物語その83・黒の終焉

2020-03-28 17:21:04 | 不等号の関係性
たかあきは、黒の妖術師と貧乏楽師に関する別離の物語を創作してください。

 泣き顔の楽師は、本当に行くのかと呟いた。
 今までアンタが繰り広げてきた冒険譚で俺も随分と稼がせて貰ったが、それでもこの戦いの結末を見届ける覚悟は無いと。だから彼は、それなら此処でお別れだと楽師に背中を向け二度と振り返らなかった。
 黒の妖術師と呼ばれた英雄の死出の旅は、それ故に幾通りの結末が語られ真実の物語は永遠に不明のままだ。
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物語その82・幻獣図鑑

2020-03-23 20:32:49 | 不等号の関係性
たかあきは、老学者と貧乏画家に関する退屈の物語を創作してください。

 他の画家は誰も引き受けてくれなかったという理由で貧乏画家に持ち込まれた仕事は、老学者が見聞した奇妙な動物の姿を描き起こして欲しいというもので、聞けば扇のような耳と長い鼻を持つ納屋ほどの大きさの獣、耳や目元だけが奇妙に色分けされた熊など、確かに実在するとは思えない生き物揃いだった。
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物語その81・一炊の夢

2020-03-22 19:20:06 | 不等号の関係性
たかあきは、精霊王と苦学生に関する非日常の物語を創作してください。

 精霊王と交流があったのは、彼が学業と生活費を稼ぐ生活に追われていた期間だ。ある日唐突に夢の中に現れた果てしない花畑に精霊王は存在していて、目覚めても残る花の香はそれが只の夢でないことを語っていたそれから毎夜のように夢は続き、。彼が現れると精霊王は嬉しそうだったが、学業を終えた彼に対して精霊王は時間切れだと寂しそうに微笑み、それから彼は二度と精霊王に会えていない。
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骨董品に関する物語・秘密結社ピティアス騎士団のフォブと時計鎖

2020-03-21 14:27:47 | 突発お題

「知ってるか、騎士が本来実在した時代には現在伝えられる高潔とは程遠い存在だったそうだ」
「そうだとしても驚きはしないが、」高潔ってのは何処から来た」
「理想が書物に遺されていた、つまり当時からそれは「理想」以外の何物でもなかったということだ。その辺はまあ、日本の武士も変わらん。
 それに、失われた存在に理想を見出そうとするのは人の常だがな。実際俺も人のことは言えん」

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