カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

名探偵の解答その99・予定された結末

2021-07-31 13:08:42 | 名探偵の解答
暇潰しの日曜探偵であるたかあきに、仇敵から『棘の多い愛憎』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に単純のようです。

 幼馴染は外面の良い高給取りなのだが性格は最悪で、特に目を付けた相手に執拗な嫌がらせを繰り返す悪癖から人間関係が長続きしない。それでも周囲には人が絶えず己を顧みることも無かったので、いずれは事件の被害者か、その逆になる日が来ると確信していたが、ある日最悪の形で現実になってしまった。
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名探偵の解答その98・頬を濡らすは涙雨

2021-07-26 23:33:07 | 名探偵の解答
全く無名の探偵であるたかあきに、祖父から『濡れたる幻想』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に平凡のようです。

 小遣稼ぎをしないかと祖父に持ち掛けられた依頼は、亡くなった祖母と祖父の馴れ初めについての詳細だった。こういう過去の思い出は下手に現実と照らし合わせると却って辛い結果になるのだがと思いつつ調査すると、祖母には親の決めた結婚相手の祖父以外に好きな相手がいたと判明して酷く落ち込んだ。

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夏の創作怪談・煙に浮かぶものは

2021-07-25 20:16:19 | 突発お題

 友人の家に遊びに行ったら何やらお香を焚いていた。別に嫌いな香りではないので友人がキッチンで麦茶を用意している間何となく流れる煙を見ていたら、明らかに人の顔を形作っては消えるのを繰り返していた。固まる俺の視線に気付いたのか、友人は事もなげに良く出来てるだろうと言った。お前の仕業か。 
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名探偵の解答その97・若気の至りで済ませたい

2021-07-25 15:36:47 | 名探偵の解答
有名な素人探偵であるたかあきに、悪友から『漆黒たる血脈』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に単純のようです。

 息子が色々と拗らせたので何とかしたいと悪友から相談を受けた。詳しく聞くと思春期特有の全能感と疎外感から来るものだったので、昔かけられた迷惑を思い出しながら、両親が同じ年頃のお前に対して取った態度を真似したらどうだと忠告したら本当に実行して息子共々結構なダメージを喰らったようだ。
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名探偵の解答その96・お前の好きなサンメリーダの森で

2021-07-24 19:52:51 | 名探偵の解答
稀代の名探偵であるたかあきに、有名な役者から『音の出ない虐殺』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に笑い話のようです。

 以前舞台で使用した人形を自宅に飾っておいたら、夜毎に動いて自分を殺そうとする夢を見ると依頼主の役者は言った。人形は容易く念の依り代となるので処分を勧めたが、事情があるのか煮え切らない役者の為に夜中張込むと確かに人形が動いて役者の枕元まで来ると、耳元で囁くように子守唄を唄い始めた。

 ただし、かなりの音痴だった。
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名探偵の解答その95・ひと夏の悲恋

2021-07-17 21:54:32 | 名探偵の解答
街ではよく知られた探偵であるたかあきに、地方領主から『幻惑の小夜曲』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に残酷のようです。

 真面目だが思い込みの激しい領主様が一世一代の恋の相手を見付けて欲しいと乗り込んできた。何でもお忍びで城下の祭りを楽しんでいた最中に出会い、一緒に踊った美しい娘に恋をしたのだという。大体の予想は付いたので、彼女の為なら身分も財産も捨てるなどと先走る領主様を何とか宥めて娘の特徴を確認すると、調べるまでもなく正体が分かった。この街では有名な、数年前に病気で亡くなった娘の幽霊だ。
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骨董品に関する物語・切手入れのペンダント

2021-07-17 15:19:15 | 突発お題
 行き倒れの爺さんを助けたら、あげることは出来ないがとペンダントに入った見慣れない切手を見せて貰った。何でもこの切手を貼った手紙は現在居場所が分からない相手に対しても確実に届くのだそうだ。二度と会えない人とそうやって繋がっているから自分は旅を続けていけるのだと爺さんは言う。
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骨董品に関する物語・フリーメイソンの印章

2021-07-17 15:17:30 | 突発お題

 結局、君は自分のこと以外は考えられないんだねというのが別れの言葉だった。腹立ち紛れに彼から貰ったものは全部捨てたが、数年後に一通だけ見付けた彼からの手紙に捺されているコンパスの印章に込められた円満の意味を、私が本当の意味で理解できる日が来るかは、正直のところ自信がない。

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初夏の創作怪談・黄昏の邂逅

2021-07-15 21:08:03 | 突発お題

 海水浴客で賑わう少し前の季節になると彼女と会うのが数年の習慣となっている。黄昏時の浜辺に一人座る彼女の側に私も座り、お互い無言のまま海を眺める。やがて周囲が闇に包まれ始めると彼女は海に背を向け一人で歩き出し、独りになった私は決して自分を濡らさない波と戯れるのだ。
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名探偵の解答その94・口を拭い去る

2021-07-15 19:07:50 | 名探偵の解答
街ではよく知られた探偵であるたかあきに、伯父から『可愛い財宝』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に無駄骨のようです。

 うちの犬を探して欲しいと伯父夫婦に頼まれたが、伯父の家庭は控えめに言っても犬の飼育に適した環境ではなく、行方不明になったのも粗相をした苛立ちで犬にアレコレやらかした為だった。だから一応は発見した犬が大事にされているのを確認して元の首輪だけ返して貰い、事故に遭ったという事にした。
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