カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

脅迫

2016-11-30 21:16:41 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『編集室』を舞台に、『髪の毛』と『金網』と『孤独』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 それはそうと髪はまた伸ばした方が良いよ、その方が絶対に可愛いいなどと、肝心な事には答えぬままに笑顔で伸ばしてきた手を払いのけると、次の瞬間に凄まじい力で手首を掴まれた。痛みに耐え切れずに呻く私に、男は優しく諭すような口調であまり乱暴が過ぎるなら檻の中に入って貰うよ、それとも鎖の方が良いかな?などと極めて物騒なことを囁いてくる。そして残念だが、今の私には眼前の男に対して逆らう術はなかった。
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花嫁

2016-11-29 23:07:51 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『近未来』を舞台に、『復讐』と『恋心』と『逆転』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 君を花嫁にする為だよと言われたときは何の冗談かと思ったが、厄介なことに相手は本気のようだった。それでも何とかあんたは血の近い親戚だし第一私はまだ十四だと答えると、正式な婚儀は二年程なら待つし、何より君とわたしは親戚ではないよと事も無げに言い切る男。どういうことだと思わず言葉を荒げると、ひょっとして何も知らなかったのかいと驚いて見せた。
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菓子

2016-11-28 22:55:24 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『酒場』を舞台に、『座布団』と『笑顔』と『コロッケ』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 幾度かの攻撃を仕掛けた結果、取りあえず力では敵わないのを思い知った私は仕方なしにヤツが勧めるままに寝室から応接間に移って革張りのソファに座る。黒檀製らしい眼前のテーブルには既に薫り高い紅茶と茶菓子の用意がしてあって、非常に癪に障ることだがどちらも私の好物だった。断れる状況ではないと判断して口にすると、確かに旨かったので更に癪に障った私は、一体今更何の為に戻ってきたんですかとヤツに向かって問う。
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役者

2016-11-25 23:13:24 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『映画館』を舞台に、『黄金』と『眼鏡』と『飛蹴り』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 わたしが分からないのかと明らかに落胆した表情で呟く男に先生の一人称は俺だと言ってのけると、そうだ『黄金の魔人』を観たけど映画の少年探偵よりお前の方がずっと可愛いよと囁きかけてきた。直後に頭に血が昇った私は反射的に寝台から飛び降りて蹴りを放つが実に容易く止められた。確かにコイツは色々な意味で先生じゃない。
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甲冑

2016-11-24 21:02:55 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『大正時代』を舞台に、『兵士』と『握手』と『地球外生命体』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 しかしこの時代の技術でよくも操縦型蒸気装甲兵なんか作れたなと俺が呟くと、別に作るのは不可能じゃないが通常の人間は長時間の操縦に耐えられんぞと答える博士。何しろ碌に身動きの取れない棺桶の中に押し込められるようなモノだ。痒いところすら掻けんからストレスが凄いぞ、何なら試してみるか?
 訳が判らぬまま顔を見詰めると、博士はそうだそうだそれが良いと俺の手を取った。
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他人

2016-11-23 23:17:52 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『病院』を舞台に、『風来坊』と『夕立』と『対決』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 目覚めると、いつの間にか見慣れない部屋の立派な寝台に寝かされていた。クロに噛まれた手には白い包帯が丁寧に巻かれ、着ている物も清潔な寝間着に替わっている。呆然としていると扉が開き、見慣れた顔が気分はどうだと笑顔で話し掛けてきた。だから私は相手に尋ねることにした。つまり、うちの先生と同じ顔をしたあんたは一体誰なんだと。
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刻印

2016-11-22 21:53:50 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『青空』を舞台に、『街灯』と『懐中時計』と『百合』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 奥方の手を奪った上にアイツを連れ去った蒸気魔人の話が帝都中に知れ渡り、人々が朝夕の挨拶代わりにその存在について語り合うようになった頃、俺は事務所周辺で発生すると容易に予想出来ていた騒動からいち早く逃れ、博士の元を尋ねていた。博士は俺の話を一通り聞くと非常に難しい表情になって、やはりアイツなのかと呟く。むしろそれ以外に思い付かんと答えてから、俺は上着の隠しから百合の刻印が入った懐中時計を取り出してみせた。
「コレは博士も知っての通り俺の祖父の形見だが、蒸気魔人の装甲に同じ模様が使われていた」
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昏倒

2016-11-21 22:02:50 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『夜道』を舞台に、『恩讐』と『転倒』と『彼岸花』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 その箱をこっちに渡すんだ!と差し出してきたアイツの手に、黒犬は素直に咥えていた箱を渡し、しかし次の瞬間に牙を立てた。咬み裂く程の力ではなかったが血の滲んだ自分の手を見て呆然とするアイツは、どうしてと呟きながら、そのまま膝を折って倒れ伏す。装甲騎兵が高笑いしながら素早くその身体を抱き上げるのを、不本意ながら俺は阻止することが出来なかった。情けないがアレにかかっては拳銃など銀玉鉄砲程度の威力にもならない。
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黒犬

2016-11-18 22:09:15 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『荒野』を舞台に、『復讐』と『刑事』と『数学』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 予告時間だと言うのに話が長引きそうなので割り込ませて貰ったよと笑う蒸気装甲兵の傍らに立つ黒い蒸気犬は、確かに金庫に入れておいた物と同じ箱が咥えられていた。恐らくは執事が隠しておいた右腕の方だろうと俺が見当を付けた直後、クロがどうして!とアイツが悲鳴を上げる。そのまま、止めろアレは違うと叫ぶ俺に構わず駆け寄っていく。
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崩壊

2016-11-17 20:04:47 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『近未来』を舞台に、『白銀』と『犬』と『麺類』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 傍らの探偵、つまり俺とアイツを置いてけぼりに進められた主従の会話は、同じ女性を愛し失った同士として感極まった二人が号泣しつつ力強く抱擁し合うことで終わった。これ以上、この感動的な茶番に付き合う気はなかったので俺は執事に蒸気魔人というのは結局何だと尋ねる。すると、それは……と執事が言葉を紡ぎかけた直後に部屋の壁が砕け、黒い犬を従え現れる蒸気を纏った白銀の装甲兵。
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