引用作品によっては自由や可能性の象徴とされる愚者は、実際の処はあまり良くないカードとされる(確か78枚中5番目に悪いと昔聞いた)。恐らくトリックスターとしてのマイナス面がプラスの要素をあっさり覆すからだと思うが、扱いの難しいカードだ。
天使が吹き鳴らすラッパによって棺から死者が甦る絵柄を見ていると思い出すのが星新一の小説で、ある晴れた秋の日から死者が蘇り始め、けれども深刻な問題も発生しないまま各々己が死んだ原因の調査を始めてどんどん隠されていた真実が明らかになり、やがて降臨する一人の男によって全てが公平に裁かれるだろうという話があるのだが、物凄く簡単に言うと審判とはそういう意味のカードだと思っている。
完璧を意味するカードで、私の占い、と言うかリーディングには不思議とあまりでてこない。中央に描かれているのは両性具有の完全体だそうだ。
天と地の恵みの象徴である太陽は大アルカナで有数の強く良い意味を持つカードで、おみくじで言えば大吉を引き当てたのに近いノリがある。ただし、『大吉は凶に還る』と言う言葉通りに頂点を極めた事象は衰退の一途を辿る訳で、故に逆位置で出られるととても悲しい。
星と同じく夜の、しかも星と違って人間の狂的な精神面を象徴するこのカードは、実は逆位置の方が良い意味になるが、ルナテッィクと言う言葉の成り立ちを考えると、それも頷けるというものだ。
星とは文字通り希望を意味するが、二つの壺の中身を垂れ流す全裸の女性が節制のカードと対称を成していることを考えると、よりリビドーに近い場所での歓びを暗示しているように思える。いずれにしろ夜の領域のカードであることは間違いないだろう。
実績が無に帰す、または全てを失うなど塔も悪い意味のカードなのだが、人間の傲慢によって建てられた古のバベルの塔が神の怒りに触れて雷を落とされ倒壊したように、このカードが出た場合は己の計画に無理はなかったか、若しくはやり直す場合の算段など、根本的な事態の立て直しを考えるべきだったりする。
タロット占いでは大体においてカードの位置が正か逆かで意味が変わるが、悪魔の場合は正位置が『最悪』だったとして、逆位置でも『最悪よりはマシな状態』位にしか悪い意味が変わらない恐るべきカードで、私が使っていたテキストでもイメージ修行でこのカードは使わないようにとあった。
大アルカナのカード名を思い付くままに挙げていったら、多分最後の方になるまで名前を出して貰えなさそうな『節制』だが、実際に意味も地味だったりするから仕方が無い。ただ、天使が二つの器から器に水を溢すことなく移し替えている様は平穏な安定を感じさせる。
絵面とイメージから悪い意味に取られがちな死神は、どちらかというとニュアンス的には『終わり』を意味するカードだったりする。故に余り宜しくない悪縁や悪運の渦中にこのカードが出ると、配置にもよるが事態の解決を暗示することが多かった。