カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

作品その68・蛸の真実

2018-10-31 21:08:33 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『水銀』と『三日放置した魚シチュー』を材料に『紅涙のタコ型縫いぐるみ』を錬成しました。用途は観賞用です。

 まさかとは思いますが、師匠が執拗に作る蛸型の鎧や縫いぐるみも彼女絡みとか言いませんよねと追及すると、実にあっさり何故分かったと驚かれた。何故バレないと思うのかと呆れ返る僕に、だがあの悪魔の魚は見栄えが良くないけれど非常に旨いぞと断言する。違う僕が言いたいことはそうじゃないんだ。
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骨董品に関する物語・判じ絵が描かれた皿・その2

2018-10-31 20:55:43 | 突発お題

 謎を掛けてくるという古い絵皿に半信半疑で料理を盛り付けると、確かに食べ終わった皿には判じ絵らしい記号が浮かびあがった。すぐに意味を理解したらしい食事を共にした恋人が何故か口を濁すので分からないままの私が強引に尋ねたところ、かなり濃密な愛の歌が口から滑り出してきた。
 つまりは、それが狙いか。
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作品その67・3人目の彼女

2018-10-30 21:18:48 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『金剛石』と『まがい火鼠の毛皮』を材料に『輝き渡る幽霊の素』を錬成しました。用途は薬用です。

 それで、結局師匠の学友二人というのは一体僕にとってどんな存在なのですかと思い切って訊ねた僕に、師匠は普段と変わらぬ態度で知らんと言い切った。更にあの二人は僕の両親ですかと突っ込んでもやはり知らんとしか言わないので、彼女が師匠の初恋の相手ですねと迫ると、いや、彼女は3人目だと答えが返ってきた。
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骨董品に関する物語・三日月型のブローチ

2018-10-30 20:16:59 | 突発お題

 月光精錬の素材集めは月の光が強い満月前後に行われるのが普通だ。しかし奴は何故か三日月、それも上弦の月でしか素材集めを行わず、当然ながら単位取得も危ぶまれる程だったが、期限ぎりぎりで提出された三日月ならではの華奢な光だけを使って作られた繊細なフォルムのブローチは、教官を含む誰もが息を呑むほどに美しかった。
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作品その66・一夜の過ち

2018-10-29 20:27:50 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『土塊』と『石砂糖』を材料に『飛翔するエーテル強壮剤』を錬成しました。用途は戦闘用です。

 朝起きたら体のあちこちが痛い上に師匠が凄まじく不機嫌だったので、恐る恐る昨晩何があったのかと尋ねると、なんと師匠が止めるのも聞かずに僕が散々に暴れて破壊活動を行った結果だという。でも、酒にほんの少しばかり秘薬を混ぜてを飲ませただけなのにとぼやく師匠の方が、どう考えても悪質だと思う。
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骨董品に関する物語・大司教の幽霊絵葉書

2018-10-29 20:04:51 | 突発お題

 キリスト教において死んだ人間の魂は天国か地獄か煉獄に逝く三択で、稀に洗礼を受けずに死んだ子供が妖精になると聞いた。だとしたら、殺されたとはいえ何処にも逝かぬまま現世に留まり続ける大司教というのは、生前にどれほどの徳を積んでいようと教義的には神の道から外れた化け物なのだろうか、もしもそうだとしたら随分と気の毒な話だ。
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骨董品に関する物語・箒に乗る魔女の絵葉書

2018-10-29 20:02:55 | 突発お題

 宴が日常からの解放を意味するのなら、魔女たちの箒は日常からの離脱と回帰を共に行う移動手段だ。それが箒であるのは、彼女たちが普段から使い慣れた仕事道具でもあるからだろうなとドヤ顔で話す友人に、一説だがアレは箒を使った性的な浮遊感覚を意味しているそうだと答えたら殴られた。
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骨董品に関する物語・とある骨董品店

2018-10-28 19:08:33 | 突発お題

 水星の異国語読みを名前に持つその店は人里離れた森の中に建っていて、訪ねていくのが命懸けな上に開店しているとも限らない。正に『力では辿り着けない』場所なのだが、設置してある伝書石を通じて送られてくる新商品の紹介には常に好事家が群がり、なかなか繁盛しているようだ。
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骨董品に関する物語・吉祥模様の入ったボヘミアングラス

2018-10-27 19:41:11 | 突発お題

 並んだ赤い八つの円に花や豊穣のシンボルが描かれたボヘミアングラスには、何故か七つしか絵柄が入っていなかった。祖父が言うには、そこにはグラスを手にした持ち主に最も相応しい吉祥の絵柄が浮かび上がるらしいが、グラスに認められた持ち主以外の人間には見えないのだという。
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骨董品に関する物語・判じ絵の描かれたフランス製の絵皿

2018-10-27 14:39:54 | 突発お題

 さんざん苦労してようやく手に入れた判じ絵が描かれたフランス製の古い皿を友人に見せたら、一人は、昔だけど判じ絵が並んだ英国の絵本があってさ、英国の歴史や伝承を象徴的に描いたものだったんだけど、実際の場所が絡む回答だったから誤答した連中が関係ない場所を荒らして結構な騒ぎになったらしいよと呟き、もう一人は盲暦だったらうちにもあるな、昔は文盲が多かったからとぬかしやがった。
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