カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

物語その71・貴女と共に立てる日

2020-03-07 19:46:39 | 不等号の関係性
たかあきは、お嬢様と奴隷に関する別離の物語を創作してください。

 小さい頃から一緒だったお嬢様と奴隷はお互いに好意を寄せ合っていた。
 奴隷は生涯お嬢様のモノとして過ごすことを望んだが、お嬢様は奴隷をモノとして所有することを好しとせず、故に奴隷は屋敷から追い出されるようにして外の世界で暮らしていくことになった。そして、二人にとってのの真の物語はそこから始まる。
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物語その70・大妖怪と餌の子供

2020-03-06 21:40:23 | 不等号の関係性
たかあきは、大妖怪と人造人間に関する退屈の物語を創作してください。

 大妖怪が食用目的で人骨を元に霊薬と植物の葉や蔓を使って組み上げた人間は見目の良い姿をしていたが、体が小さく食い出がなさそうだったので少しばかり育ててみることにした。それから人間は小鳥のように賑やかな笑い声を立てて舞い踊っては恐れげもなく大妖怪の毛を指で梳くようになり、小さい体のまま動かなくなるまで随分と長生きした。
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骨董品に関する物語・【イベント延期のお知らせ】

2020-03-06 19:49:41 | 不等号の関係性
 昨今のご時世から楽しみにしていたイベントが延期になり、騒動が収まるまでは仕方ないよなと寂しそうに呟いた従兄は由緒ありげな蝋封が捺された封筒入りの案内状を見せてくれたが、俺にはその字が読めなかった。ただ、全く見覚えのないその文字が何処の国で何時の時代に使われていた言語なのかを確かめる勇気は今の処無い。
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物語その69・敵の敵は仇でも味方

2020-03-04 21:13:10 | 不等号の関係性
たかあきは、大魔王と使用人に関する友愛の物語を創作してください。

 大魔王お気に入りの小姓は、嘗て彼に反旗を翻して一族のほぼ総てを処刑された逆賊の婚外子だ。そのことは周囲も遺児自身も知っていて、もめ事を愛する悪癖を持つ大魔王などは、そのうち小姓が親の敵として自分に対して刃を向ける日がやってくるのではないかと密かに恐れつつも楽しみにしているのだが、幸か不幸か今の処そんな様子は見られない。
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物語その68・王様の耳は驢馬の耳

2020-03-03 21:06:08 | 不等号の関係性
たかあきは、富豪の愛娘とぬいぐるみに関する非日常の物語を創作してください。

 彼女がプレゼントしたぬいぐるみを姪はいたくお気に召したらしく常に持ち歩いていたが、最近は人目のない場所で何やらぬいぐるみと会話をするようになってしまった。抑圧された環境下での息抜きという点では見逃してやりたかったが会話の内容が極めて過激で、故に姪の両親に話すかどうか悩んでいる。
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物語その67・偉大なる魔王の退屈

2020-03-02 21:59:12 | 不等号の関係性
たかあきは、大魔王と人造人間に関する日常の物語を創作してください。

 人間という種族が滅んで久しい時代。
 僅かながら人間の血を引いているという教育係に伝説の時代について聞かされていた大魔王は、ある日本物の人間を見たいと言い出した。どうせすぐに死んでしまいますよと釘を刺してから教育係が作り出した人造人間は、今日も元気に魔王相手に将棋を指している。
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物語その66・白銀の守護者

2020-03-01 21:50:56 | 不等号の関係性
たかあきは、老騎士と野良犬に関する友愛の物語を創作してください。

 その国には嘗て狼憑きと呼ばれた勇猛な騎士が存在した。騎士が戦いの剣を振るう際、必ず何処からともなく銀色の巨大な狼が現れて騎士を護って戦うのがその由来だが、戦いが終わると狼は再び何処かに消え去り決してその正体を晒すことは無かった。そして騎士も生涯狼について詳しく語ることがなかった。
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物語その65・あの日の約束

2020-02-28 20:52:14 | 不等号の関係性
たかあきは、皇太子殿下と孤児院の幼女に関する栄光の物語を創作してください。

 確かに幼い頃孤児院で育った彼女は、慰問に訪れた皇太子殿下に対して立派な王様になったらお嫁さんになってあげると宣言した。だからと言ってそれを真に受けた皇帝陛下が日々精進を重ねて立派な王様になり大人になった彼女を迎えに来るるなどという夢物語は、当然ながら欠片も考えたことが無かった。
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物語その64・領主様の素敵な衣装

2020-02-27 23:03:18 | 不等号の関係性
たかあきは、地方領主と詐欺師に関する非日常の物語を創作してください。

 洒落者を自称する地方領主は、自領と都を行き来している商人が最新の衣装を運んでくるのを心待ちにしている。そして安価とは言えない衣装を購入した領主は必ずお披露目を兼ねた夜会を開いて近辺の小貴族や富豪を楽しませるのだ。
 だから、商人が運んでくる都の衣装が実際は何年前の最新作なのかを考えてはいけない。
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物語その63・黒猫は玉座に在りて王を援ける

2020-02-26 21:01:07 | 不等号の関係性
たかあきは、国王陛下と黒猫に関する友愛の物語を創作してください。

 たまにこの国の玉座には威厳に満ち溢れた黒猫が座っているが、家臣団は普段王に接するのと同じような態度を猫にも取るので、いつしかこの国の王は猫に姿を変える呪いをかけられているという噂が立つようになった。もちろん実際は王が自分の身代わりに飼い猫を玉座に置いて逃亡しているのだが、その辺を追求するものは少なくとも城内には存在しない。
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