カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

とある蒐集家の棚より・哀しき呑んだくれ

2018-02-14 21:19:50 | とある蒐集家の棚
たかあきは『方位磁針』と『ワインボトル』に関する物語を創作してください。

 うちの方位磁針は常にワインボトルに取り付いている呑兵衛だが、当然のように針は頼りなく揺らめくばかりでまともに北を指せない。それを知っているのか奴は更に酒に溺れ、今ではすっかり、ちょうど星の王子様に出てくる自分が呑んだくれであることを忘れる為に酒を飲み続ける呑んだくれと変わらなくなっている。
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とある蒐集家の棚より・夢水晶

2018-02-13 21:44:16 | とある蒐集家の棚
たかあきは『水晶鉱石』と『旧式ゲーム機』に関する物語を創作してください。

 幻想水晶鉱石育成セットとやらを購入したが、なぜか結晶が全く大きくならないので友人に相談したら、現実から遊離した音楽を聴かせてやると育ちが良くなると言われた。その後とあるゲームにはまったので毎日毎晩プレイを続けていたら、気が付いたらクリアする頃には虹色に輝く鉱石標本に成長していた。
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とある蒐集家の棚より・指摘する声

2018-02-12 23:25:31 | とある蒐集家の棚
たかあきは『猫の置物』と『テレホンカード』に関する物語を創作してください。

 スマホに公衆電話から電話がかかってきたので出たら、いきなり『みゃおねーず!』と一言叫ぶなり通話が終了して、マヨネーズの買い忘れに気付いた。他にも鍵のかけ忘れや元栓の閉め忘れを指摘された事があるが、猫の置物のポーズが変わっているのとテレホンカードの度数減少とは関係ないだろう多分。
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とある蒐集家の棚より・栄えある猫又座

2018-02-09 21:17:46 | とある蒐集家の棚
たかあきは『消しゴム付き鉛筆』と『星座盤』に関する物語を創作してください。

 星座盤に星を書き込むとモニター上の空に星が現れるソフトで描いては消し、描いては消しを繰り返してようやく仕上げた僕の星座は、めでたくコンテストで入賞を勝ち取った。賞品として贈られたライトアップ台座付のレーザー彫刻は、星座のモデルになって貰った僕の猫が物珍しそうに眺め続けている。
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とある蒐集家の棚より・沈まない金魚

2018-02-08 21:07:21 | とある蒐集家の棚
たかあきは『押し花』と『金魚鉢』に関する物語を創作してください。

 一輪ずつ切り離してお使い下さいという注意書きに従って切り離した金魚草の押し花は、水を張った金魚鉢の中で元気良く泳ぎだした。昔、金魚草は泳げないので水に入れても沈むだけという詩を読んだことがあるが、あの詩が間違いだったのか、目の前の押し花が本当は金魚草以外の何かなのかは分からない。
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とある蒐集家の棚より・蛙の子は蛙?

2018-02-07 22:02:01 | とある蒐集家の棚
たかあきは『金魚鉢』と『アンモナイトの標本』に関する物語を創作してください。

 友人から、つがいだから一緒に飼うと増えるよとアンモナイトの標本を二つ貰った。本気にしたわけでは無かったのだが、何となく空だった金魚鉢に一緒に入れておいたら本当に増えた。ただ、友人がくれたのは「アンモナイト」ではなく「アンモナイトの標本」だったので、生まれるのも既に標本化したアンモナイトだ。
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とある蒐集家の棚より・輝夜姫

2018-02-06 21:20:00 | とある蒐集家の棚
たかあきは『月の石』と『あの日の写真』に関する物語を創作してください。

 全てが終わった今になって言えるのは、彼女は元々僕とは別の世界に住む人間だったということだ。だから出会いがほんの偶然だったとしても、別れは揺るぎない必然の結果だったのだろう。手元に残った一枚きりの写真を見ながら僕は月に還ってしまった美しい輝夜姫を思い出し、彼女が既に僕の側にいないことに安堵するのだ。
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とある蒐集家の棚より・なくしたもの

2018-02-05 23:20:50 | とある蒐集家の棚
たかあきは『白い貝殻』と『テレホンカード』に関する物語を創作してください。

 自作の絵や写真をテレホンカードに出来る機械やサービスが流行っていた頃、綺麗な白い貝殻の写真でカードを作ったことがある。写真に使った貝殻は、カードを見て一目で気に入ったからと当時の友人が持ち帰り、やがて飽きて捨ててしまったので、私の手元に残されたのはこのカードだけとなった。
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とある蒐集家の棚より・架空の図鑑と白い貝殻

2018-02-04 20:28:53 | とある蒐集家の棚
たかあきは『読めない本』と『白い貝殻』に関する物語を創作してください。

 叔父さんの書斎には立派な図鑑があるが、どこの国の言葉かも分からぬ見たことのない文字で書かれていて全く読めない。父さんなどは、あれは誰かが悪戯で作った架空の図鑑だと断言していたが、以前僕が拾った不思議な形をした白い貝殻は、その図鑑に描かれた図録と読めない解説文以外にはどんな図鑑にも載っていないのだった。
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とある蒐集家の棚より・新しい仕事

2018-02-03 22:33:44 | とある蒐集家の棚
たかあきは『方位磁針』と『黒電話』に関する物語を創作してください。

 回線の繋がっていない黒電話のベル音で呼び出され、北を指すとは限らない方位磁針の道案内に従ってたどり着いた場所で指定の品物を見つけ出す。品物は古びた玩具だったり得体の知れない液体が詰まったガラス瓶だったりするが、当然何に使うかは分からない。それでも適性者が少ないとかでバイト料は良いから、余計なことは考えず仕事をしている。
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