名探偵の解答その83・依頼と犯罪の狭間で

有名な素人探偵であるたかあきに、不思議な婦人から『可愛い構図』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に無駄骨のようです。

　幼い少女の写真を隠し撮りして欲しいという依頼が入った時、はっきり言って断りたかったが浮世の義理がそれを許さず、職質を受けたら犯罪行為で連行されると思いつつ撮影を断行した。写真そのものの出来は良かったので追加手当も付いたが、人見知りする実娘の自然な写真が欲しいという母親の願望に巻き込まないで欲しかった。

名探偵の解答その83・青い花の記憶

女性に大人気の探偵であるたかあきに、街の富豪から『高貴なる子守歌』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に単純のようです。

　子供だった自分の面倒を見てくれていた、青い花が好きな乳母の行方を捜して欲しいと言う富豪の依頼は、この街で暮らす女性たちへの地道な聞き込みによって何とか解明できた。残念ながら乳母その人は既に亡くなっていたが、彼女の娘だと言う女性は街外れの小さな家の庭で青い花を育てながら静かに暮らしていた。

名探偵の解答その82・貴女のカケラ

女性に大人気の探偵であるたかあきに、不思議な婦人から『奇麗な断絶』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に残酷のようです。

　昨今この街を騒がせている連続女性人体切断殺人事件について調査して欲しいと依頼が入った。それは警察の仕事だと断りたかったのだが、依頼人の只ならぬ雰囲気と高額の報酬に目が眩んだ。当然のように酷い目に遭いつつ解決に至った謎は、依頼人の正体と言う新たなる謎を生み出し、彼方へ消えていった。

名探偵の解答その81・二人の生活

有名な素人探偵であるたかあきに、有名な役者から『簡単な幻想』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に難解のようです。

　役者にはよくある話なんですがと前置きの後、時々自分が自分でなくなる時があって、その間の記憶が無いので素行調査をお願いしたいと言うのが依頼内容だった。犯罪を犯していたらどうする気なのだろうと思いつつ調査を行うと単に別人の生活を送っているだけだったが、妻帯者でありながら恋人がいた。

骨董品に関する物語・19世紀後半〜20世紀初頭のメカニカルペンシル

　どういう理屈かは知らないが、記憶というものは物体にも宿るらしい。特に骨董と呼ばれる品には鮮明で強烈な記憶が刻み込まれていることが多く、何故かそれを読める僕は友人が自慢してきた古いメカニカルペンシルに触れた直後、ペン先が破損した直後らしい記憶に打ちのめされて酷い目に遭った。

名探偵の解答その80・今宵、最後のダンスホール

事務所を開設したばかりの新米探偵であるたかあきに、母親から『丸い小夜曲』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に悲恋のようです。

　どうせ、まだお客なんて来ていないんでしょうと痛い所を突きながら母が依頼してきたのは、若かった母が見合い前日の夜にダンスホールで踊った思い出の男性についてだった。しかし、実は既に父から見合い前日の夜に踊った思い出の女性について聞かされていた僕としては、真実とやらをどう告げるかを悩むばかりだ。