アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

旅空のImagine

2024-12-04 | ・最新のお知らせ・イベントなど

 「旅空のImagine」2020年冬に書いた旅雑文です。期間限定公開中

 12月8日は、ジョン・レノンの命日ですね(もう40年か・・・)。

この日になると(イマジンを聴くと)、僕はNYのホットドック屋台のおっちゃんを思い出す。

あたたかく小さなエピソードとともに。

 

 ある年の初夏、訳あってNYの郊外に滞在していた。

ランチは、屋台のホットドッグとペプシですませることが多かった。

早い、(それなりに)旨い、安い。三拍子そろっているホットドッグを、ベンチに座って

食べていると、ああっ、今アメリカにいるのだなぁ・・・としみじみと思うのであった。

 

 その日は、セントラルパークをぶらぶら歩き、

有名なImagineの記念碑などを見学したあと、はじめて寄った屋台でホットドッグとペプシを買った。

手際よくソーセージを挟みながら(ヒスパニック系の)おっちゃんが、「お前ジャパニーズか?」と聞いてきた。

僕は、「うん、そうだ」と答えた。

出来上がったホットドッグを受け取り、代金を払おうした。

だが、おっちゃんは首を横にふって、「いらないよ。今、お前の国はいろいろタイヘンだからなぁ・・・」と言った。

僕は、ああ、そうか、3ヶ月前の東北大震災のコトを言っているのだ、とすぐにわかった。

「いや、僕が住んでいるところは、西日本のすみっこで、直接の被害はないの・・・」

と言いかけたが、野暮なような気がして途中でやめた。

「サンキュー」。少しフクザツな気分だったが、好意に甘えることにして、笑って屋台をはなれた。

(次ぎに寄った時は、ちゃんと代金を払った。この間はありがとう。また来るよ、と言って)。

 

 ベンチに座り、ホットドッグを食べながら考えた。もし、自分がおっちゃんの立場だったら、

―遠い国の大災害のニュースを見聞きし、惨状を想像し、その国からきた一見の客にも心を寄せ行いをする―

同じようにふるまえるだろうか、と。

初夏のさわやかな風にのって、誰かがギターで歌う「Imagine」が聴こえてきた。

♪想像してごらん すべての人々が 世界をわかちあってると♪

 

 ジョン・レノンのステキな曲を聴くと思いだす、

旅のあたたかく小さなエピソードは、想像することの大切さを、あらためて教えてくれます。



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