「旅空のImagine」2020年冬に書いた旅雑文です。期間限定公開中
12月8日は、ジョン・レノンの命日ですね(もう40年か・・・)。
この日になると(イマジンを聴くと)、僕はNYのホットドック屋台のおっちゃんを思い出す。
あたたかく小さなエピソードとともに。
ある年の初夏、訳あってNYの郊外に滞在していた。
ランチは、屋台のホットドッグとペプシですませることが多かった。
早い、(それなりに)旨い、安い。三拍子そろっているホットドッグを、ベンチに座って
食べていると、ああっ、今アメリカにいるのだなぁ・・・としみじみと思うのであった。
その日は、セントラルパークをぶらぶら歩き、
有名なImagineの記念碑などを見学したあと、はじめて寄った屋台でホットドッグとペプシを買った。
手際よくソーセージを挟みながら(ヒスパニック系の)おっちゃんが、「お前ジャパニーズか?」と聞いてきた。
僕は、「うん、そうだ」と答えた。
出来上がったホットドッグを受け取り、代金を払おうした。
だが、おっちゃんは首を横にふって、「いらないよ。今、お前の国はいろいろタイヘンだからなぁ・・・」と言った。
僕は、ああ、そうか、3ヶ月前の東北大震災のコトを言っているのだ、とすぐにわかった。
「いや、僕が住んでいるところは、西日本のすみっこで、直接の被害はないの・・・」
と言いかけたが、野暮なような気がして途中でやめた。
「サンキュー」。少しフクザツな気分だったが、好意に甘えることにして、笑って屋台をはなれた。
(次ぎに寄った時は、ちゃんと代金を払った。この間はありがとう。また来るよ、と言って)。
ベンチに座り、ホットドッグを食べながら考えた。もし、自分がおっちゃんの立場だったら、
―遠い国の大災害のニュースを見聞きし、惨状を想像し、その国からきた一見の客にも心を寄せ行いをする―
同じようにふるまえるだろうか、と。
初夏のさわやかな風にのって、誰かがギターで歌う「Imagine」が聴こえてきた。
♪想像してごらん すべての人々が 世界をわかちあってると♪
ジョン・レノンのステキな曲を聴くと思いだす、
旅のあたたかく小さなエピソードは、想像することの大切さを、あらためて教えてくれます。
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