あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(8)

2005年11月22日 | CD・書籍紹介(FREE)
「フリー/ファイアー・アンド・ウォーター FIRE AND WATER」
UICY-2397 \1748(税抜)
オリジナル:1970年作品

「大ヒット曲『オール・ライト・ナウ』を収録したグループ最高傑作!」と言われるアルバムだが。
やっぱ音が良くない。
ギターの音色なんて「ベロ~ン」とした三味線の出来損ないみたいで。ベース音も途中で上行ったりして、それをカヴァーするバスドラの音も淡白。

演奏も、やっぱ練りすぎて鮮度落ちてる感は拭えない。
曲はイイんですよね、例によって。

1曲目は「ファイアー・アンド・ウォーター」だし。
ロジャース先生が朗々と歌い上げる「オウ・アイ・ウェプト」も好曲だし。
「リメンバー」も個人的には大好きなミディアム・ナンバーだし(出だしのギターが最高だが、後で鳴ってるオーバーダブが三味線の出来損ない・・・)。

「ミスター・ビッグ」も、この後のライヴでハイライトとなる盛り上がりソングだし。
ストイックなスロー曲「ヘヴィ・ロード」も良いし。
ややベタなバラード「ドント・セイ・ユー・ラヴ・ミー」も、次の「オールライト・ナウ」への布石だと考えれば許容範囲。



――でも、やっぱ鮮度に物足りなさが。
スタジオで弄くり回すより、ライヴで勢い増したがOKなバンドの筈だが、どうも初のセルフ・プロデュースで経験不足を露わにした感じ・・・。

まぁ、パープルで言えば「マシンヘッド」みたいなアルバムか。
代表曲てんこ盛りなれど、後続で出たライヴ・アルバムの方が、同じ曲でも出来がイイ・・・と。
ちょっと前に英国の放送局だったが行ったアンケートで「最も過大評価されたアルバム」なんてのがあったが。
ある意味、フリーの最高傑作と言われる「ファイアー・アンド・ウォーター」もそうなのかも知れませんなぁ・・・。
たまに「リメンバー」や「オールライト・ナウ」聴きたくて引っ張り出す一枚なんですが・・・。



上記の商品ナンバーは、オリジナル・トラック7曲にボーナス・トラック6曲を加えてレギュラー商品化されたもの。
レコードジャケット・サイズのスリーブにCDがパッケージされた「でかジャケCD」ヴァージョンもあり。

――以下、収録曲。
1.ファイアー・アンド・ウォーター
2.オウ・アイ・ウェプト
3.リメンバー
4.ヘヴィ・ロード
5.ミスター・ビッグ
6.ドント・セイ・ユー・ラヴ・ミー
7.オール・ライト・ナウ
~ボーナストラック~
8.オウ・アイ・ウェプト(オルタネイト・ヴォーカル・テイク)
9.ファイアー・アンド・ウォーター(ニュー・ステレオ・ミックス)
10.ファイアー・アンド・ウォーター(BBCセッション)
11.オール・ライト・ナウ(BBCセッション)
12.オール・ライト・ナウ(シングル・ヴァージョン)
13.オール・ライト・ナウ(ファースト・ヴァージョン)

――元々が短い収録時間のアルバムだから、ボートラ収録されても長くは無い(笑)。
10曲目(ファイアー・アンド・ウォーター/BBCセッション)と11曲目(オール・ライト・ナウ/BBCセッション)を聴けば、「やっぱりフリーはライヴ・バンドだったんだなぁ」と再認識する事になるでしょう・・・。

まぁ、コゾフが「ブルースロックのファンからは『売れ線の曲を出しやがって』って叩かれたよ」とボヤいた「らしくない明るい曲=オールライト・ナウ」は、スタジオ・ヴァージョンで充分に感激できるが・・・。

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(7)

2005年11月22日 | CD・書籍紹介(FREE)
【フリー+10 FREE】UICY-2396 \1748(税抜)
オリジナル:1969年作品

・・・で、セカンドアルバム。
セカンドなのに、セルフタイトル。
普通、1stで「Same」なら分かるが、セカンドにグループ名と同名タイトルを付ける・・・と。
ま、レーベル同じのトラフィックが、そうだったし。
スプーキー・トゥースも、それに近かったし。

・・・で、良く言われるのが「ブルース・ロックから脱却し彼等独自のサウンドを確立した記念作」って言い方。
確かに、リズムセクションに変化あり。
カークのドラムは後ノリになってるし。
1stでは、ギターとユニゾンみたいな無難な音が大半だったフレーザーのベースも、リズムにウネリが出て来て、音階にも独自性あり。
「低いトコロ押えときゃいい」ってなベースでは、明らかになくなっている。そして、無音の美学ともいえる「抜き」も・・・。
師匠のアレクシス・コーナーに教わったという「なんでも詰め込みゃイイってワケじゃ無い」って美学。オーバーダブも減ってる感じだし、かなり練って作られた印象あり。

反面、楽曲が「こねくり回されて新鮮度が落ちてる」印象も拭えない。
音質も、ドラムのアタック音は後退してるし。
全体的にくぐもった上に、一音一音が細くなってると言うか。瑞々しさが失われたように感じられる。

曲は悪くない。ヘヴィロックの傑作「ウォーマン」「ブロ-ド・デイライト」「トラブル・オン・ダブルタイム」、早足リズムの「ソング・オブ・イエスタディ」、フレイザーのベースラインが独自性を発揮した「アイル・ビー・クリーピン」
・・・と、ライヴでは盛り上がったであろう好曲が多いのよ。

ただ、取って付けたようなバラードが・・・。
アルペジオのギターに、呟くようなヴォーカル、ただ大人しいドラム・・・。
音の鮮度の無さと、このベタなバラード群が、同アルバムを地味にしている印象は拭えず。

あまり、聴き始めの人には勧められないアルバムですなぁ・・・。

上記の商品番号は、オリジナル・トラック9曲にボーナス・トラック10曲を加えてレギュラー商品化されたもの。



――以下、曲目

1.アイル・ビー・クリーピン
2.ソングス・オブ・イエスタデイ
3.ライイング・イン・ザ・サンシャイン
4.トラブル・オン・ダブル・タイム
5.マウスフル・オブ・グラス
6.ウーマン
7.フリー・ミー
8.ブロード・デイライト
9.モーニング・サッド・モーニング
~ボーナストラック~
10.ブロード・デイライト (シングル・ヴァージョン/モノ・ミックス)
11.ザ・ワーム(シングル・ヴァージョン/モノ・ミックス)
12.アイル・ビー・クリーピン (シングル・ヴァージョン/モノ・ミックス)
13.シュガー・フォー・ミスター・モリソン (シングル・ヴァージョン/モノ・ミックス)
14.ブロード・デイライト(BBCセッション)
15.ソングス・オブ・イエスタデイ(BBCセッション)
16.マウスフル・オブ・グラス (アンディ・フレイザーによるソロ・アコースティック・ヴァージョン)
17.ウーマン(オルタナティヴ・ヴァージョン)
18.トラブル・オン・ダブル・タイム(アーリー・ヴァージョン)
19.モーニング・サッド・モーニング (オルタナティヴ・ヴァージョン)

――ビッグネームが次々とボートラ入りの紙ジャケ出す中、半ば諦めてたのがウソのような、ボートラの曲数よ(涙)。
注目は、14曲目&15曲目・・・か。
「ブロード・デイライト(BBCセッション)」「ソングス・オブ・イエスタデイ(BBCセッション)」
ま、英国国営ラジオでのスタジオ・ライヴなのだが。

これが・・・良いのよ!!(涙)
「ブロード・・・」ではカークのドラム、いい音(低音)のタム叩いてるし。

ドラム連打で始まる「ソング・・・」に至っちゃ、ノリの良さに「これくらいの勢いでスタジオ・アルバムも録っててよ!!」と泣きが入る程のカッコ良さ!!

ファンは、これだけでも「買い」ですよ。
なんつっても「ソング・・・」はBOXセットのタイトル名になった曲ですからねぇ・・・。

ちなみに、青空を背景に羽ばたくように闊歩する女性のシルエットを撮ったジャケットは、グループのジャケ史上で最高の物で。

下からアオりで撮ったアングルは、普通に現像したらトンでもない事になるのだが(笑)。
そこはアーティスティックに加工・編集され、女性のシルエットは宇宙の切り抜きとなり(マグリット的とも言えるなぁ・・・)、まさに「FREE」なジャケット・フォトとなったのでした。

アイランド・レーベルの設立ウン十周年記念に発売されたビデオで、同レーベルのイメージ・デザインの「i」と「椰子の木イラスト」がCGアニメで右に左に飛び交う中・・・。
この「女性」が、青空を軽やかに駆けていく姿が「動くCGアニメ映像」として見れた時は、なんか無性に感激したんだよなぁ・・・・。