「ライブ!」を挟んで発売された再結成アルバム。
それが【フリー・アット・ラスト FREE AT LAST】UICY-2400 \1748(税抜)
オリジナル:1972年作品
この時期のフリーはと言えば。
「世界挑戦間近だったのに、若さゆえのワガママでチャンスを棒に振ってリングを去った異能のボクサー」なイメージなんですよね。
――で、
やっぱり「もう一回チャンスを!」とカムバックしたが、不摂生が祟り出来の悪いパフォーマンスを見せてしまった・・・と。
それでも、才能の片鱗は充分に見せ、それはそれでファンを魅了はしてみせた・・・って感じか。
フリー空中分解で、益々クスリに のめり込んだコゾフを知り「このままじゃ、彼が駄目になる。彼を救うにはフリー再編しかない」とフレーザーに熱望されて再結成されたフリーだったが。
それでもコゾフのクスリ癖は治らず、生真面目なフレーザーやロジャースは「新しく始めたプロジェクト放棄して再編したのに・・・」と落胆(まぁ、そっちも上手く行ってなかったらしいが)。
フリーというバンドは再度、空中分解したそうな・・・(フレイザーなんて、後で組んだバンド“シャークス”で「他のメンバーがステージ上でフザけた振る舞いしたのが許せん」・・・ってんで辞めちゃったなんつう人だからなぁ)。
例によって曲は悪くない。
でも、アルバム全体から醸し出される倦怠感というか・・・ダラダラ感がシンドイのよね。
ロックチューン「キャッチ・ア・トレイン」、 行進曲風の出だしから続くロジャース先生の歌唱が光る「ソルジャー・ボーイ」。
サビが美しい「マジック・シップ」「セイル・オン」。
90年代のロジャース・ソロ公演で、ギターのJ・ホワイトホーン(元IF)が熱演し、後半のロジャース先生のシャウトも壮絶な「トラヴェリン・マン」。
シングルカットされてスマッシュヒットとなった佳曲「リトル・ビット・オブ・ラヴ」(印象的なベースがオープニングを飾るフリーらしい曲。サビで聴こえるメロトロンも良い!)。
成熟したバラード「ガーディアン・オブ・ザ・ユニヴァース」。アコーステック風味の「チャイルド」。
バラードから始まり後半ロジャースの熱唱で盛り上がる「グッドバイ」・・・。
好曲が並んでますよ。イイ曲多いですよ。
ただ、やっぱり終盤に大人しい曲があつまってダラダラ終わる印象あり・・・。
何と言っても音の構築バランスが悪過ぎる。中低域がスッカスカ。
フレット全体を自在に使うアンディ・フレーザーの天才的なベースだが、個性的な反面「バンドサウンドの土台を支える役割を放棄している」面もあり。
ギターのコゾフが「それを補うのがオレの役割だった」って語るのも納得の勝手フレーズの連発。
「自由に弾けない」「全体の中低域を押さえる為に弦も太めに張り替えた(コゾフの特徴となった太いビブラートも、実際は苦肉の策だったそうな・・・)」。
あと「ベースとヴォーカルに較べれば曲が書けない」コゾフ、発言権も失われていったのは容易に想像できる。
そんで、「ここは抑えるトコロだから、ギター弾きまくるな」みたいな抑圧があったに違いない。
――で、ストレスから走った薬を生真面目なメンバーに咎められ、ますます迷走。
「彼を救おう!」と言った当人が、以前のまんまのプレイして、フォローする気力の失せたコゾフは「縁の下」の仕事を放棄(つ~か、心身ともに疲れて不可能だったか)。
フリー・アット・ラストは、中低域がスカスカで、その辺を押える気力を失ったギターの悲鳴みたいな音色が鳴り響く、奇妙なアルバムになってしまった。
一回、ヴォーカルとベースを掴まえて「お前等、その辺の自覚あるのか!?!?」と問い詰めてみたい・・・(まぁ、A級戦犯のフレイザーは潔く認めて後悔してるらしいが)。
未完の大器の片鱗が垣間見え、失った物の大きさを知る・・・そんなアルバムですなぁ。
最初に紹介した商品番号は、オリジナル・トラック9曲にボーナス・トラック6曲を加えてレギュラー商品化した「フリー・アット・ラスト+6」の物。
――以下、収録曲。
1.キャッチ・ア・トレイン
2.ソルジャー・ボーイ
3.マジック・シップ
4.セイル・オン
5.トラヴェリン・マン
6.リトル・ビット・オブ・ラヴ
7.ガーディアン・オブ・ザ・ユニヴァース
8.チャイルド
9.グッドバイ
~ボーナス・トラック~
10.バーニン’=モルテン・ゴールド(オルタナティヴ・テイク)
11.ホンキー・トンク・ウィメン
12.マジック・シップ (オルタナティヴ・ミックス)
13.リトル・ビット・オブ・ラヴ (オルタナティヴ・ミックス)
14.ガーデン・オブ・ザ・ユニヴァース (ポール・ロジャース・ソロ・ヴァージョン)
15.チャイルド(アーリー・ミックス)
――ハートブレイカー・フリー時代にステージで披露されていたストーンズ・カヴァーの「ホンキートンク・・・」、この後に再度解散したオリジナル・フリーのメンバーがコゾフのソロアルバムに参加した名曲「モルテン・ゴールド」の原型「バーニン’」。
その辺が、注目のボートラか。
まぁ、「ホンキー・・・」は、お遊び半分のセッションで、ロジャースの投げやりにも聴こえる歌唱は感心できませんが。
ただし、「モルテン・・・」は、その素晴らしさに、失われた物の大きさを感じるばかり・・・(結局、後の同窓会セッションで、元フリーのメンバーがコゾフに曲をくれてやったって感じか)。
後年、バッド・カンパニーの控室を訪れたコゾフ、当然ゲストとしてステージに上がると思いきや、ロジャースが絶対に許さなかったとか。年齢的には弟分だったコゾフがクスリから足を洗っていないと聴いたロジャースは「そんなヤツはステージに上げられない」と思っていたのか・・・(皆、フレイザーの事ばっか「まだ10代の天才少年」と言うが、コゾフも大成功収めた時は10代だったんだよなぁ・・・)。
これまた古本屋で高値で買ったニュー・ミュージック・マガジンのバックナンバー「マチ・ロジャースが語る夫ポール」のページ。
大半が亭主の「おのろけ」ばっかりで「なんでぇ、もっと音楽的なコト知りたいのに、カネの無駄じゃねぇかよ」・・・とも思ったが。まぁ、その辺が聞けただけOKか・・・。
ちなみに日本人のマチさん、今はミュージシャンとなった子供達を育て上げ、ロジャースとは離婚。
今回の来日、ロジャース先生は新しい嫁を連れて来ていたとか・・・。
――余談でしたなぁ。
それが【フリー・アット・ラスト FREE AT LAST】UICY-2400 \1748(税抜)
オリジナル:1972年作品
この時期のフリーはと言えば。
「世界挑戦間近だったのに、若さゆえのワガママでチャンスを棒に振ってリングを去った異能のボクサー」なイメージなんですよね。
――で、
やっぱり「もう一回チャンスを!」とカムバックしたが、不摂生が祟り出来の悪いパフォーマンスを見せてしまった・・・と。
それでも、才能の片鱗は充分に見せ、それはそれでファンを魅了はしてみせた・・・って感じか。
フリー空中分解で、益々クスリに のめり込んだコゾフを知り「このままじゃ、彼が駄目になる。彼を救うにはフリー再編しかない」とフレーザーに熱望されて再結成されたフリーだったが。
それでもコゾフのクスリ癖は治らず、生真面目なフレーザーやロジャースは「新しく始めたプロジェクト放棄して再編したのに・・・」と落胆(まぁ、そっちも上手く行ってなかったらしいが)。
フリーというバンドは再度、空中分解したそうな・・・(フレイザーなんて、後で組んだバンド“シャークス”で「他のメンバーがステージ上でフザけた振る舞いしたのが許せん」・・・ってんで辞めちゃったなんつう人だからなぁ)。
例によって曲は悪くない。
でも、アルバム全体から醸し出される倦怠感というか・・・ダラダラ感がシンドイのよね。
ロックチューン「キャッチ・ア・トレイン」、 行進曲風の出だしから続くロジャース先生の歌唱が光る「ソルジャー・ボーイ」。
サビが美しい「マジック・シップ」「セイル・オン」。
90年代のロジャース・ソロ公演で、ギターのJ・ホワイトホーン(元IF)が熱演し、後半のロジャース先生のシャウトも壮絶な「トラヴェリン・マン」。
シングルカットされてスマッシュヒットとなった佳曲「リトル・ビット・オブ・ラヴ」(印象的なベースがオープニングを飾るフリーらしい曲。サビで聴こえるメロトロンも良い!)。
成熟したバラード「ガーディアン・オブ・ザ・ユニヴァース」。アコーステック風味の「チャイルド」。
バラードから始まり後半ロジャースの熱唱で盛り上がる「グッドバイ」・・・。
好曲が並んでますよ。イイ曲多いですよ。
ただ、やっぱり終盤に大人しい曲があつまってダラダラ終わる印象あり・・・。
何と言っても音の構築バランスが悪過ぎる。中低域がスッカスカ。
フレット全体を自在に使うアンディ・フレーザーの天才的なベースだが、個性的な反面「バンドサウンドの土台を支える役割を放棄している」面もあり。
ギターのコゾフが「それを補うのがオレの役割だった」って語るのも納得の勝手フレーズの連発。
「自由に弾けない」「全体の中低域を押さえる為に弦も太めに張り替えた(コゾフの特徴となった太いビブラートも、実際は苦肉の策だったそうな・・・)」。
あと「ベースとヴォーカルに較べれば曲が書けない」コゾフ、発言権も失われていったのは容易に想像できる。
そんで、「ここは抑えるトコロだから、ギター弾きまくるな」みたいな抑圧があったに違いない。
――で、ストレスから走った薬を生真面目なメンバーに咎められ、ますます迷走。
「彼を救おう!」と言った当人が、以前のまんまのプレイして、フォローする気力の失せたコゾフは「縁の下」の仕事を放棄(つ~か、心身ともに疲れて不可能だったか)。
フリー・アット・ラストは、中低域がスカスカで、その辺を押える気力を失ったギターの悲鳴みたいな音色が鳴り響く、奇妙なアルバムになってしまった。
一回、ヴォーカルとベースを掴まえて「お前等、その辺の自覚あるのか!?!?」と問い詰めてみたい・・・(まぁ、A級戦犯のフレイザーは潔く認めて後悔してるらしいが)。
未完の大器の片鱗が垣間見え、失った物の大きさを知る・・・そんなアルバムですなぁ。
最初に紹介した商品番号は、オリジナル・トラック9曲にボーナス・トラック6曲を加えてレギュラー商品化した「フリー・アット・ラスト+6」の物。
――以下、収録曲。
1.キャッチ・ア・トレイン
2.ソルジャー・ボーイ
3.マジック・シップ
4.セイル・オン
5.トラヴェリン・マン
6.リトル・ビット・オブ・ラヴ
7.ガーディアン・オブ・ザ・ユニヴァース
8.チャイルド
9.グッドバイ
~ボーナス・トラック~
10.バーニン’=モルテン・ゴールド(オルタナティヴ・テイク)
11.ホンキー・トンク・ウィメン
12.マジック・シップ (オルタナティヴ・ミックス)
13.リトル・ビット・オブ・ラヴ (オルタナティヴ・ミックス)
14.ガーデン・オブ・ザ・ユニヴァース (ポール・ロジャース・ソロ・ヴァージョン)
15.チャイルド(アーリー・ミックス)
――ハートブレイカー・フリー時代にステージで披露されていたストーンズ・カヴァーの「ホンキートンク・・・」、この後に再度解散したオリジナル・フリーのメンバーがコゾフのソロアルバムに参加した名曲「モルテン・ゴールド」の原型「バーニン’」。
その辺が、注目のボートラか。
まぁ、「ホンキー・・・」は、お遊び半分のセッションで、ロジャースの投げやりにも聴こえる歌唱は感心できませんが。
ただし、「モルテン・・・」は、その素晴らしさに、失われた物の大きさを感じるばかり・・・(結局、後の同窓会セッションで、元フリーのメンバーがコゾフに曲をくれてやったって感じか)。
後年、バッド・カンパニーの控室を訪れたコゾフ、当然ゲストとしてステージに上がると思いきや、ロジャースが絶対に許さなかったとか。年齢的には弟分だったコゾフがクスリから足を洗っていないと聴いたロジャースは「そんなヤツはステージに上げられない」と思っていたのか・・・(皆、フレイザーの事ばっか「まだ10代の天才少年」と言うが、コゾフも大成功収めた時は10代だったんだよなぁ・・・)。
これまた古本屋で高値で買ったニュー・ミュージック・マガジンのバックナンバー「マチ・ロジャースが語る夫ポール」のページ。
大半が亭主の「おのろけ」ばっかりで「なんでぇ、もっと音楽的なコト知りたいのに、カネの無駄じゃねぇかよ」・・・とも思ったが。まぁ、その辺が聞けただけOKか・・・。
ちなみに日本人のマチさん、今はミュージシャンとなった子供達を育て上げ、ロジャースとは離婚。
今回の来日、ロジャース先生は新しい嫁を連れて来ていたとか・・・。
――余談でしたなぁ。