あるBOX(改)

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ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(10)

2005年11月24日 | CD・書籍紹介(FREE)
「ライブ!」を挟んで発売された再結成アルバム。
それが【フリー・アット・ラスト FREE AT LAST】UICY-2400 \1748(税抜) 
オリジナル:1972年作品

この時期のフリーはと言えば。
「世界挑戦間近だったのに、若さゆえのワガママでチャンスを棒に振ってリングを去った異能のボクサー」なイメージなんですよね。

――で、
やっぱり「もう一回チャンスを!」とカムバックしたが、不摂生が祟り出来の悪いパフォーマンスを見せてしまった・・・と。

それでも、才能の片鱗は充分に見せ、それはそれでファンを魅了はしてみせた・・・って感じか。
フリー空中分解で、益々クスリに のめり込んだコゾフを知り「このままじゃ、彼が駄目になる。彼を救うにはフリー再編しかない」とフレーザーに熱望されて再結成されたフリーだったが。

それでもコゾフのクスリ癖は治らず、生真面目なフレーザーやロジャースは「新しく始めたプロジェクト放棄して再編したのに・・・」と落胆(まぁ、そっちも上手く行ってなかったらしいが)。

フリーというバンドは再度、空中分解したそうな・・・(フレイザーなんて、後で組んだバンド“シャークス”で「他のメンバーがステージ上でフザけた振る舞いしたのが許せん」・・・ってんで辞めちゃったなんつう人だからなぁ)。

例によって曲は悪くない。
でも、アルバム全体から醸し出される倦怠感というか・・・ダラダラ感がシンドイのよね。



ロックチューン「キャッチ・ア・トレイン」、 行進曲風の出だしから続くロジャース先生の歌唱が光る「ソルジャー・ボーイ」。
サビが美しい「マジック・シップ」「セイル・オン」。

90年代のロジャース・ソロ公演で、ギターのJ・ホワイトホーン(元IF)が熱演し、後半のロジャース先生のシャウトも壮絶な「トラヴェリン・マン」。

シングルカットされてスマッシュヒットとなった佳曲「リトル・ビット・オブ・ラヴ」(印象的なベースがオープニングを飾るフリーらしい曲。サビで聴こえるメロトロンも良い!)。

成熟したバラード「ガーディアン・オブ・ザ・ユニヴァース」。アコーステック風味の「チャイルド」。

バラードから始まり後半ロジャースの熱唱で盛り上がる「グッドバイ」・・・。
好曲が並んでますよ。イイ曲多いですよ。

ただ、やっぱり終盤に大人しい曲があつまってダラダラ終わる印象あり・・・。
何と言っても音の構築バランスが悪過ぎる。中低域がスッカスカ。

フレット全体を自在に使うアンディ・フレーザーの天才的なベースだが、個性的な反面「バンドサウンドの土台を支える役割を放棄している」面もあり。

ギターのコゾフが「それを補うのがオレの役割だった」って語るのも納得の勝手フレーズの連発。

「自由に弾けない」「全体の中低域を押さえる為に弦も太めに張り替えた(コゾフの特徴となった太いビブラートも、実際は苦肉の策だったそうな・・・)」。

あと「ベースとヴォーカルに較べれば曲が書けない」コゾフ、発言権も失われていったのは容易に想像できる。
そんで、「ここは抑えるトコロだから、ギター弾きまくるな」みたいな抑圧があったに違いない。

――で、ストレスから走った薬を生真面目なメンバーに咎められ、ますます迷走。

「彼を救おう!」と言った当人が、以前のまんまのプレイして、フォローする気力の失せたコゾフは「縁の下」の仕事を放棄(つ~か、心身ともに疲れて不可能だったか)。

フリー・アット・ラストは、中低域がスカスカで、その辺を押える気力を失ったギターの悲鳴みたいな音色が鳴り響く、奇妙なアルバムになってしまった。

一回、ヴォーカルとベースを掴まえて「お前等、その辺の自覚あるのか!?!?」と問い詰めてみたい・・・(まぁ、A級戦犯のフレイザーは潔く認めて後悔してるらしいが)。

未完の大器の片鱗が垣間見え、失った物の大きさを知る・・・そんなアルバムですなぁ。

最初に紹介した商品番号は、オリジナル・トラック9曲にボーナス・トラック6曲を加えてレギュラー商品化した「フリー・アット・ラスト+6」の物。

――以下、収録曲。

1.キャッチ・ア・トレイン
2.ソルジャー・ボーイ
3.マジック・シップ
4.セイル・オン
5.トラヴェリン・マン
6.リトル・ビット・オブ・ラヴ
7.ガーディアン・オブ・ザ・ユニヴァース
8.チャイルド
9.グッドバイ
~ボーナス・トラック~
10.バーニン’=モルテン・ゴールド(オルタナティヴ・テイク)
11.ホンキー・トンク・ウィメン
12.マジック・シップ (オルタナティヴ・ミックス)
13.リトル・ビット・オブ・ラヴ (オルタナティヴ・ミックス)
14.ガーデン・オブ・ザ・ユニヴァース (ポール・ロジャース・ソロ・ヴァージョン)
15.チャイルド(アーリー・ミックス)



――ハートブレイカー・フリー時代にステージで披露されていたストーンズ・カヴァーの「ホンキートンク・・・」、この後に再度解散したオリジナル・フリーのメンバーがコゾフのソロアルバムに参加した名曲「モルテン・ゴールド」の原型「バーニン’」。

その辺が、注目のボートラか。
まぁ、「ホンキー・・・」は、お遊び半分のセッションで、ロジャースの投げやりにも聴こえる歌唱は感心できませんが。

ただし、「モルテン・・・」は、その素晴らしさに、失われた物の大きさを感じるばかり・・・(結局、後の同窓会セッションで、元フリーのメンバーがコゾフに曲をくれてやったって感じか)。

後年、バッド・カンパニーの控室を訪れたコゾフ、当然ゲストとしてステージに上がると思いきや、ロジャースが絶対に許さなかったとか。年齢的には弟分だったコゾフがクスリから足を洗っていないと聴いたロジャースは「そんなヤツはステージに上げられない」と思っていたのか・・・(皆、フレイザーの事ばっか「まだ10代の天才少年」と言うが、コゾフも大成功収めた時は10代だったんだよなぁ・・・)。

これまた古本屋で高値で買ったニュー・ミュージック・マガジンのバックナンバー「マチ・ロジャースが語る夫ポール」のページ。

大半が亭主の「おのろけ」ばっかりで「なんでぇ、もっと音楽的なコト知りたいのに、カネの無駄じゃねぇかよ」・・・とも思ったが。まぁ、その辺が聞けただけOKか・・・。

ちなみに日本人のマチさん、今はミュージシャンとなった子供達を育て上げ、ロジャースとは離婚。
今回の来日、ロジャース先生は新しい嫁を連れて来ていたとか・・・。

――余談でしたなぁ。

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(9)

2005年11月24日 | CD・書籍紹介(FREE)
――で、フリーのサードアルバム。

「フリー/ハイウェイ+6 HIGHWAY」 UICY-2398 \1748(税抜)
オリジナル:1970年作品

しかし、凄いペースでアルバム作ってんなぁ・・・。
「年に2枚は当り前」ってか。

「オール・ライト・ナウ」大ヒット余韻醒めやらぬ内に後続打カッ飛ばそうって腹だったんだろうが(特にレーベルオーナーのクリス・ブラックウェル)。

シングルカットの「スティーラー」がイマイチ売れず。
慌てて続けたアコースティック調の「マイブラザー・ジェイク」がスマッシュ・ヒットしたりして迷走の様相・・。



――で。グループ充実期の4thアルバム「ハイウェイ」だが。
1stから3rdで一気に成熟したバンドの老成が始まっている印象・・・。

メンバー皆、若いのに・・・。静かな曲が多いかなぁ・・・。
以前のような「取って付けた感」は減ったが、バラードやアコースティック物が、これまた全体の印象を地味にしている感じ。
「ビー・マイ・フレンド」みたいな“フリーのバラード”の代表作もあるけどね。

上記商品ナンバーは、オリジナル・トラック9曲にボーナス・トラック6曲を加えてレギュラー商品化されたもの。

――以下、収録曲。
1.ザ・ハイウェイ・ソング
2.ザ・スティーラー
3.オン・マイ・ウェイ
4.ビー・マイ・フレンド
5.サニー・デイ
6.ライド・オン・ポニー
7.ラヴ・ユー・ソー
8.ボディ
9.スーン・アイ・ウィル・ビー・ゴーン
~ボーナス・トラック~
10.マイ・ブラザー・ジェイク(シングル)
11.オンリー・マイ・ソウル(シングルB面)
12.ライド・オン・ポニー(BBCセッション)
13.ビー・マイ・フレンド(BBCセッション)
14.レイン(オルタナティヴ・ヴァージョン)
15.ザ・スティーラー(シングル・ヴァージョン)



――当時、未収録だった「マイ・ブラザー・ジェイク」がボートラで入ってるのが注目点か(もっとも、ハイウェイのセッションとは別日に録られた曲らしいですがね)。

これが聴きたくて、廃盤だった「フリー・ストーリー(バドカンが売れたのに便乗して作った?フリーの2枚組ベスト」探しまわったんだよなぁ・・・。

で、中古盤屋でプレミア付9800円の古いアルバム買ったんだよなぁ・・・。
そしたら数ヶ月で「フリー・ストーリー」CD化されたんだよなぁ・・・。
レコ-ドの価値ガタ落ちだよなぁ・・・。

まぁ、CDの方には「ハートブレイカー」のライヴ・ヴァージョンは入ってなかったけど。
でも、音のバランス悪くて、途中でキーボードが大音響で乱入してくる不完全ライヴ、無くても問題ないかなぁ・・。

――で、シングルで結構売れたっていう「マイ・ブラザー・・・」、どんな凄いHRかと思ったら、爪弾くピアノに続いてロジャース先生がしっとり歌う、ミディアム・バラード(?)。

個人的には「スティーラー」のリフやベースラインが大好きなので、「なんで、スティーラーより売れたの?」と当時は不思議でしょうがなかった曲ですが。
聴き慣れたら「これはこれで良いな」って感じです。
歌詞は、バドカン路線に繋がるアウトロー哀歌・・だし(勝手に決め付けておりますが)。

あとは例によってBBCセッション。
まぁ、悪いワケないですよ。
ロジャース先生本人だって「オリジナル・フリーのライヴに不発は無かった。コゾフの状態が悪くなった後期でもだ」と言ってますからなぁ・・・。
このアルバム発売後に来日するも、極東ツアーの途中(オーストラリアへの移動中、大ゲンカ?)でグループは空中分解し、解散・・・。

フリーの短い全盛期は「熱情の1st~進化の2nd~充実の3rd~老成の4th」と、あっと言う間に過ぎ去ってしまったのでした。