あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

歌舞伎座に行く②

2010年03月05日 | 芸能
お目当ては「弁天娘女男白波」だったのだが
「筆法伝授」の重厚さに圧倒されました。
(矮小な先輩・左中弁希世のコミカルな動き、
 愚かな語り口、人物の小ささ・・・も印象深かった)

・・・とは言え、
ちびスケにも分かりやすい演目って事でチョイスしたのは
やはり「弁天娘女男白波」

弁天小僧が諸肌脱いでタンカを切るシーンは「口に出して読みたい絵本」で
予習済みなのだ
「知らざぁ言って聞かせやぁしょう~!」は、ちびスケにも御馴染みのセリフ

※でも、セリフの中に
「稚児」や「枕あさり」なんて
 言葉がある絵本ってのも凄いね
 ちびスケが登園後に
「美人局(つつもたせ)」なんて
 言葉をしゃべっていないか
 心配だわ・・・



以下、解説より

幕末の歌舞伎脚本作者(戯作者)河竹黙阿弥の代表作
「青砥稿花紅彩画」という五幕物芝居の第3幕「浜松屋の場」
 
美しい武家娘が供を連れて老舗呉服屋を訪れ
着物や半襟を次々と見るが、怪しい動きに万引きの疑いを持たれてしまう

もみ合いの末、額に傷を負った娘の懐から出てきたのは別の呉服屋の半襟

供の男は「大事のお嬢様の額に傷を付けるとは」騒ぎ立て、店主は百両の
大金を差し出す
渡された百両を受け取って帰ろうとする2人を店の奥から呼び止める侍

「おぬしらがいう武家に出入りする者だが、おぬしらなど見たことも無い!
それに、娘というはまさしく男!」と喝破!

そこで
それまで、楚々とした武家娘が「はわわぁ~」と大あくび

声色も男(少年)に戻り、「ばれちゃあ、しょうがねえ」と、上の啖呵を切る!

「知らざぁ言ってきかせゃ~しょう!」

場内拍手



幕末の歌舞伎脚本作者・河竹黙阿弥が、当代19歳の菊五郎の為に作ったという
「弁天娘女男白波」

今回の出演者は
松本幸四郎(日本駄右衛門)
菊五郎(弁天小僧)
菊之助(宗之助)
南郷力丸(吉右衛門)
赤星十三郎(梅玉)

観光気分な私では ありがたみも半分だが
私よりは歌舞伎に詳しい連れに言わせれば
「これは相当に豪華なメンツ」という事です!

「筆法伝授」に較べ、話も勢い中心でシンプル
盗賊が主人公の話だから
キレの良さ、威勢の良さで勝負だね

コミカルな表現、商人側の独特な口調も楽しい



結局、武家娘を弁天小僧菊之助と見破った侍も
白浪五人男のリーダー格・日本駄右衛門(幸四郎)で
浜松屋店主の信用を得て、もっと大きな金を得ようとしているのだった・・・ってな話

そして別幕に続くのだが、今回は追っ手から逃れ
一旦終結する「稲瀬川勢ぞろいの場」へと場面展開

皆が決め台詞を次々と並べていく様は壮観だったが
ここで私は仕事疲れが出て睡魔に襲われる

しかし
ここは大らかな歌舞伎座
周辺からは既に他の客のイビキも聞こえ
それを咎める人もいない

座席での飲食OK、寝たきゃ寝なさい・・・それが歌舞伎スタイル
それも楽しみ方の一つ、豊かさの証



追っ手を姿を見届け花道を去る一行
そこで大拍手

私も最後は見届けた(笑)

落語で知った「白浪五人男」だったが(元は講談)
「白浪」が盗賊である事さえ知らなかった

※そういえば故・山城新伍さんが
 立川流の落語回に参加されたとき
 「白浪五人男」を題に出された事が
 あったが、それに反応した観客に
 「さすが立川流のお客さんは
 文化レベルが高い」と
 おっしゃった事があったなぁ・・・

また人生の課題が出来ました

「歌舞伎の楽しさ」を知ったので
もっと歌舞伎の事を知る課題が出来ました

テキストは沢山あるから(BSの歌舞伎講座とか)
色々と学んで、「イヤホンガイド」なしで観劇出来るようになりたいねぇ

大向こうから声掛け出来るようになりたいねぇ・・・

歌舞伎座へ行く①

2010年03月05日 | 芸能
今年で取り壊しが決定し
「さよなら公演」が行われている歌舞伎座

連れと1回行った事あるが
「ちびスケも連れて行っておこう」と
3人で銀座へ



チケットは前売りをGET済み

演目は「筆法伝授」「弁天小僧」

早めに着いて
建物外観を眺め、記念撮影



さすがの外観

通り掛かりの人や
観劇者も歩道から記念撮影中

高齢者にも
「ケータイで写真撮影」は普及してるのな・・・



御名残三月大歌舞伎

今回は「多くの人に見てもらおう」と3部制

演目は
「菅原伝授手習鑑 筆法伝授」
「弁天娘女男白波」



まずは「菅原伝授手習鑑 筆法伝授」

以下、あらすじ。

帝から、その神道秘文・筆法を伝授するよう命を受けた丞相(菅原道真)。
しかし一方
皇太子にあたる親王と、丞相(道真)の養女・苅屋姫は、なんと駆け落ち。

それを知らぬ丞相(道真)は、熟考のすえ「弟子であった武部源蔵に伝授を」と
決するが、源蔵は腰本だった戸浪との不義のために勘当され、現在は戸浪を嫁に
寺子屋を開く身。
しかし、丞相は二人を館に呼び、源蔵の腕を試す

嫉妬深く愚かな先輩・左中弁希世の妨害にめげず、堂々と筆の腕前を披露した
源蔵は伝授の一巻と筆を得る。

源蔵は、勘当を解くよう懇願するが叶わず、妻と嘆き悲しみながら館を去る。

一方、
「駆け落ちは、親王を帝位につけ娘を皇后にしようとする丞相の陰謀である」と
藤原時平に疑いを掛けられた丞相は幽閉となり、館は閉門。

源蔵と戸浪は菅家の断絶をおそれ、丞相の実子である7歳の菅秀才を館から逃がし
預かろうとする・・・。

師弟愛と親子愛、男女愛・・・



丞相を演じるのは仁左衛門(元の片岡孝夫)。威厳ある演技はさすが。
丞相は、弟子や養女の行いに振り回されるも、決して多くは語らず。
「男女の情念に溺れるとは愚かな・・・」などとは言わず、運命を受け入れる。
よく出来た妻と身分の整った契りを得たことを、有り難く感じているのではないか
・・・・とも感じられた。

武部源蔵は梅玉(ばいぎょく)。苦悩の様を熱演。
(丞相を陥れ自らが帝に取り入ろうとする)藤原時平の陰謀による菅原家お家断絶
だけは防ごうと、菅秀才の救出を試みるも、計画を時平の侍に悟られ
「どうせ自分は勘当の身。何をやろうと丞相様とは無関係」と立ち回る。

そして、舎人の梅王丸に館の塀上から源蔵に託される幼き跡継ぎ お人形のような
管秀才・・・・。

~いかん、泣けた。