「その店の寿司を食べずして、北海道の寿司は語れない。」
…その通りでした。
寿司に対する価値観を、根本から変えさせられた店でした。まさに「目から鱗」です。
実際、以前からその店の名前は耳にしていました。全国的にも有名ですし。
そこへ、とある居酒屋のマスターから、一緒に行きませんかとのお誘いが。
実は、かなり前からお誘いをいただいておりました。
でも、お店は札幌・桑園の中央卸売市場にあり、営業は朝の六時半から。大抵、午前中にはネタがなくなり閉店。
逆に、ススキノに数多ある店のように簡単に行ける感じではないですし、まさに北海道の食の最前線である、中央卸売市場にある寿司屋。中々、一見で行く勇気も無かったのです。
マスターのお言葉に甘える事にしました。
朝の六時。まだ薄暗い中、始発の電車に乗り、桑園へ。着くと、マスターが車で迎えに来てくださってました。朝方までお店を営業し、市場で仕入れをした後にお付き合いくださったのです。お疲れのところだと言うのに、有りがたい話です。
程無くして市場に到着。市場の朝の六時と言えば、会社の終業時間のようなものだと。でも、活気の余韻は感じました。
そして…
市場のビルの一つに、その店はありました。周りには魚屋を中心に様々な店があるのですが、その一角に静かに佇んでいました。
暖簾もまだ出る前だったのですが、マスターの案内で中へ。カウンターのみ。八、九席程度。
そして、カウンターのショーケースには、一目で新鮮だとわかるネタの数々が。それが、一枚目の写真です。その色彩はもはや、美しい絵画のようです。
席に座り、まずはビール。朝から寿司屋でビール。最高に贅沢な朝御飯の始まりです。
伝票にネタと値段が書いてあり、個数を書いて渡すと握ってくれます。
最初に言いますが、まず、値段に驚くはずです。値段はもはや回転寿司並みに気楽に頼める値段。しかし、ネタは最高級の寿司屋クラス。この店と同じレベルのネタの寿司をススキノで食べたら、4~5倍は確実に取られます。
それを念頭に入れて頂いた上で、当日食べた寿司をご覧ください。
中落ちの握り。
中落ちを軍艦ではなく握りで。最初からやられました。
いか。
ほたて。
実は、後から常連の市場の方が入ってきて、何気なく小さなビニールに入れたホタテを店主に渡したのですが、それを握ってくれました。この市場の空気感がたまらない。
げそ。
甘エビ。
味噌がたっぷり載ってます。こんな甘エビは食べたことがない。
たらこ。
さより。
ホヤ。
一番感動したネタ。実はホヤは苦手だったのです。食べられないことは無いのですが、独特な風味が苦手で、「これが磯の香りだよ」なんて言われても、そんなもんなのかなと。
しかし、このホヤは今まで生涯食べた寿司の中で、一番の衝撃を受けました。
その味わいは爽やか。
旨味、酸味、塩気、香り。海のあらゆる恵みが、口いっぱいに。嫌な風味は一切なく、心地好い海風が駆け抜けるがごとく、食べることの快感が脳天に突き抜けました。
今まで食べたホヤは全て、ホヤではなかった。
実は捌き方も重要らしく、その技術によって味は大きく左右されるらしいのです。
唸るしかない。
カウンターで、ひたすら感動に身悶えながら、寿司を口にしていました。
こんな寿司を食べるのは初めて。
ふと、横に居るマスターの顔をみると、してやったりの表情。
すみません。
完敗です。
そして、まだまだ幸せな朝は終わりません…
(続く)
…その通りでした。
寿司に対する価値観を、根本から変えさせられた店でした。まさに「目から鱗」です。
実際、以前からその店の名前は耳にしていました。全国的にも有名ですし。
そこへ、とある居酒屋のマスターから、一緒に行きませんかとのお誘いが。
実は、かなり前からお誘いをいただいておりました。
でも、お店は札幌・桑園の中央卸売市場にあり、営業は朝の六時半から。大抵、午前中にはネタがなくなり閉店。
逆に、ススキノに数多ある店のように簡単に行ける感じではないですし、まさに北海道の食の最前線である、中央卸売市場にある寿司屋。中々、一見で行く勇気も無かったのです。
マスターのお言葉に甘える事にしました。
朝の六時。まだ薄暗い中、始発の電車に乗り、桑園へ。着くと、マスターが車で迎えに来てくださってました。朝方までお店を営業し、市場で仕入れをした後にお付き合いくださったのです。お疲れのところだと言うのに、有りがたい話です。
程無くして市場に到着。市場の朝の六時と言えば、会社の終業時間のようなものだと。でも、活気の余韻は感じました。
そして…
市場のビルの一つに、その店はありました。周りには魚屋を中心に様々な店があるのですが、その一角に静かに佇んでいました。
暖簾もまだ出る前だったのですが、マスターの案内で中へ。カウンターのみ。八、九席程度。
そして、カウンターのショーケースには、一目で新鮮だとわかるネタの数々が。それが、一枚目の写真です。その色彩はもはや、美しい絵画のようです。
席に座り、まずはビール。朝から寿司屋でビール。最高に贅沢な朝御飯の始まりです。
伝票にネタと値段が書いてあり、個数を書いて渡すと握ってくれます。
最初に言いますが、まず、値段に驚くはずです。値段はもはや回転寿司並みに気楽に頼める値段。しかし、ネタは最高級の寿司屋クラス。この店と同じレベルのネタの寿司をススキノで食べたら、4~5倍は確実に取られます。
それを念頭に入れて頂いた上で、当日食べた寿司をご覧ください。
中落ちの握り。
中落ちを軍艦ではなく握りで。最初からやられました。
いか。
ほたて。
実は、後から常連の市場の方が入ってきて、何気なく小さなビニールに入れたホタテを店主に渡したのですが、それを握ってくれました。この市場の空気感がたまらない。
げそ。
甘エビ。
味噌がたっぷり載ってます。こんな甘エビは食べたことがない。
たらこ。
さより。
ホヤ。
一番感動したネタ。実はホヤは苦手だったのです。食べられないことは無いのですが、独特な風味が苦手で、「これが磯の香りだよ」なんて言われても、そんなもんなのかなと。
しかし、このホヤは今まで生涯食べた寿司の中で、一番の衝撃を受けました。
その味わいは爽やか。
旨味、酸味、塩気、香り。海のあらゆる恵みが、口いっぱいに。嫌な風味は一切なく、心地好い海風が駆け抜けるがごとく、食べることの快感が脳天に突き抜けました。
今まで食べたホヤは全て、ホヤではなかった。
実は捌き方も重要らしく、その技術によって味は大きく左右されるらしいのです。
唸るしかない。
カウンターで、ひたすら感動に身悶えながら、寿司を口にしていました。
こんな寿司を食べるのは初めて。
ふと、横に居るマスターの顔をみると、してやったりの表情。
すみません。
完敗です。
そして、まだまだ幸せな朝は終わりません…
(続く)