スカイツリー同様、東京で一生に一度は体験したかった事の一つ。
歌舞伎です。
日本人に生まれた以上は、やはり観たい。
今回の東京滞在が決まった時点で、すぐにチケットを確保しました。
やがて当日。
東銀座で電車を降りてしばらく歩みを進めたら、やがて目の前には堂々たるその姿が。
歌舞伎座を目の当たりにすると、何故かシャンと背筋が伸びる感じが。
今回の演目。
「鵺退治」、「寺子屋」、「十六夜清心」そして「楼門五三桐」。
出演される方々の顔写真がずらりと並ぶ看板も。
舞台に立つ中村吉右衛門さん、尾上菊五郎さん、中村梅玉さんの名は、歌舞伎初心者の自分でも知ってる方々。
さらには市川海老蔵さん、尾上菊之助さん、尾上松緑さんも揃い踏み。お名前は変わったけれど、いわゆる「平成の三之助」じゃないですか。
そして尾上松也さんの名もあるじゃないですか。
本当に知ってる方ばかり。
…結構、凄いタイミングで観に来れたかも、と。
程なく開場したので、席へ。
(撮影OKの開演前に撮影した写真です。)
自分の席は3階。ここだとチケットも一般的なコンサート並みのお値段です。
ちなみに一番お高い一階の桟敷席だと2万円。
(^_^;)
でも。
負け惜しみでは無いのですが(笑)、初心者には3階の方が見渡すことができて、逆に観やすくて良いような。
それにしても、この幕の柄を観るとお茶漬けが食べたくなるのは何故でしょう(笑)。
さすがにお茶漬けは無かったのですが…
まさしく幕の内弁当。
しっかり購入。
ここでこれを食べずにどうする、ってもんです。ちゃんと幕間に食べましたよ(笑)。
歌舞伎座の紋章が輝く蓋を開ける瞬間がたまらない。
そりゃ、もう。
格別でしたよ。歌舞伎座でいただく幕の内弁当。その語源を今まさに体感してると思うだけで、その味わいも数倍に膨らむ訳です。
実際、品のある味でした。
自分の席で食べられるのも良いですね。館内には吉兆などの食事処もあって、幕間にそこで食べることも出来るんですが、やはり自席で幕の内弁当を食べることも、歌舞伎を観る上で大切なイベントの一つなのではないかと。
…次に歌舞伎を見る機会がもしあれば、調子に乗って吉兆にするかも知れませんが(笑)。
こんな甘味も。
「めでたい焼き」と言う名の鯛焼き。餅が中に入ってまして。なのでこの名になったんでしょうね。焼き立てで皮はパリッとしていて、中から餡子とともにふんわりしたお餅が。確かにめでたい。
さて。
肝心の歌舞伎ですが。
面白かったんですよ。初めて観ましたが。
実は「イヤホンガイド」も借りまして。
有料ですが、携帯ラジオのようなものを借りてそのイヤホンを耳にすると、演目の進行に合わせて解説を聞けるんです。
これは分かりやすい。物語の背景やストーリーはもちろん、演じられている時代の文化や、誰が演じてるかなんてことも解説してくれるんですね。
正直、この解説が無ければ誰が海老蔵さんで誰が松也さんか、なんてのも分からなかったような。
(^_^;)
これはありがたい。
盛り上がってきたところで、しばしイヤホンを外して両耳でしっかり歌舞伎を体感。
本当に声がよく響く。
見得を切る時の「ババン!!」なんて音も、こんなに反響するのかと思うほど。やまびこのようでした。
そして、絶妙なタイミングで大向うから「成田屋!」「音羽屋!」と屋号が。
本当に3階の一番後方から聞こえます。
これは逆に一階の席の客がやるのは御法度だとか。
そして、絢爛豪華な衣装や舞台の素晴らしさももちろんのこと。
歌舞伎はこれら全てを含めた総合的な芸術なのだなと。
役者の良い演技は、ビシッと大向うが決まってさらにそれが活きる。
江戸の頃から連綿と続いてきた歌舞伎の文化は、役者や観客も含めて歌舞伎を愛する人々が大切に紡いできたものなんだなと。
そんなことを…呑気に幕の内弁当を食べつつ思ったりしました。
(^_^;)
最後の演目「楼門五三桐」は、中村吉右衛門さん演じる石川五右衛門が、南禅寺で満開の桜を眺めつつ言う「絶景かな、絶景かな」に始まる台詞が有名ですが…具体的にこの演目の台詞だったとはつゆ知らず。
「これかぁ…」なんて、感動してました。
「寺子屋」も有名な演目らしいのですが、すっかり感動して目が潤んだりして。イヤホンガイドのお陰もあって、物語に引き込まれました。
(この演目では、市川海老蔵さんが重要な役柄を演じていました。まさか、あんなご事情を抱えながらの舞台だったとは当然知らず、今になってそんなことを微塵も感じさせない、堂々たる演技だったと思い返しています。奥様の体調が回復なさるのを祈るばかりです。)
それにしても。
あれもこれも、初めて観る世界。圧倒されました。
やはり日本が世界に誇る文化ですね。
…また観たいなぁ。
京都の南座を学校が貸し切って、歌舞伎鑑賞の校外学習があったんです。
改装前の南座は升席があったんですよ(^ー^)
(^_^;)
なんとセレブな。
僕の初歌舞伎は飲み食いの印象も強いものになってしまいましたが(笑)、いい経験となりました。