新鹿山荘控帳

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濱 嘉之「鬼手 世田谷駐在刑事・小林健」

2012-03-03 17:15:39 | 読書
久し振りに文庫本の紹介です。
以前、週刊現代で連載された「世田谷駐在刑事」の文庫本化です。

著者は警視庁入庁後、警備部、公安部、内閣情報調査室などを経て警視庁警視で辞職し、現在危機管理コンサルタント会社の代表などを務めています。

○物語
主人公は警視庁山手西警察署学園前駐在所勤務の警部補で41歳。もう一つの顔は駐在でありながら同署組織犯罪対策課第四係長を兼務している。
さらに「全国指導官」の立場も持っている。
駐在として市民の日常生活の中での情報収集と犯罪の芽の察知と、対策課係長の立場から実際の大型事案の捜査の第一線での捜査や指揮アドバイスもするといった、ある意味でのスーパー警察官として登場しています。

こんな警察官だらけなら世の中には犯罪者は居なくなるだろうと思ってしまいますが、やはり組織の中にはどうしようもない警察官も大勢登場します。ただ主人公であるため、抜きんでた彼の捜査能力を応援してくれる上級幹部もちゃんといてくれるのです。

作者の警察でのポジションからと言いますか経歴からでしょうか、駒として事件に対応する主人公の動きがスピーディーで抜け目なく周到な行動をします。人間ドラマと言うより理想の警察官が理想の仕事をしていくとどうなるのだろうかと、考える小説です。

よく不始末があった時、まじめにやっている多くの職員が全国にいますと表現されますが、この小説では優秀なスーパー警察官のほかにはまじめだけどもまじめだけと言った警察官も多いのではと、言いたくなります。

この小説には、モデルのなったと思われる事件がいくつか出てきます。いまだ未解決の大事件も登場します。もちろん小説では解決しますが。
主人公の警部以外の人間描写は少ないので、人間ドラマではなく優秀な警察が捜査をすると事件はこんな風に解決できるのだと、そんな風に手軽に楽しむ小説でしょうか。TVドラマ化されるようですが、映像化原作として使いやすい小説だと思います。主人公は誰が演じるのでしょうか。

著者には警視庁情報官シリーズがあるそうですので、書店で内容を見てから読んでみようかと思っています。

コメント
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