長命寺といえば「長命寺さくら餅」と、
半ば反射的に出てしまいますが、
長命寺は向島に今も残る天台宗寺院です。
東京三十三観音霊場32番札所、
隅田川七福神の弁財天でもあります。
德川家光が鷹狩の際に急な腹痛に見舞われ、
境内の井戸水で薬を飲んだところ、痛みが快癒。
その水を家光が長命水と名付けたのが寺名の由来。

境内には松尾芭蕉の句碑や石碑が立っていますが、
その中に女優で歌手の木の実ナナさんの碑がありました。
向島の出身でいらしたのですね。

1717年、長命寺の門番をしていた山本新六が
隅田川の土手の桜の葉を塩漬けにして
桜もちなるものを作り、長命寺の門前で売り始め、
いつしか江戸の名物となったのです。
「山本や」さんは桜もち一筋を信条に、
三百年以上もその味を守り続けているのです。

香り豊かな桜葉に包まれる
餡の甘味と葉の塩気が絶妙のバランス。
初代が考案したままの形で今も受け継がれている
江戸グルメでは絶対に外せない老舗です。
長命寺
東京都墨田区向島5-4-4
長命寺桜もち 山本や
東京都墨田区向島5-1-14
2020.10.11