08/09/27の新聞記事から
タイ首相府占拠から1カ月
出口見えず「長期戦」
【シンガポール26日斎藤正明】タイの首都バンコクの首相府を反政府団体「民主市民連合」が占拠してから、26日で1カ月が経過した。
この間発足したソムチャイ政権は、強硬路線のサマック前首相と異なり、対話の姿勢を打ち出している。
ただ、主要閣僚にタクシン元首相派を当てたことが「反タクシン」の市民連合を刺激し、交渉開始の見通しは立っていない。
国内政局の安定まで長期化するのは必至の情勢だ。
市民連合は、英国に亡命中のタクシン氏と敵対する政財界の関係者が中心。
現在も千人を超えるメンバーが首相府の占拠を続けるが、「支持の広がりはみられない」（バンコクの外交筋）もようだ。
憲法違反で失職したサマック氏に代わり今月中旬選出されたソムチャイ首相は「分断している国民同士の和解に努めたい」と表明、市民連合との交渉に乗り出す姿勢をみせた。
しかし、その一方で、組閣に当たり外相や財務相にタクシン派を取り込んだため市民連合が反発、「問題解決の大きなチャンスを失った」（野党の民主党）。
ソムチャイ政権はバンコク郊外のドンアン空港の空き室を改装、首相府として使い始めており、「長期戦」に応じる構えとみられる。
水面下では、市民連合側と接触しているとみられるが、事態打開の兆しはまだない。
また、最大与党・国民の力党は、党ぐるみの選挙違反で近く憲法裁判所から解党決定を受ける見通し。
