’08/08/11の朝刊記事から
中国・新疆 警察狙い連続爆弾テロ
11人死亡 独立派 五輪妨害か
【北京10日高山昌行】中国国営新華社通信によると、新疆ウイグル自治区西部のクチャ県で10日未明、爆発物を積んだ車が県公安局に突っ込み爆発するなどして、保安要員1人が死亡、警察官や市民ら計5人が負傷した。
警察は襲撃グループのうち8人を射殺、2人が自爆死し、死者は合わせて11人となった。
北京五輪妨害を狙ったウイグル独立派のテロの可能性が強いとみられる。
同自治区では4日、カシュガルで武装警察が襲撃され16人が死亡するテロが発生したばかり。
国の威信を懸けた北京五輪開催中の警察襲撃事件は、胡錦濤政権にとって大きな打撃となり、五輪会場などの警備は一段と強化されそうだ。
新華社によると、爆発が起きたのは10日午前2時半(日本時間同3時半)ごろ。
爆発物を積んだ三輪自動車がクチャ県中心部にある県公安局の庭に突入し、爆発した。
このほか圏内のスーパー、ホテル、地方政府機関なども襲撃され、爆発は計12回に上った。
一連の爆発などで、保安要員1人が死亡、警察官2人と保安要員1人、市民2人の計5人が負傷した。
警察が襲撃グループに応戦し、容疑者8人を射殺、2人を拘束。
2人は自爆死した。
他に3人が逃走中とみられ、警察が行方を追っている。
また警察は襲撃現場から市民13人を救出したという。
爆発物はガスボンベや液体ガスタンク、パイプなどで作られていた。
警察は数十個の爆発装置を押収した。
中国当局はクチャ県のすべての公共施設、企業、商店を閉鎖し、厳戒態勢を敷いた。
カシュガルの事件にはウイグル独立派「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」が関与した可能性が強いとみられ、警察当局は今回の事件との関連を追求する方針だ。
クチャ県は新疆ウイグル自治区の区都ウルムチの西約740キロにあり、人口約45万人。
かつてのシルクロードの一つ「天山南路」の要衝で、郊外には仏教遺跡も多く、外国人観光客も多い。