'08/08/26の朝刊記事から
米ロ対立 黒海に飛び火
米艦 グルジア支援で入港
【モスクワ25日加藤雅毅】グルジア・南オセチア自治州情勢をめぐり、グルジアへの人道支援物資を積んだ米海軍の2隻目の艦艇が25日までに黒海に入り、米国がグルジア支援を本格化、米ロ対立は黒海沿岸にも広がった。
ロシア海軍部隊は主要港ポチに居残り、米側の動きを牽制している。
「黒海での北大西洋条約機構(NATO)軍の動きが、ロシア軍がポチから撤退したがらない主な理由だ」。
25日のロシアのコメルサント紙は、ロシア側が設定した緩衝地帯にさえ含まれていないグルジア領のポチからロシアの部隊が撤退しない理由について、グルジア側の見方を伝えた。
米艦艇の1隻目は24日、難民用の毛布や食料などを積み、ポチの南方約60キロにあるバトゥーミに入港。
同日夜には、別の艦艇がトルコのボスポラス海峡を越えて黒海に入った。
さらにもう一隻が黒海に向かっているとみられる。
南オセチア自治州とともにアブハジア自治共和国もグルジアからの分離独立を主張している。
米艦艇は当初、紛争地域である両地域に近いポチに入港する予定だったが、ロシア部隊が国際社会の批判を浴びているにもかかわらず、居残っているため、入港地を変更。
ロシア軍によると、黒海には米艦艇のほか、NATOに加盟しているドイツ、スペイン、ポーランドの艦艇も既に入っている。
ウクライナ・クリミア半島にあるロシア海軍の拠点セバストポリ基地がある黒海は、ロシア海軍にとっていわば裏庭。
グルジアとの軍事衝突が起きた直後には、同基地の海軍が動いて海上封鎖の構えも見せるなど、戦略的な要衝でもある。
裏庭に乗り込まれた格好のロシア軍は. 、NATO側の動きを「人道支援を名目に黒海に軍艦を集結させることは、地域の安定化に寄与しない」(ノゴビツィン参謀次長)と批判し、警戒感を強めている。